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カーボンシルク 05

引き続きアメリカと一緒
思ったよりも、アメリカ引きずってる…苦笑
読み返さない

「よーし、ウジ虫ちゃんども。楽しい授業の時間だぜ」
わざとらしいドイツ訛りの言葉で、ずらりと並ばされた訓練生たちの前に出たプロイセン…もとい、ギルベルトはその後もハートマン軍曹顔負けの演説で彼らを煽る。
そんなギルベルトの話をお立ち台の下で聞いていたアメリカことアルフレッドはいささかうんざりしていた。
ギルベルトの演説に…ではない。
お立ち台を挟んだ向こう隣で黙々と準備運動をするドイツことルイーゼロッテにだ。
もう少し詳しく言えば、このあと予定されている彼女との実践訓練についてだ。
「はぁ、もうやだなぁ」
アルフレッドは自分でもらしくないと思う弱音を吐き、それでも彼は手首をぐるぐると回した。
ルイーゼロッテから見ればアルフレッドとの対戦は、自身の実力を試し訓練生たちに実力をしらしめる為と一石二鳥。ついでにアルフレッドを叩きのめせるならもうけもの。といいとこばかりだが、アルフレッドから見ればあまり面白いものではない。
面倒だし、やりにくい相手だし、気を抜くと怒られるし、負ければ鈍っていると訓練に強制参加させられそうだし、イギリスにバレたら馬鹿にされそうだし、勝つにしても上手くやらなきゃギルベルトがお礼参りにやってきそうだし…とマイナスばかり。たまったものじゃない。
「わざわざ迎えにいくなんて上司にいわなきゃよかったよ」
もう後の祭りだが。
「今からでも、中止にしてくれないかな」
僅かな期待を寄せてアルフレッドはもう一度彼女を見るが…その顔は闘志に溢れ、気力が充実していることが伺える。彼はため息をついて仕方なく体をほぐす作業に戻った。

 *

「さて、まずはちょっとした余興を用意してやったぜ」

面倒くさがりであるくせに、演説は割と好きであるらしいギルベルトはそれから30分ほどもべらべらと喋り続け、順調に彼らの反感を買い訓練生共通の宿敵になり上がり、彼らの心を一つにまとめあげた。
そして余興としてアルフレッドとルイーゼロッテを簡単に紹介し、模擬戦をやると宣言した。
「彼女は俺様と一緒にお前らゴミクズを指導してくれるありがたい女神様だ。だが、この優しい見た目に騙されるなと痛い目に合うぜ。なぁアルフレッド」
「あぁ。それには同意させてもらうよ。出来ればお手柔らかにとお願いしたいところだけどね」
「だとよ、ヴェスト?」
「残念ながらお断りさせてもらう」
ルイーゼロッテはキッパリと言い切り、アルフレッドを睨む。
「それと、お前も手加減は不要だ」
「だとよ、アルフレッド?」
「Okey-dokey せいぜい頑張るよ」
訓練生たちが囲む円の中心で二人は向かい合う。
ギルベルトは二人を見ると腰から愛用の銃を抜き、無造作にゴングを鳴らした。

 *

二人はじりっじりっと円を描くように移動しながら、攻め入るきっかけを探る。
ルイーゼロッテはもちろんのこと、普段は真面目な顔などほとんど見せないアルフレッドもひどく真剣な表情で彼女を睨みつけるように見ている。
その緊張感が周りにも伝わっているのか、ギルベルトに向けていた敵意もそのままに二人を見ていた訓練生たちの表情が次第に変わっていく。
最初に仕掛けたのは…動かないルイーゼロッテに焦れたアルフレッドだった。
彼は一気に彼女に肉薄すると右のストレートを繰り出した。
ただのストレートと馬鹿にすることはできない。アルフレッドは恐ろしい力を持っている。
世界会議の席でふざけて壁を殴って、大きな穴を開けた程度には。
ギルベルトあたりならばまだしも、ルイーゼロッテでは彼の拳をそのまま受け止める事はできない。
いや、1発、2発なら耐えられるだろうが、それ以上は無理だ。
彼女は素早くそれを避ける…と同時にくるりと体を反転させ、その回転の力を乗せて裏拳でアルフレッドの側頭部を狙った。しかしそれは同じように回転したアルフレッドに左手で受け止められる。
二人は衝撃に一瞬停止したが、それは本当に一瞬のことでしかなく、ルイーゼロッテが次の手を仕掛けて出ると同時にアルフレッドは体を引き距離を稼ぐ。
だが、それで素直に逃げさせる彼女ではない。彼女は初めから猛攻撃を仕掛けた。
それなりに体力には自信のあるルイーゼロッテだが、アルフレッドと比べれば、彼女のスタミナは1/4もないだろう(…もちろん、これはアルフレッドが化物並ということだ)
短気決戦に挑むルイーゼ。
彼女は体力も腕力もアルフレッドには劣る。しかし、戦法とスピードでは彼女の方がアルフレッドに勝る。
力と体力に勝るアルフレッドと、スピードと確実に急所を付く攻撃を仕掛けるルイーゼロッテ。
彼らは彼ら自身が自覚している通り、戦闘タイプが真逆だ。
だが、真逆といってもこれで相手が目の前にいるものでなければ、彼らは圧倒的に優位に立てるだろう。しかし今彼らが相対しているのはアルフレッドでありルイーゼロッテだ。
お互いに最も苦手とするやりにくい相手。
爛々と目を輝かせ相手を睨み据えるルイーゼロッテ。
アルフレッドは応えるように片方の口角を上げるが、それほど心に余裕があるわけではなかった。

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