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ゼロの夜想曲 45

「・・・というわけで、すけべ親父のオスマンが下心出してナンパして・・・身元も確かめずに秘書にしたのがフーケだったってわけだ」

ベッドに腰掛けたまま俺はルイズが気を失っていた間に起こったことを説明してやる。
ちなみにルイズはベッドの上(俺の背後だ)で着替えをしているはずだ。

「ったく・・・自分で学院に引き込んどいて・・・反省するかと思えば、スケベ心を棚に上げて“あれは彼女の魔法に違いない”だからな。マリンカリンかっての。コルベールもやけに強く同意してたし・・・大丈夫なのか?この学院」
「・・・マリン・・・?・・・でも、玲治の話を聞いてたら・・・ちょっと不安になってきたわね」
「だろう?キュルケなんか顔ひきつってたもんな。あぁ、タバサも顔には出してなかったが相当あきれてたぜ。で、フーケは城の衛兵かなんかに連れて行かれたみたいだ。」
「そう」
「破壊のピラミッドはもちろん宝物庫に戻された。・・・そうそう。キュルケとルイズにはオスマンからシュ・・・シュ・・・シューなんとかっていう爵位の申請をしてくれるらしい」
「シュ・・・?まさか、シュヴァリエ?!」
驚いたようなルイズの声。
俺は振り返ることなく頷いてやる。「たしかそれだ」というと、ベッドがバウンドしたから・・・きっと、後ろでルイズが跳ねたのだろう。
「すごいわ・・・・!私が・・・シュヴァリエ・・・・・!」
「とりあえず申請だけだ。まだ決まったわけじゃないだろう。」
「だけど・・・!ってなんであんたはそんなに落ち着いてるのよ!シュヴァリエよ!シュヴァリエ!」
「っていわれてもな」
俺には何のことやら。
大体爵位もらったところでなんだよ?
俺なんか混沌王だぜ?王様だぜ?
ボルテクスでは全ての悪魔を従えていたんだぜ?
カグツチだって素手でぶん殴ってたんだぜ?
そんなものより、俺を相棒にしてるってことのほうがすごいっつの。
「あぁ、タバサの方はすでにシュヴァリエを貰ってるらしいから、精霊勲章とかの申請をするそうだ」
「そう・・・さすがね。タバサは。それで、あんたは?」
「俺?俺はなんもなし」
「何で!」
「何でって・・・」
何で怒るのかが俺にはわからない。
「当たり前だろう。俺は貴族じゃないし・・・そもそも、使い魔であって人間扱いもされてない」
「そ・・・そんな!」
絶句するルイズ。
甘いな・・・と思う。
腹の底でメラッと燃え立つものがあったが、俺はそれを押さえ込んだ。
彼女はそれでいい。
それに俺は・・・機嫌がいい。
「私・・・オールド・オスマンに一言いってやるわ!」
本気で悔しそうなルイズ。
「いらねぇって」
苦笑し、首を横に振ると、ルイズがベッドから降りる気配がした。
俺も合わせるように立ち上がり・・・

「いいか?」
「いいわ」

彼女の了解をとって振り返ると・・・ピンク色の特徴的な髪をアップにまとめ、純白のドレスをまとったルイズが立っていた。
ちっと胸が(・・・というか、メリハリとか色気とか)足りないが・・・それを差し引いても十分に魅力的な姿だ。貴族だといっていたが、ドレスアップするとやはり気品が違うような気がする。
庶民の女がこんなドレスを着てもこうはならないだろう。
じっと見つめていると、彼女は照れているのか怒ったような顔で頬を小さく膨らませた。
「ど・・・どうよ」
「いいんじゃないか?」
似合っている。
口角を上げて言うと、彼女は怒鳴りつけようとでもするように口を大きく開け・・・しかし、結局何も言わずに口を閉じてはにかんだ。
「あ・・・ありがと・・・。そ・・・それより、あんたは着替えないの?」
彼女の言葉に俺は肩をすくめた。
これからパーティがある。ルイズが目覚めるまで待った上で開催されることになったフリッグの舞踏会とかいうやつが。
だが、どう考えても・・・
「俺には似合わない。遠慮する」
舞踏会とやらもだが・・・そもそも、礼装というやつが似合わないだろう。この体じゃ。
「だめよ!」
「なんで?」
「なんでって・・・あんたが・・・いなきゃ・・・誰が私をエスコートするのよ!」
「は・・・はぁ?」
エスコート?
なんでそんなことをしなければいけない?
とんでもないと一歩さがると、彼女は腰に手を当て・・・
「なによ!私のエスコート役が不満だっていうの?」
ときた。
彼女お得意の命令調だ。

「ルイズ・・・」

もちろんここで“不満だ”と言って、彼女を突き放すことは簡単だ。
だがこの時は・・・機嫌がよかった。
何しろ・・・

「いや・・・じゃぁ、いくか。ルイズ」
俺が差し出した手に、彼女はツンと顎をそらすようにして手袋をつけた手をそっと乗せた。
俺は彼女を部屋の外へと連れ出しながら、ローブの奥で小さく笑った。

何しろ・・・いいものが手に入ったのだから。

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