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シガレット 04

斎藤という男、飲めば少しは柔らかくなるのかと思いきや…全く変わらない。
ムッスリしたままひたすら杯を重ねていく。
隣に俺が無言で座っているのにも全く居心地の悪さは感じていないようだ。
俺ももちろん居心地の悪さは感じない。
ただ一人、それを感じているのは…
「岡先輩、大丈夫ですか?」
にやりと笑っていうと、岡先輩は引きつった笑みを浮かべ「勘弁してくれよ」と小さく言った。
「お前もなんか喋れよ…」
「んなこといわれてもなぁ…」
「あのさぁ…なんか俺、いたたまれないんだけど?」
「なんで、いたたまれないんだよ。なぁ?」
話を斎藤に振ると、彼はコクンと一つ頷いた。
ただそれだけ、だがそれだけで俺は愉快になる。不思議なものだ。
きっとそんな態度、永倉がやったらつまらねぇやつと文句をいうところだ。
「はぁ…ほんっと、勘弁。なぁ、永倉よばないのか?」
「よばねーって、あいつは今頃バイク転がしてるよ」
「つか…あれだな。こいつ総司の友達にしちゃ珍しいタイプだよな」
「だな…たしかに。」
俺は相槌をうって斎藤の横顔を見つめる。
ほっそりと小さい身体、前髪が長く少し地味に視えるが…しかし、よくよく見れば、造形はかなり整っている。
水分と杯が進んでいるようだが、酔いはないようだ…とみえたが、覗き込んだ横顔は少しだけ目が潤んでいるようだ。
そして…一つ気づいた。
「お前…目が少し青いな」
もちろん純粋な日本人なら、目は黒か少し茶が入っているくらいだろう。
だが、彼のそれは黒目の部分の縁取りが甘く青をふくんでいる。
「お前、他所の血が入ってるのか?」
そう言って頬に手を伸ばそうとすると…
「やめろ!」
斎藤の口からではない、先輩の口から鋭い声が上がった。
俺は驚いて岡先輩を見た。
岡先輩は…何故か、とても怖い顔をしていて、俺は更に驚いた。
「…なんだよ」
「お前…そんなガキ口説いてどうするんだよ」
苦い…本当に苦い声でいう先輩に、俺は呆れた。
「俺が…口説いてる?」
「そうだろうが…」
思わずぽかんとしてしまったが…しかし、そうかもしれない。
先程のそれは、斎藤を女に置き換えれば確かに口説いていると見られてもしょうがないものだった。
だからといって…まさか、俺が?
「おいおい、俺は女専門だぜ?」
俺は笑った。…が、岡先輩の顔は崩れなかった。
まさか、先輩はマジに俺がコイツをどうにかするなんて考えているんだろうか?
じっと見つめると、先輩は困ったような顔をして仕方ないというように小さく笑った。
「…まぁ…大丈夫だと思う…いや、思いたいが…」
「なんで言い直すんですか」
苦笑。
斎藤を見やると、彼は不思議そうな顔で俺達のやりとりを見ていた。
アルコールに少しだけ潤んだ…しかし、澄んだ瞳はやっぱり少し青みがかって見える。
「酔ってるのか?」
「…いえ」
「酒が強いんだな」
「父も強い人ですから」
「遺伝か」
かもしれない…というように頷く斎藤。
そういえばお前は何処に住んでるんだ?
そんなことを聞こうと口を開きかけると…岡先輩が「お前いいかげんにしろよ」と、本気で怒ったような声をあげるので、俺は笑ってしまった。

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