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041 まだまだ先は長く 04

続きっぽい感じ。
今回はギルバート!! 実は大好きギルバート(笑

ゆったりとした赤い布、金の刺繍、そして幾重にも重ねるように付けられた虹の塊のような色とりどりの宝石がついたアクセサリー。
線の細い体、白い肌、女性のようにたおやかな美しさを持つダムシアンの王、ギルバートはパーティ会場の人ごみの中に懐かしい顔を見つけると、「失礼…」と一言断ると壁の花になっている彼の人へと近づいた。

「セシル!」

声を掛けるとパラディンらしく白い衣装に見を包んだセシルはギルバートを見て柔らかな笑顔を見せた。
セシルもまた女性的な美しさと表現されることが多いのだが、ギルバートと並ぶとセシルは中性的な美しさといった表現のほうがぴたりとくるかもしれない。
「ギルバート」
笑顔で抱擁して挨拶を交わす二人は、知らぬものが見れば美しい恋人同士に見えるにちがいない。それほどに美しく、目を引く姿を二人はしていた。
「久し振りだね、セシル」
「そうだね、元気そうでなにより」
体の弱いギルバートの頬が健康的に色づいているのを見てセシルが言うと、ギルバートはお陰様で…と目を細めた。
「色々と大変なことはあるけれど、みんなが助けてくれているから…」
「今はもうすっかり?」
「いや、体の弱さは昔からだから。でも落ち着いているよ」
二人が壁側に置かれた椅子に腰かけると、彼らを見ていた婦人達は声を掛けたそうにしたが、一人の女性が一つの情報を彼女たちに与えると彼女らはさっと散っていった。
ギルバートが不思議そうに首を傾ぐと、セシルが「僕のせいだ」と苦笑した。
「バロンでは僕の悪評は兄さんよりずっと高いからね」
「えっ」
ギルバートは驚いたが、何か思い至ることがあったのだろう。すぐに冷静な…いや不機嫌そうな表情を浮かべた。
「君が悪役を買って出てるって噂は本当だったわけだ」
「そんなことしたかな」
はぐらかすように言うセシルをギルバートは恨みがましげに睨む。
「そうだね。君は積極的に何をしたっていうわけじゃないんだろうね。いや、何もしないことを“した”っていうべきかな?」
あえて汚名をはらさなかった…といってもいいかもしれない。
バロン王や、ベイガンをはじめとした人々の名誉を守るために。
「…買いかぶり過ぎだよ」
「そうかな。まぁセシルの気持ちもわからないでもないけれどね」
「実際僕は責められるようなことをいくつもやってきたしね。仕方がないさ」
「それだけじゃないだろう?」
「そう、思いたいな」
あくまで控えめなセシル。
ギルバートは少し呆れるが、どこまでも驕らないのがセシルの良さでもある。
ギルバートはため息をつき「それでいいの?」と聞いた。
「なんだか君ばかりが損している気がするけれど…」
セシルはもちろん英雄の一人ではあるが…、それでも彼を悪くいう人は多い。
「人が好すぎるよ」
もしそれがなければ…今日、この日に婚礼をあげていたのは…ローザの隣に立っていたのは間違いなくセシルであったはずだ。
ギルバートは人ごみの中に即位したばかりの新しい王の姿を探すと、小さくため息をついた。
今更言ったところでどうしようもない問題だ。しかしそれでも彼は、ローザがセシルとは違う男の隣に立っているということに深い憐憫を覚える。
旅を続けていた頃、彼は愛しい人を亡くしたばかりで、二人の仲睦まじい姿に自身を省みて胸が痛くなったことは何度もあった。
だが二人との付き合いが長くなるにつれ、彼ら二人には絶対に幸せになってほしいと思ったのだ。
そうならなければならない…と。
「ギルバート…」
セシルに名を呼ばれ、ギルバートは自分が涙をこぼしそうになっていることに気づき、慌てて指でそれを払った。
「ごめん…」
「いや、気持ちは嬉しいよ」
にこりと微笑むセシルにギルバートの胸はしくしくと痛む。
「後悔は…ないの?」
「今は。でももっと後になったら多分するんじゃないかな」
セシルは他人事のように言った。
「でもその後悔だって、僕が望んだものだからしかたがないよ」
「セシルらしいね」
「褒め言葉ととっておくよ」
「うん」
「だからさ…泣かないで欲しいんだけれど」
困ったように言われてまた涙が零れそうになっているのにギルバートは気づいた。
今度も彼は慌てて目尻を指でぬぐったのだが、今度はそれが裏目に出た。
目を刺激したせいかどうかはしらないが、大粒の涙がポロポロと流れだして止まらない。
「あ、ごめん、なんか…ちょっと…」
「え、ちょっとギルバート?」
慌てるセシル。
傍から見れば、セシルがギルバートを泣かせたようにしか見えない。
そして中にはギルバートのことを女性と勘違いして、きこえるような陰口を叩く者まであった。
ギルバートは申し訳ないと思い、なんとか泣き止もうとするのだが、涙腺がばかになってしまったのか余計に涙があふれる。
声こそあげないものの両手で顔を隠して本格的に泣き始めたギルバートにセシルは顔を青くし、カインがやってくるまでオロオロとしているしかできなかった。

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