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鉄条網のエレジー

FT系世界での海賊とでもおもってほしい。
連合船長アーサー→枢軸副船長ルイーゼロッテ
ただし“×”にはならない感じで。 ルイーゼロッテの出番がなかった。
気が向いたらあと1本くらいかく。
時間がないので…あまり見直してない。

古い地図の上にはコンパスと方位磁石、定規、そして古い手帳。
アーサーはそれに慎重に自船の位置を記し、線を引く。
「南からの海流にのって…」
「…いや、この辺りには島はねぇのに浅瀬があったな…船の底がつっかえるかもしれねぇな」
「やっぱりこいつを迂回するか…?いや、それだと…」
一人ぶつぶつ言っていたが、結局結論が出なかったのかムッとしたままの顔で立ち上がると、同じ部屋のソファで眠っていたフランシスの体を蹴った。
「おい、起きろ、腐れ航海士」
「いって…」
いいところにつま先が入ったのか、お腹を抑えてフランシスが起きあがる。
前のボタンを3つ4つ開けたフランシスはかなり気だるげに、長めの髪をくしゃくしゃと掻いた。
「なんだよ…」
「いいからこっち座れ」
元居た椅子に座り直したアーサーは、足で床を踏み鳴らした。
フランシスは大きくあくびをし、億劫そうに立ち上がるとアーサーの傍に立ち…丸い船窓から外を見た。
よく晴れた波のなだらかな昼。
船窓から島影はひとつも見えなかった。
昨晩飲んだアルコールが程よく体に残っており、とても気分がいい。
なのに…
「フランシス」
「わかってるよ」
カッカするなと言いながら、フランスは仕方なく丸椅子を引き寄せると、そこに座ってアーサーが見ている地図に目を向けた。
「…なに?お前、『人魚の涙』ねらってんのか?」
海図を読んでフランシスが尋ねると、アーサーは苦いような顔をした。
昔から彼とは付き合いのあるフランシスはアーサーの表情にひっかかりを覚える。
そして、
「なんだ、枢軸を追いかけるのはやめたのか?」
と探るような事を口にした。
「うるせぇな…」
「あんだけしつこく女のケツ追い回しといて、やけにあっさりしてるじゃねぇか」
アーサーがここ一年ほど執心しているのは、海賊船“枢軸号”…の副船長をしている女だ。
あまり友好的とは言えない出会いをした二人は、それはもう仲が悪かった。
アーサーだって“ぶっ殺す”と言って憚らず、命をとる気で追いまわしていたはずなのだが…いつの間にか敵船の副船長に惚れ込んでしまったらしい。
いったいいつ気持ちが入れ替わったのかは知らないが、それ以来アーサーは当初とは別の意味で彼女の後をストーカーのように追い回していた。
彼は彼女にいくら「ウザイ」「近寄るな」「沈め」「眉毛」と冷たくされても、そして可愛い妹に粉を掛けられて頭がプッツン気味の枢軸の船長、ギルベルトに殺されかけ、船を沈めかけられても、諦めるような素振りは一度も見せなかった。
これはもう完全な病気だ…とフランシスを始めとした船員たちは皆匙を投げていたというのに、なぜ突然それをやめて、ここの所ずっとほったらかしていた本来の仕事をやりはじめたとなれば何かあると思うのは当然の流れだろう。
「まぁやる気になったのはいいけど、それにしてもいきなり大きな山だな」
まぁアルフレッドあたりは喜びそうだけど。
と、フランシスは船一番賑やかでまたお祭り事が大好きな男の名を上げた。
「いいからさっさと航路を言えよ」
「んー。でもやっぱり気になるよな。なんだっていきなり“人魚の涙”なんて大物を狙おうと思ったんだ?」
「悪いかよ」
「だから悪くはないって」
くつくつと笑いながらフランシスはアーサーの横顔を見る。
腹を探られて不機嫌そうな顔。
しかも“痛い腹”を探られたという顔だ。
やはり何かある。
しかも勘でしかないが、やはりこれは枢軸の副船長絡みだな…とフランシスは目星をつける。
そして前に枢軸とはちあったのは何処の海だったかと回想した。
あれは確か……。そしてその前は……。
んん?もしかして?
にやりとするフランシス。
しかし彼がからかってやろうと口を開く前に「七つの秘宝」とアーサーはゲロッた。
おそらくフランシスにによによとされながらからかわれるよりは、自ら話してしまった方がマシだと判断したのだろう。
それにしたって随分と腹立たしそうだが。
「小耳に挟んだんだ。あいつらが七つの秘宝を集めてるってな」
「七つの秘宝ねぇ。確かに前回出会ったのは『アリスの小瓶』が眠っていると噂されてる海域、その前は『眠りの糸』の海域だったが…あれは殆どおとぎ話みたいなもんだろ?」
「俺だってそう思ってた。けどこないだ聞いたんだよ」
「何を?」
二人しかいないというのに自然と声は潜められる。
「枢軸が『赤の花飾り』を手に入れたって」
「……」
フランシスは驚きに息をのみ、しかしすぐに笑って前屈みになっていた体を起こした。
「おいおい、嘘だろ?」
「と、思うよな。俺も半信半疑なんだが…偶然にも手に入れたって噂だ」
アーサーはフランシスの目をじっと見つめて言う。
「七つの秘宝、『白の林檎』、『眠りの糸』、『赤の花飾り』、『かぐやの鏡』、『ちしゃの櫛』、『アリスの小瓶』、そして『人魚の涙』」
「七つが揃えば、"世界が手に入る"…か」
それは海賊たちの間でまことしやかに囁かれる伝説だ。
バカらしいと思うだろうか。
しかしこの世界は全てが解明されているわけではなく、世界地図にはまだまだ空白地帯が数多くある。
海の果てにある『世界の扉』、雲の上に浮かぶ『天空の国』、大地の下にある『地底大陸』、迷いの森の結界を抜けた先にある『妖精の国』…そんなものがまだ信じられる世界…いや、いまだそんなものが本当にある…ここは神に愛された世界なのだ。
「なるほどね」
ながい沈黙をおいてフランシスは言った。
「っで、お前はただ近づいても邪険にされるだけだから手土産を手に入れようってわけか」
「……」
「いや、あわよくば共同戦線、共同作業、合同探索?しようって魂胆か」
ただでさえ苦かったアーサーの顔がさらに渋いものになりフランシスは笑った。
「まぁ七つの秘宝を集めるってのは海賊の夢だからな。反対はしないよ」
「ならさっさと航路をかけよ!」
気まずさを紛らすように怒鳴るアーサー。
フランシスは特に逆らわず「了解、船長」と請け負った。
そしてろくすっぽ海図を見ていなかったくせに殆ど迷いなくシャッ、シャッと線を引いていく。
「この季節は、南の海流が少し西よりになる…だから…………ほら、これで2日短縮だ」
すいすいと予定を立てていくフランシスに、アーサーは口には出さないが内心はかなり感心していた。
アーサーは基本的にフランシスのことは大嫌いで気に入らないと思っているのだが、事航海士の腕だけは認めている。
絶対に口にはしないが。
「にしても、アーサー。お前、マジにマジなんだな」
すいすいと線を引き、片手でそろばんを弾きながらフランシスは言った。
「わりぃかよ」
「べつにー。確かにあれはいい女だからな。わからなくもない」
いや、わからないどころか、フランシスは一度ならず件の女、枢軸の副船長を口説いている。まぁ彼の場合、女と見れば五才児から七十を過ぎたご婦人だって口説くのだが。
「ま、頑張れよ」
フランシスの言葉に「言われるまでもねぇよ」とアーサーは憮然とした。

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