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ジャンバラヤ 02

4人で遊びに行ったのがきっかけで、ナミとエースはよく話をするようになった。
とはいえ、距離が縮まったとは言いがたい。
それはもエースは不特定多数の人間と仲がいいからで、そしてまたナミも積極的に彼に近づこうとはしなかったからだ。
だからビビに「近頃どうです?」なんて聞かれても何の進展もないと肩をすくめるしかない。

「別にどうこうなろうなんて考えてないし」

そうナミはてらいなく言える。
何しろエースは所謂二枚目からはすこしずれているが、とにかく人気が高いのだ。大勢の人間に常に囲まれているのはもちろん、美人と腕を絡ませて歩いているのをよく見かける。
美人が彼女なのか、遊びの相手なのか、それとも“友達”なのかは知らないが、天然でハーレムを築き上げるような相手に多くを望むとバカを見るのはしごく当たり前だろう。いや、惚れた時点でバカなのだ。
「出来ればさっさと忘れちゃいたいわ」
少しでも自分が可愛いならばそうするべきなのだ。
「でもナミさんは美人ですし!」
「あのねぇ、ビビ?あいつの周りには美人なんてありふれてるじゃない」
この学校の女生徒の他にも、他校の女子高生や大学生、果てはお金をうんともっていそうな美女なんかをつれている姿をナミは見たことがあった。
「…でも」
「そりゃ私だってね、そこそこだとは思っているわよ。でもね…」
いや嘘だ。本当はそこらの女の子よりはずっっと美人だと思っているし、そうあるための努力も怠っていない。その気になれば、彼氏をとっかえひっかえする事だって可能だと思っている。
だけどそれとこれとは別問題。
エースという男はどこまでも自由奔放で、とらえどころがない。
「あんなヤツ、絶対苦労するに決まってんのにねぇ」
ナミは自分の事を笑う。
「でも何か諦めつかないっていうか」
それだけ魅力のある男なのだ。
彼に本気でのめり込んでいる女も、遊びで構わないと思っている女も、そして自分のように惹かれずにおれない女もそれは認めるはずだ。
あれは強烈な吸引力でもって、人の心を掴んで離さない。
「そりゃそうですよ。諦める必要なんてないですから」
「ビビ、本気で言ってる?」
「もちろんです」
ぐっと両手を握ってみせるビビ。ナミは微妙な顔をして彼女をみた。
「応援してくれるのはありがたい。でもこの場合、止めてくれる方が友情にかなってる気がするわ」
ナミの言葉を聞いてビビは不思議そうに首を傾いだ。

 ※

自分が可愛いなら、あんな男にはさっさと見切りをつけるべきだ。

あんな天然ハーレム野郎に惚れても、バカを見るだけ。傷つくだけ。泣くだけ。
彼は誰にでも優しいし、誰にでも甘い顔をする。誰の肩にだって腕を回すし、誰の家にだってひょいと遊びに行く。
それに…多分、彼女にしてって言えば、迷わず「いいよ」なんて返ってくるのだろう。
ナミはそれを思うと悔しくくて悲しくなる。
そしてそんな時の自分の顔はどうしようもなく不細工で、最悪だ。
さっさと離れなくては…そう思うのに、それがなかなか上手く行かない。
彼という男は本当に気まぐれで、どこに行けば大抵いる…という場所がない代わりに、どこにだって神出鬼没で避けるのが難しい。

「はぁ」

こんなの自分らしくない。
一人の男に振り回されるなんてらしくない。
あの男の弟であるルフィならまだしも。
私は本来男を振り回すタイプ。そうだったはずでしょう?
なのに…

「最悪」

ぼそりとつぶやくと、「なにがだ?」と言葉が返ってきてぎょっとする。
振り返ると件の男…ではなく、ルフィが不思議そうな顔をして首をかしいでいた。
「何が最悪なんだ?」
「べ、別になんでもないわよ!」
思わず怒鳴ってしまったが、ルフィはそんなことでどうこう思うような繊細な精神は持ちあわせては居ないらしい。「そうか!」と楽しそうに笑って「それより」とすぐに話を切り替えてきた。
「今度の休み、バーベキューやるんだ!ナミも来い!」
なによそれ…と、ナミは呆れた。今更ではあるが。
「“誘い”じゃなくて“命令”?」
「そうだ!昼の部と夜の部と二回だぞ!」
「二回も?」
「おう!エースが夜しかこれねぇっていうからな!」
そのセリフにドキッとナミの鼓動が跳ねた。
顔に出なかっただろうかとナミは心配するが、ルフィは全く気づいていないようなので安心する。
「あんた、私に用事がある…とか思わないわけ?」
「おう!ビビもナミはきっと行くっていってたからな!」
余計なことを。
舌打ちをしそうになるのをナミはこらえ「そう」とだけ言った。
どうせどんな言い訳をこさえたところで、ルフィはききっこないのだ。
「…わかったわよ」
ナミが全てを諦めて了承すると、ルフィは嬉しそうに「決まりだな」と笑った。

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