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cross road

こんな夢をみたのさ!
P3ネタバレ。基本P4なのかな。
読み返さない 気が向いたら続きかく

放課後、ベルベッドルームへと赴いた俺は、重厚なソファにいつものように腰掛けペルソナ合体をしようとしていた。
手持ちのカードをながめながら考え込んでいると、座っているにも関わらずふっと目眩のようなものを感じ、額に手を当てた。
「?」
そして次の瞬間…
「おや?どちらに行かれるのです?」
俺は強烈な…逆らいがたい眠気に襲われた。
俺はイゴールに異常を伝えようとしたが、舌が回らず声が出ない。
「なるほど。貴方は本当に数奇な運命を背負っておられるようだ」
面白そうなイゴールの笑い声を聞きながら、俺の意識はブラックアウトした。



気がつくと俺は不思議な空間に一人で立っていた。
正面と後ろに真っ直ぐに伸びる廊下。
幅は三メートルくらいで、壁も床もガラスのようなものでできている。
いや、ガラスの壁・床と表現するより、水槽に左右と下を囲まれているといった方が分かりやすいかもしれない。
それというのも、ガラスの向こうには何らかの液体のようなものが満たされていて、それが淡く発光しながら同じ方向に流れているからだ。
発光しているのは液体そのものではなく、液体に溶け込んでいる何か。赤く輝く…蛍のようなものだ。
ふと気づいて天井を見上げると、それはあまりにも高く両側の壁が少しずつ狭まり消えていた。
「どこなんだ。ここは」
俺の声は、空間にわんと響いて消えた。

そこにいても始まらないと歩き始めてしばらく。
道はいくつにも分かれていたが、一向にどこかにつく様子はない。
シャドウの気配はないが、人の気配もないというのは不安を感じる。
俺は何度目かのY字路にぶつかると特に考えずに右の道を選び進む。すると30メートルほど先でまた分かれ道にぶつかり、今度もまた適当に道を選んだ。袋小路に当たることもなかったので、戻ることもせずただひたすら進んだ。
そうして30分ほどもたっただろうか。
俺はようやく扉らしきものに突き当たった。
両開きのスライド式の扉のようだ。
扉の高さは2メートル半ほどか。頂点が三角になっていて、縦に伸ばした5角形のような扉だった。
手を伸ばすとそれは自動的に左右に分かれて開いた。
中に入るとそれは大きなドームになっていた。
直径は30メートルほどもあるだろうか。やはりガラス状のもので作られたそれの中央には…二人の人間がいた。
いや、一人は人間だと思うのだが、今一人は人間かどうかの判断がつかない。
上半身裸に黒のハーフパンツを履いた少年。それだけを見れば、人間と言い切っていいかもしれないが、彼の肌には黒い帯状の刺青のようなものが這っており、それを縁取るように青白い線が走っている。
それに彼の金色の目。そして首の後ろから生える角のようなもの…。
彼は俺に気づくと振り返りおやっと驚いたような顔をした。そして「あぁ、そうか」と言った。
声は高くも低くもない。あえていうならよく響く耳心地の良い声だった。
「君か」
「どういう意味ですか」
俺が聞くと、彼は傍らに佇む少女を見た。
こちらは普通の女性に見える。白いブラウスに短めのチェックのスカートを履いている。
栗毛の髪に整った顔立ち。しかしまったく表情が無く、俺がドームの中に入ってきたことにすら気づいていない様子だった。
「よっぽど心配なんだな」
「え?」
「彼女はね、大切な人を亡くしたんだ。そしてその人を救う為に俺と取引をしたんだ」
「取引?」
「彼女にとってその人はとても比重の大きな人だったんだろうね。俺の出した条件に彼女はすぐに飛び付いたよ。愚かな事にね」
そういって無表情にたたずむ少女を見つめる少年。
憐れみとも嘲りともとれるような笑みを彼は一瞬だけ浮かべ、すぐにそれを消し去った。
「しかし…取引は成立してしまった。お陰で俺は余計な荷物を背負うはめになった。知ってるか?悪魔との取引は等価交換なんだぜ。基本的には」
「悪魔だって?」
「あぁ。そうだ。下位のやつらはそれを知らず、欲にまかせて報酬を取りすぎたりするが、それはルール違反だ。そんな奴は遠からず必ず塵に返る運命にある。俺は…」
彼は彼女に手を伸ばし、その血の気のない白磁のようは頬に触れた。
「返さなければならない。貰いすぎた報酬は重い。俺にとってもね。だからそれを下ろすための方法を考えていた所に来たのが君ってわけだ」
彼は彼女から手を離すと、まっすぐに俺を見据えた。
黄金の目がギラギラと光り…俺はふいに彼の瞳孔が縦に長いアーモンド型の蛇のそれとそっくりなことに気づいた。
背中を冷たいものが走る。
彼はやはり“人”ではない。
“人”であるわけがない。
「お前は…」
一歩下がろうとした俺に彼は、逃げるなというように首を横に振った。
「あんたは『彼』に似ているよ。だからだろうね、彼女は君のことが心配でたまらないらしい」
彼の言葉に彼女を見るが…彼女の表情は先程から全く変わっていない。
もしかしてマネキンなのではと疑う程に。
「彼女を君に預けるよ」
「え?」
「彼女からはペルソナ能力と記憶を取り上げた。それだけ十分だったのに…彼女は本当に馬鹿な取引をしたんだ。そのせいで、彼女は自分の住む世界からはじき出されてしまった」
もらいすぎたのだ…と彼はまた言った。
「俺は返さなければいけない…。だから…彼女は君の世界に送ることにする」
「ちょっと待ってくれ…突然一体何を…大体、お前は何なんだ?彼女は一体誰なんだ?…彼女の世界っていうのは…」
「詳しくは言えない。情報が欲しいならば、その分俺はあんたからそれ相応のものを受け取らなきゃいけないからね」
「…あんたは…悪魔?」
「……あぁ」
彼はそういって少し寂しげに笑った。
それがひどく人間くさくて、俺はなんだか胸が傷んだ。
「彼女をあんたに頼みたい。彼女を幸せにしてやってくれ。この…何も持たない少女を」
「待て。幸せにするのはあんたの責任じゃないのか?」
「そうだな。彼女が俺といて幸せになるならそうかもしれない。でも、俺にはそれは出来ない。だから最善を選ぶ」
「それが俺だというのか?」
「彼女は“彼”の死に直面したことで魂が不安定になっている。記憶自体は完全に俺が奪ったはずだが、魂に傷がついたんだな。そのせいかどうか知らないが…彼女は今、生きた人形と変わらない。それは此処に…いや、俺が傍にいる限りは変わらないだろう」
「俺といれば…変わると?」
「それは分からないが…先程も言ったように、君は“彼”と似ている。それに君を此処に呼んだのは、俺じゃない。彼女なんだ」
彼は彼女の後ろにまわり、両肩に手を添えて俺の正面に立たせた。
「君といれば、きっと彼女の魂の傷も癒えるだろう」
「俺に何をしろというんだ?」
「思うように…彼女を幸せにしてやってくれ」
「…随分他人任せだな」
俺の言葉に彼は小さく笑い、試すような目で俺を見た。
「それで?」
「先ほどあんたは、悪魔との取引は等価交換だと言ったよな?ならば、これはあんたからの“お願い”だろう?だったら俺も何かを受け取る権利があるんじゃないか?」
俺の言葉に彼は正解だというように目を細めた。そして「これをやろう」と彼は一枚のカードを俺に差し出した。
それは見慣れたペルソナカードだった。
しかし…表には何も書かれていない。真っ黒に塗りつぶされたカードだった。
「俺の名は『混沌王、人修羅』力が欲しい時には呼ぶといい。しかし、頻繁に活用するのは辞めたほうがいい。理由は…必要ないな」
「……あぁ」
何も書かれていないカード。
他のペルソナカードならば、カードを見ればペルソナのレベルや属性、スキルなどがわかるはずなのだが…それが一切わからない。
だがそれでもこのペルソナ(といっていいのかはわからないが)が、計り知れない力を持っているのがわかった。
カードがとても…重く感じる。
「そう、最後に言うのを忘れていた」

「彼女の名は、岳羽ゆかり。すべてを失った可哀想な少女だ」

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