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Stand by me.02

独×にょ仏
微妙 読み返さない

ユーリ君とよく似た金色の髪を後ろに撫で付けた体格のよい男性。
間違いなく…彼だ。
あの頃よりずっと大人び…いや、少年の面影が完全に消えて、大人の男になっていたけれど…間違いない。
生真面目でかたくって…でも、とても優しい目をした私の初恋…。
彼は子供の傍にしゃがみこんで話していたが、家の中から出てきた私の気配に気付くと顔を上げ私の表情を見て不思議そうな顔をした。
わからない?それとも忘れてしまった?
ひどく混乱しながら、それでも自分を建て直そうとした。
もう会うことはない。
そう思いながら、何度かシミュレートしたことのある突然の再会シーン。
それが今だ。
笑え、フランシーヌ。
そして“こんにちわ、忘れてしまったかしら?”と、あの頃よりもずっと大人になって魅力的になった私を見せるのだ。
そしてあの時のことを“素敵な思い出”として語り合うのだ。
…だけど、それは上手く出来そうにない。
ぎこちなくそれでもかろうじて笑顔に見えるであろうそれを彼に向けた時、彼は驚いたように目を見開き「フランシーヌ?」と私の名を呼んだ。



それからどういうやり取りをしたのかよく覚えていない。
無難に再会を喜び、花屋で働いてるとかなんとか会話をしたような気がするけど。よく覚えていない。
気がついたら私は花屋に戻ってきていて「大丈夫なの?」と花屋の奥さんに顔を覗き込まれていた。
そんなあんばいだから、仕事もめちゃくちゃ。
黄色の花は入れないで…っていわれたのに黄色の花ばかりで花束を作ろうとするし、料金をもらっているのにまた貰おうとしたり、ぼうっとしすぎてリボンの色を間違えたり。…ほんとにもう散々。
家に帰っても頭が働かなくて、夕飯を簡単に済ませた後はベッドに転がった。
小説なんて書けやしない。
それくらい彼との再会はショッキングだった。
なにがショックかって、彼がミュレルさんの孫だったってこと…ではなく、子持ちになってたってことでもなく…、私が彼を…彼との事を過去のものと割りきれていなかったって事。
彼を見た瞬間、私は16の少女になっていて…、蘇ったの亡霊は消えることなく今も私に寄り添っている。
「あー…胸がいたい」
何で再会しちゃうかね。
私に彼氏でもいれば、こんなみっともないことにならずに済んだかもしれないのに…。残念ながら付き合っていた彼氏とは別れたばかり。
それにしても結婚してたのか。しかも子供までいたのか。
年齢からすると普通だと思うけど、16の小娘の心はシクシクと痛んでいる。
「あぁもう。情けないわよ、フランシーヌ!」
昔の事。
昔の事…でしょ?
でもねぇ、フランシーヌ。前に友達に言われたセリフ、覚えてる?
『あんたが付き合う男って皆なんか似てるわよね』
「……」
その時は笑って否定した。
昨日までの私だってやっぱり笑って否定しただろう。
でも、今の私は否定できそうにない。
最初に付き合った彼氏から、最新の元彼まで。並べてみれば一目瞭然。
彼らは皆どこかにルートヴィヒの影をもっている。
「自分がこんなに一途だったなんてはじめて知ったわよ!」
私は枕に顔を埋め、そのまま窒息死したくなった。



数日後。
来るだろうな…とは思っていたが、案の定彼は店にやってきた。
可愛いユーリ君を連れて。
奥さんは一緒じゃないみたいだけれど、これにはちょっとホッとしている。
ようやく頭を冷やすことが出来たと思っていたのに、奥さんの姿なんて見たらまた打ちのめされてしまいそうだもの。
私はそっと胸を抑え笑顔を作ると「ルートヴィヒ!ユーリ君!」と手を振った。
人見知りをしないユーリ君は、私の声にパッと笑顔になり「お姉ちゃん!」と言ってパタパタと走ってきた。
父親は笑顔を下手に作ろうとすると恐ろしい顔になって、せいぜいはにかむような笑顔しか作れないのに、ユーリ君は本当に愛らしく笑う。
腰を下ろして走ってきたユーリ君を抱きとめると、彼はキャッキャッと楽しそうに笑った。
私はそんなユーリ君をよいしょっと抱え上げた。
「ユーリ…邪魔をしちゃだめだろう」
「あぁ、別にいいのよ。今、お客さんいないし」
そう言って彼の顔を見るのはやはり緊張する。
なにせ十年ぶりだ。あの頃の気持ちはどうやらそのまんま…未練がましく残っているようだけれど、あの頃の私がどんなだったか、彼にどんな風に接していたかはあやふやだ。
自分の態度がぎこちないとわかっているだけに、いちいち緊張してしまう。
「今日はミュレルさんのお使いかしら」
「いや…まぁそんなものだ。いつも世話になっているからと祖母が焼いたアプリコットパイを持ってきた」
「すごーーーく、美味しいの」
「あら、それは楽しみだなぁ~」
「おばあちゃんのお菓子はみんな美味しいの」
にこっと微笑むユーリ君はとても可愛い。
「そうね、おばぁちゃんのお菓子は私も大好きだわ」
そうやってなんとなくルートヴィヒから逃げるようにユーリ君との会話を続けていたら、途中で店の奥さんがやってきた。そして私とルートヴィヒを見比べ、何やら妙な勘ぐりをしたらしくユーリ君に花を見せてあげると言って、私達を置いて彼を連れて奥のほうに連れていってしまった。

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