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真夏の月

石岡×御手洗 というか 石岡→←←←←←←←御手洗
現在、占星術と斜め屋敷を読み終わってる
舞台は現代です。 タイトルに意味なんてない。
これでひと通り終了のつもり

何を真剣な顔をして見ているのかと思えば…

「おもしろいかい?御手洗君」

声を掛けると、テレビを睨むように見ていた御手洗は首を横に振った。
「全然」
「じゃぁなんだって見てるんだい?」
彼のつけている番組は、いわゆる音楽番組というやつで流行りの三人組アイドルが長い足を見せつつ踊っている。
「だって、君がこの子たちが可愛いっていったんだぜ」
「僕が?」
言っただろうか。…いや、言ったかもしれない。
いつだったか彼女たちのポスターの前で、言ったような気がする。
彼女たちの歌は好きだし、CDも持っている。正確に言えば、彼女たちに曲を提供しているアーティストのファンなのだが。
「で、わざわざチェックしてくれてるのか」
「別にそういうわけじゃないけどね」
そう言いながら御手洗は画面の中の彼女たちを今にも噛みつきそうな目で見ている。
どうやら彼は彼女たちが非常に気に入らないらしい。
真ん中の子なんて今度ドラマにも出演する人気だし、その他の二人だってとても可愛くて好感度が高いっていうのに。まぁ彼は顔がいいから、美人に対する評価が相対的に低くなっていたりするのかもしれないけれど。
「僕にはさっぱりわからないよ。彼女達が歌っている歌詞の意味も、振付の意味も、スカートの短さも、あの頭につけている変な星も、誕生日を偽っている意味も」
そりゃ君にはわからないだろう。っと言おうとした私は、御手洗の最後の言葉にぎょっとした。
「誕生日を偽っているって?」
「そうだよ」
「なんだってそんな事を言うんだい?」
「だって彼女が言ったんだぜ」
「なんて?」
「正確には真ん中の子だけど、誕生日の話題になって火曜日に生まれたって言ったんだ。けど19**年の**月**日には火曜日じゃない」
「そ…それはいい間違えただけじゃないか?」
「まぁそうかもしれないけれどね、だとしたらその前年の同じ日が火曜日ってのはちょっと腑に落ちないね。それによく見てると、横の二人はちょっとばかり彼女に遠慮しすぎな気がする。彼女は二人よりもひとつ年上だよ。…まぁこれは僕の気のせいだとしても、西洋占星学者からの観点から言っても多分彼女は1年まるまるサバを読んでいると思うよ」
彼女の公式の生年月日じゃぁ、こんな華やかな世界で活躍なんてできるわけないし。
嘘を最小限にするために年だけを偽っているのだと指摘する御手洗に私はぽかんとした。
なんというか…
「乱暴だなぁ」
私の指摘に彼は「わかってるよ!それくらい!」とキーッとなって言った。
半ばヒステリー状態でバタバタと足を踏み鳴らすと、テーブルの上にあったリモコンをとりテレビを消したかと思うとまたつけ、ヨーロッパの街並みを映した番組に切り替えた。
「ふん、僕には全然理解できないね!」
「…まぁ、そうだろうね」
私にとっては彼こそが一番の謎なのだが。
「でもまぁ、直接顔を合わせるわけでもないし」
「そんなのわからない!」
「いや、たしかにわからないかもしれないけどさ…常識的に考えて、もし街でばったり出会ったとしても、向こうはこっちを認識していないわけだから…」
「それだってわからない!」
「というか…やけにひっかかるね。何かあったのかい?」
呆れて言うと、彼は私を恨みがましい目で見た。
「だって、君がいったんじゃないか、真ん中の子が可愛いって!」
「そりゃ言ったかもしれないけど…それだけじゃないだろう?」
「だって、君は…君は…」
そういってものすごく悔しそうな顔をしてうつむく御手洗に、私はなんとなく事情を察した。
「もしかして、君、妬いてるのか?」
彼は以前から私のことが恋愛対象として好きだと告白してくれている。
最初は冗談だと思っていたのだが、彼が頻繁にそれを口にするのと冗談とも思えない態度から近頃ではそれを本当らしいと感じるようになっていた。
そのことについては、ずるい私は彼が答えを迫らないのに甘えてまだ答えを出していない。
「仕方ないじゃないか。僕は君が好きだって言っただろう。だから君が好きだって人は自動的に僕の敵ってことだ」
「それは…まぁそうかもしれないけど」
私は彼のストレート過ぎる言葉にどぎまぎしながら言った。
「さすがにアイドルとどうこうってのはないだろう」
と、思うのだが、彼の拗ねた表情は変わらない。
「それとも何か懸念するようなことがあるのかい?」
そう言いながら私は、彼の横に彼の専門分野である占星術の本が置かれているのに気づいた。
まさかまさか。
「君、占ったのか?」
私の言葉に彼はとてもバツの悪そうな顔をした。そして「占ったよ…」と苦々しく言った。
彼の様子ではあまり“彼にとって”良い結果は出なかったのだろう。
「それは公式発表の生年月日で?それとも、それよりも一年前の年のもの?」
「どちらも」
「そうなのか」
それで?と聞ききたかったが、御手洗の顔が非常に厳しいものになっているのに気づき抑えた。
代わりに「君は本当に僕が好きなんだな」といってみると、彼は「そうだよ」と拗ねたように言った。
「だって僕は君が好きだから」
「うん」
「でも、君は…僕が好きじゃないだろう?」
「好きだけど」
「だけど、“そう”じゃないだろう?いやわかってるんだけどね」
ぶつぶつという彼は…なんというか、とても可愛い。
大の大人にむかってなにを…というかもしれない。実際自分でもどうかと思うのだが…ここまでまっすぐに好意を寄せられてぐらつかない人間がいるだろうか。たとえそれが同性だとしても。
いや、同性だからこそかもしれない。
同じ性を持つものが、それを了解した上でまっすぐに私を好いていると、愛していると告げてくれるのだ。
ソファの上で三角座りをしている彼を見ていると、胸が締め付けられるように痛む。
完全にほだされているような気がする。
私がため息をつくと、御手洗の肩がピクンと跳ねて、彼は抱き寄せた自分の膝こぞうに額をくっつけるようにして丸くなってしまった。
どうやら彼の精神状態は完全にウジウジないじけモードにはいってしまったらしい。
放っておこうか。
そう思ったのは確かだが、私は立ち去ることができなかった。
というか…もういい加減いいんじゃないかとおもってしまったのだ。
もういいんじゃないか。
それは多分、悪魔の囁き。
いや、違うかもしれない。
だけど…まぁ、どちらでもいい。

「御手洗君、あのね、実は僕も君のことが君と同じ意味で好きになってしまったみたいなんだけど」

私は、彼が愛おしい。

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