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2-1=0(比翼連理) 09

多分少しでかなった。
史実ガン無視。 途中で話が行方不明。
もちろんよみかえしてないです…。orz

今回の戦いではかろうじて勝利をおさめたもののその被害は甚大で、ドイツも無傷では済まなかった。
切り傷、打ち傷は数知れず、あばらが数本いかれ、頭にぐるぐると包帯を巻きつけたドイツは熱が高く、屋敷に戻った時には完全に意識を失っていた。
部下二人に両側から支えられるようにしてベッドに横たえられた彼は、そのままこんこんと眠り続けた。翌日も、その翌日も…。

そして三日目。

「ドイツ様、ドイツ様」
肩を揺すられドイツはゆっくりと目を覚ました。
彼の顔を覗き込んでいるのは屋敷の家令でサミエルだった。
昔は少々そそっかしいところのある生意気な少年だったのだが、月日を重ねた今はその面影はない。
見事なシルバーの髪を撫で付け、顔には深い皺がいくつもできている。
未だ高い熱にぼぅっとしながらドイツは家令の顔を見、口を開こうとして喉がカラカラであるのに気づいた。
家令はそれを承知だったのだろう、すぐに“吸いのみ”から水を呑ませてくれる。
「すみません、本当はお休みになっていただきたかったのですが…」
「なにか…あったのか?」
かすれる声に喉をなでながら言うと、家令は少し言いづらそうに口ごもった後「実は…」と口を開いた。
「ギルベルト様が、夕方から姿が見えないのです」
「ギル…ベルトが?」
驚き体を起こそうとしたドイツは、その瞬間走った全身の痛みにウッと呻いた。
「すみません、今、屋敷のもの総出で探させているのですが…」
「見つからないのか…」
「はい。それで、国の方には…近しいものを感じる不思議な力があると聞いたことがありますので…」
「今、何時だ…」
「もうすぐ10時を回るところです」
「そんなに…経っているのか」
ドイツは痛みに呻き声を上げながらゆっくりと体を起こすと、サミエルが「すみません」と申し訳なさそうに頭を下げた。
「あの…ドイツ様」
「大丈夫だ。俺が行こう」
「そんな、ドイツ様がわざわざ出なくても…」
「いや」
彼は痛む体を無理やり動かしベッドから苦労して足をおろした。
それだけで額にびっしりと汗を浮かべるドイツをサミエルはオロオロと見る。
「俺が直接探した方が早いだろう。服を」
「しかしそのお体では」
「大丈夫だ。俺の体は人よりも丈夫に出来ている。それよりもギルベルトが心配だ」
ドイツが自ら寝巻きを剥ぎだすと、サミエルは慌てたようにそれを手伝い始めた。
「あれは我が民族の念願だ。あれを手元に置きたがっている者は多い」
「…はい」
「それに、他国も彼を狙っている。あれはわんぱくだが、それでもまだ小さい。あれを殺めようとする国があれば、容易いものだろう」
痛みに息を荒くしながらドイツは服を着替えると、降りていた髪を軽く撫で付けサミエルに馬をひくように指示をだした。



馬が一歩駆けるごとに、折れて鋭利になったあばらが肉をグザグザにかき回しているような鋭い痛みが走る。
思わずからだが強ばりそうになるが、それでは馬の走りが遅くなる。
ドイツは奥歯を欠けるほどに強く噛みしめ、全身汗みずくになって真っ暗な夜を駆けていた。
屋敷を出たときには頭がまだぼうっとしていたが、痛みが彼の頭をたたき起こし、ついでにシックスセンスともいうべき国の感覚を覚醒してくれていた。
今ドイツにはギルベルトのいる場所がはっきりとわかった。
大きな木の影で、木々の揺れる音や夜鷹の声に怯え小さくなっている姿が手に取るようにわかった。
彼は心の中でしきりにギルベルトに呼び掛けていが、まだ国としての感覚が薄いせいか、それとも恐怖に耳を塞がれている状態なのかギルベルトは応えない。
「まっていろ」
汗で手綱がずるりと滑り、馬から落ちそうになって慌てて足に力を入れる。
その途端、腹に衝撃が走り喉から悲鳴が出た。彼は喉の奥に血の味を感じた。


 ***

親父を傷つけたやつをやっつけてやる!!!
そんな心意気で飛び出してきたはいいものの、陽がくれて身動きの取れなくなったギルベルトは大きな木の影で小さくなって震えていた。
両手で小さな剣を持ち、木々がザワザワと音を立てる度、それをギュっと握って現れるはずもない“敵”に備える。
彼の精神はささくれ立ってボロボロになっていた。
それでも人の子のように大声で泣き喚かないのはさすがといっていいかもしれない。
「だ、大丈夫だ。もうすぐ夜明けだ。そ、そしたら仇を打ちに行くんだ」
そう自分に言い聞かせる。
実際にはまだ日付が変わってすらいないのだが、彼はもう一日も夜を過ごしたような気分になっていた。それに兵糧(お菓子)も尽きたことや、曇り空でほとんど周りの様子がわからないことも彼を不安にさせていた。
本当を言うと、もう仇を取るなんて気はもうほとんどなく、今すぐ帰ってドイツの胸に抱きつきたい気持ちでいっぱいだった。

と、その時である。

「―…・・―! ― ――!」

人の声が聞こえた。
ギルベルトはハッと身をすくめさせ胸の前でぎゅっと剣を握り締めた。
戦う気満々で飛び出してきたものの、彼は完全に腰が引けている。
心臓がバクバクと恐ろしいほどの速さで鼓動を打ち、胸がぐるぐるして吐きそうになった。屋敷のものが探してくれているという可能性を彼は一切考えることができず、誰かが…ドイツをいためつけた誰かが、自分までも傷つけにきたのだと思って怯えていた。
絶対的な捕食者を前にした被食者のようにぶるぶると震えるギルベルト。
「親父…ッ」
助けて。
そう小さな悲鳴を上げた時、「ギルベルト!」と彼が敬愛してやまないドイツの声が耳に飛び込んできた。
ギルベルトは声にハッとし、ろくに相手を確かめる事もせず小さな剣を放り出すと、声の方に走り出した。
うわぁああぁぁあ と、気合とも悲鳴ともつかぬ大声を上げ、両手をブンブン振りながら走る…と、ぽっこりと出ていた木の根っこにつま先をひっかけペタンとこけた。
ずるりと滑って顔を打ち付けるとともに、手のひらが擦れた。
自他共にわんぱくである彼は怪我に慣れている。木から落ちたこともあるし、川に落ちたことも、犬に噛まれたこともある。その時の怪我は、この時のものよりもずっと大きな怪我だった。だが今はその時よりもずっと痛かった。
彼はじわっと涙が溢れそうになった。
「おや…」
「ギルベルト!」
そして零れそうになったその瞬間に、彼は脇の下からふわりとすくい上げられたかと思うと、暖かい胸に抱き寄せられた。
誰か?…言うまでもない。彼の保護者であり、彼が敬愛する父であり兄でもあるドイツだ。
「はぁ、はぁ…こんな所にいたのか」
「お、親父…」
ギルベルトがぎゅっと抱きついた瞬間、クッと僅かなうめき声を上げドイツの体が一瞬こわばった。
それに気づいたギルベルトはハッとして体を離す。
彼の目から流れていた涙は一瞬にして止まっている。
そして痛みに耐えるように動けないでいるドイツを見て、ギルベルトはサッと顔を青ざめさせた。
「お、おやじ?」
そう、彼は自分の事に必死で、一瞬頭から抜けてしまっていたが、ドイツは大怪我をしていたのだ。
「だい…丈夫だ」
ドイツはそう言うが、まったく大丈夫そうには見えない。
僅かな明かりの下でも彼の顔が歪んでいるのがわかるし、その顔にはびっしりと汗がういている。声は押し殺したように低いし、彼はギルベルトを抱きしめるために腰を屈めた姿勢のまま、彼は全く動けそうになかった。
「ど、どうしよう、親父、親父ッ!」
「ちょ…と、まってくれ」
息を整え、なんとか痛みを押し殺そうとしているが、あまり上手くいっているとはいえない。
しかしまたボロボロと涙を流し出したギルベルトの前で、そうそう弱った姿を見せても居られない。
「お、親父ぃ、どうしよう、お、俺、親父ッ!」
「大丈夫だ」
ドイツはもう一度奥歯を噛みしめると、膝に力を入れ立ち上がると、ギルベルトの体を抱き上げ笑顔を見せた。
「親父?」
「まったく、お前が心配をかけるから」
「ご、ごめ、ごめん、親父ッ!」
ドイツの太い首にだきつくギルベルト。その拍子にまたドイツの内臓はぐさりと痛み、足から力が抜けそうになるがドイツはそれをこらえると、ギルベルトの背中を軽く叩いてやった。
「悪い子だ」
「ごめん、でも、おや、親父に怪我させたやつをやっつけようとおもって…ッ!」
「あぁ、そうだったのか…心配をかけたな」
ドイツはゆっくりと乗り捨ててきた馬の方に歩きながらクシャクシャとギルベルトの髪を撫でてやる。
「親父目ぇ覚まさなかったし…サミエルのやつ、あわせてくれねぇし…」
「そうか。悪かったな。少し…疲れてたんだ」
「でも、怪我…」
「少しな。だけどもう大丈夫だ」
「本当か?」
顔を覗き込むギルベルト。ドイツは穏やかに微笑んでいるようにギルベルトには見えた。
実際は今にも倒れそうな状態ではあったのだが、これ以上彼を泣かせるわけにはいかないし、情けない姿も見せるわけにはいかなかった。
口の中は先程よりもずっと血の味が濃かったし、肺がヒィヒィと悲鳴を上げていたし、足は今にも崩れ落ちそうだし、内臓はひどいことになっていることは請け合い、その上熱のせいで頭がフラフラする。
だがそれでもギルベルトのためにこれ以上弱っている姿を表に出すことはドイツ自身が許せなかった。
今夜の無茶のせいで家令からひどい説教を受けることになっても、完治するまでの時間が伸びても。もう、ギルベルトに心配は掛けたくなかった。
「もちろんだ。それより早く帰ろう。もう寝る時間はとっくに過ぎているぞ」
「…うん」
「きちんと食べて、きちんと寝ないと大きくなれないと教えただろう」
「ごめん…ごめん、親父」
ギルベルトはドイツの方にぐりぐりと顔を押し付けるようにして泣く。
ドイツはギルベルトを慰めながら、馬の傍に立つと、あぶみに足をかけると力強く体を持ち上げ馬にまたがった。その時にも尋常ではない痛みがドイツの体を貫いたが、もう彼はそれを表に出すことは一切しなかった。
代わりに彼は柔らかくギルベルトを抱き寄せ「さぁ、帰ろう」といって、馬をかえした。

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