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カーボンシルク 06

今回でアメちゃんは退場 駄文だ

ルイーゼロッテの渾身の一撃をアルフレッドは容易く受け止める。
普通の相手ならば顔をしかめ、体の動きを止めるところ。だがアルフレッドはそれをもろともせず、隙あれば一気に攻撃をしかけてくる。
急所にだって一度ならず入れているというのに…。
全くダメージを与えている手応えのない事に苛立つルイーゼロッテだが、冷静さを欠いたわけではない。
まだチャンスはある。このままスピードを落とさず、とにかく手数を多く攻撃し続ければ…。

やりにくい相手

一方、やりにくさを感じているのはアルフレッドも同じだ。
彼女の一撃一撃は、アルフレッドにとってはさほど効力がない。だがムチのようにしなって襲いくる一撃は、少しずつだが確実にダメージが蓄積される。
しかもこちらの攻撃はまったくといっていいほど入らない。
一撃でも入れば勝負は決まるのだが、易々と入れさせてくれる彼女ではない。

やりにくい相手

二人は位置を激しく入れ替えながら、攻撃をしかけていく。
ルイーゼロッテの繰り出した鋭いストレートをアルフレッドが右で受け止めると、彼女はすぐさま体勢を変えてぐるりと体を回転させ上段蹴りを繰り出す。アルフレッドをくぐるように避けると、不利な体勢のルイーゼロッテに左拳を突き出す。ルイーゼロッテはそれを危うく避けると、彼女は無理な体勢から無理やり攻撃に転じる。
現在、仕掛けている数はルイーゼロッテが断然に多い。しかしながら、どちらが有利か…というならば、アルフレッドが優位に立っている。
そしてアルフレッドの優位性は時間が経つ事に増していっている。
未だにルイーゼロッテに一撃も有効打を入れられずにいるアルフレッドだが、それよりも手数を打って尚仕留め切れない彼女のほうが不利である。
すでに戦闘開始から7分を経過。3分1ラウンドのボクシングならば、インターバルを入れずに3ラウンド目に入った所だ。
そろそろ彼女の限界が近い。
だが彼女は諦めていない。
そして、『彼』も。

じりじりと勝負の秤は、アルフレッド有利に動いていく。
僅かずつではあるが、ルイーゼロッテのスピードとキレがおちていく。
駄目か。
粘りに粘った彼女だが、秤の傾きはすでにいかんともしがたい。
ルイーゼロッテが諦めかけた瞬間、全く同じ瞬間にアルフレッドは“いける”と確信した。
そして最後の時は来る。
ルイーゼロッテが起死回生を掛けた一撃を繰り出した瞬間、そしてアルフレッドがそれを避け勝負つけに出た瞬間、そのカンマ数秒後に…

「背負え!!ヴェスト!!!」

第三者の声と共に…決まる。

アルフレッドが大ぶりの一撃が空を切った瞬間…、目の前にいたはずのルイーゼロッテの姿が彼の視界から消えた。
そして…
彼が次に見たのは何故か青空。
アルフレッドがその青さに息を飲んだ瞬間、彼は背中を地面に強かにたたきつけられた。
そして青の角に映ったルイーゼロッテに、彼は自分が背負い投げられたことを知る。

「よし!ヴェストの勝ちだ!」

はしゃいだ声に勝負を終えた二人がそちらを見ると、無邪気に笑うギルベルトと周りで未だにぼんやりとしている訓練生たちが見えた。
「ケセセセセ!ざまぁみろ!アメ…アルフレッド!ヴぇストの勝ちだぜ!」
自分が勝ったかのように指さして笑うギルベルトにアルフレッドはムッとしながら起き上がった。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!今のは絶対認められないんだぞ!」
「んだよ、お前の敗けだろう?往生際が悪すぎるぜ」
「だって君!反則じゃないか!ルイーゼロッテにさっき投げろって指示したじゃないか!」
「あー?んなこと言ってねぇよ」
「言ったよ!」
「仮に言ったとしてもただの声援だ。誰だって言うだろ?“そこだ!殴れ”とか“やっちまえ!”とかよぅ、それと一緒だぜ」
「NooOoOoo!そんな声援とは違ったんだぞ!あれは絶対に指示だったんだぞ!」
「だとしたらなんだよ!俺はいわばヴェストのセコンドだぜ!指示を出して何がわりぃんだよ!!」
開き直るギルベルトに、絶対に認められないと騒ぐアルフレッド。
当事者のもう一人は…というと、
「私も納得がいかない」
アルフレッド寄りだった。
アルフレッドは彼女の援護に喜ぶ……かと思えばそうではなく、
「や、やっぱり今日の勝ちは君に譲るんだぞ!」
と、アルフレッドは唐突に手のひらを返した。
彼は負けが決定することより、もう一度勝負のやり直しを迫られる方が都合が悪い気づいたのだ。
もう一度やって負けることを恐れているわけではもちろん無い。
次にやったならば、彼女が投げ技(おそらく日本直伝)を使う事まで考慮し、必ず勝てると誓える。
だが問題はその場合、ルイーゼロッテが敗れた後には確実にギルベルトが出てくるとうことだ。
アルフレッドはルイーゼロッテとし合うのは苦手だが、ギルベルトはもっと苦手だった。
ギルベルトの戦い方はルイーゼロッテに似ている(正しくはルイーゼロッテの戦い方がギルベルトの戦いかたに似ているのだ)が、彼のそれには“陰険”が入って代わりに“容赦”という言葉が退場する。
彼は勝つためにはあらゆる手段を選ばないだろう。
もちろん、普段はそうでもないのかもしれないが、ルイーゼロッテが敗れた後となればきっとリミッターが外れている。
多分平気で金的を狙ってくるし、平気で目を潰しに来る。そして隙を見せれば骨の一本や二本、確実にへし折りに来る。
アルフレッドだってただやられるつもりはないが、その場合は今度はルイーゼロッテのたがが外れる覚悟をしなければならない。
ここは負けたが勝ちだ。
それがアルフレッドの出した賢い結論だった。
「悔しいけど、敗けは敗けなんだぞ!俺はヒーローだからね!素直に勝者を称えるんだぞ!」
そう早口で宣言すると、さっと身を翻し全速力で逃げ出した。

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