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ゼロの夜想曲 46

「ヴァリエール公爵息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢!」

舞踏会場となっているのはアルヴィーズの食堂の上の階だ。
入り口のあたりに俺がルイズの手を引いて現れた途端、門のところにいた男が彼女の名前を高らかに呼び、ルイズの到着をホールの全ての人間に知らしめた。
その途端、ホールの中に居た着飾った男女の視線がいっせいに俺と彼女の元に集まり、ざわめきが大きくなった。
彼女の周りにあっという間に人が集まり、俺ははじき出されてしまった。
彼女が俺に向かって何かいいたげな視線を送ったのには気づいたが、俺は小さく肩をすくめてその場を離れた。

舞踏会とあって中央には大きくスペースが作られている。そのスペースの脇の方には室内楽団がいて、今は軽やかな曲を奏でている。
まだ踊る時間ではないらしく、それぞれ談笑をしたり、料理をぱくついたりと言った具合だ。
テーブルの上には相変わらずムダに豪華な料理がわんさと並べ立てられている。
鴨のロースト肉のようなものに、イセエビの中華あんかけみたいなもの、ホタテをサーモンでくるんだようなものに、大きなグラタンのようなもの、パエリアのようなものもあるし、クラッカーの上にチーズだのなんだのが上品に盛り付けられているものもある。
給仕がカクテル(らしきもの)を薦めてくるのを手で断り、料理の中から比較的味のついていなそうなロースと肉を手でとって口へと放り入れた。
それを見て着飾った婦人(これは教師かもしれない)が非難の視線を向けてきたが、俺は気にしなかった。
それから他にめぼしいものはないかと見回り、チキンのパイ包みとナゲット(のようなもの)を口にした。
やはり・・・人間好みの味付けはどうにも好きになれない。
昔はおいしいと思えていたはずなのだが・・・。
この会場に足を踏み入れて、まだ10分そこそこといったところだろうが、俺はすでに飽きていた。
俺はホールを横切り、それからバルコニーへと出た。

人が集まっていたせいか、室内は随分と暖かかったらしい。
外に出ると涼風が吹き、とても気持ちがよかった。
俺は誰も居ないことを確認してフードを取った。
っと・・・
「旦那ぁ、旦那は随分と小食ですねぇ」
声が聞こえた。
少しだけ驚いたが・・・そうだ。部屋を出る際に、ふと気づいてデルフリンガーを持ってきていたのだった。
背に帯びていたデルフリンガーをはずし、傍らに立てかける。
「人間の食い物は俺の舌には合わないんだ」
「へぇ。そうなんですか?でも、何か食わないと腹が減るでしょうよ?」
「いや、そうでも・・・」
言いかけてふと口を閉じ、
「そうだな」
言い直した。
「へ?」
「だが・・・大丈夫だ。これからは。いいものが手に入ったからな」
フッと笑うと、バルコニーの枠に立てかけたデルフリンガーが俺の言葉にビィンと震えた。
「だ・・・旦那、なんか黒いですよ」
「ハッ、誰に向かって言ってるんだ?」
「そ・・・でしたね」
悪魔の俺を黒といわず、何を黒と言うっていうんだ。
「・・・に、しても、ルイズ嬢ちゃん、化けたなぁ~」
「ははは。それは本人の前で言うんだな」
「んー・・・いや、それは遠慮させてもらうぜ」
あのお嬢さんは苦手だというデルフリンガー。
調子のいいやつだと言って、室内の方を振り返ると、いまだにルイズは人に囲まれていた。
どうやらダンスの相手を申し込まれているらしいが・・・首を横に振っているということは、断っているということか。
「もったいない」
せっかくもてているのに。
呟き、目を転じると・・・そこにもまたたくさんの男性に囲まれたドレス姿の女が一人。
燃えるような赤いドレスの女は・・・いうまでもない、キュルケだ。
彼女は男をはべらせてご満悦といったところか。彼女らしいと見ていると、ふいに彼女が俺に気づいた。
キュルケは俺に意味ありげにウィンクして見せた。俺がそれに小さく手を振ってやると、今度は投げキッスをくれた。
彼女の取り巻きの男たちがこちらに敵意むき出しに睨んでくるのが心地いい。
目を転じて、討伐に出かけたもう一人は・・・と探すと、いたいた。
黒いドレス姿のタバサは、山ほど皿に料理をとってガツガツと食べている。
あの小さな体の何処にあれだけの料理が入るというのか・・・彼女は休むことなく、料理を口に入れている。
彼女もまた、俺がしばらく見ていると視線に気づいた。ピクンと肩を震わせ、しばらくこちらを見た後、くるりと背を向けてまた食べ始めた。
「あ、そういや聞いてなかったなぁ・・・」
「ん?」
「さっき言ってた“いいもの”ってのは何なんです?」
「あぁ・・・そういや言ってなかったか。」
いいものってのは・・・っと、教えてやろうとしたとき、

「ちょっと!玲治!あなたパートナーを置いてなにしてるのよ!」

ルイズが俺を呼びに来た。

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