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にっちもさっちも 03

続けたりして…。 中途半端です

日曜日、まだ一度も活動実績のない名無しのバンドメンバーたちは、ドラムセットの持ち出しの許可を得てヴァルガス兄弟の家にやってきた。
「でも、本当にあるかどうかわかんないんだよね」
とは、ヴァルガス兄弟の弟の方であるフェリシアーノで、彼は鎖でぐるぐるまきになった上南京錠のかけられた扉を開けようと四苦八苦していた。
納屋は三階建てになっていて、とても大きい。
彼の祖父は海外を転々としていて、世界各国から気に入ったものがあると送りつけてくるらしいく、そのたびにこの納屋に納めてきたらしいが…
「あ、あいたよ」
じゃらじゃらと鎖を解くと、ギルベルトか両側スライド扉の片側につき、ルートヴィヒが反対側について重い扉を押し開く…と…
「うわ、こりゃすげぇ」
フランシスが中を見て声を声を上げると、アントーニョも口笛を吹いた。
「こないだまた大きなコンテナで荷物が届いちゃって、兄ちゃんと一緒に放り込んだんだ」
納屋には入り口から一メートルほどしか中には入れず、あとは物が積み上がっていてまったく全く足の踏み場がない。
「前みた時はここまでじゃなかった気がするが…」
「ヴェ」
「すんげぇ~これ火事になったらやべぇんじゃねぇか?」
「宝の山やんなぁ~」
「でも、この中から探すとなれば、ある程度は庭に出さなきゃいけないぜ?」
うんざりと言った様子のフランシスには他のメンバーも同意だ。
「しかも肝心のドラムセットも本当にあるかどうか曖昧なんだろう?」
「多分見たとは思うんやけどなぁ~」
「これ、絶対一日じゃおわんねーだろ…」
「あ、そういえば、マードレが気に入ったものがあったら何でも持っていっていいって言ってたよ」
マードレとは母親のこと。つまり祖父の実の娘でもある、二人の母親のことだ。
話を聞くと、その『マードレ』も今は亡き祖母も、祖父の収集癖には辟易しているらしい。
このままじゃもうひとつ納屋を建てなくてはいけないと悩んでいたところなので、欲しいものは譲ってくれるそうだ。
「捨てると怒られるけど、欲しい人がいて譲ったっていうと爺ちゃんも納得してくれるんだって~」
確かに、その気持ちはわからないでもない。
「しっかしすげぇなぁ…」
「あぁ、これじゃ二階に登るのだって大変だぜ?」
「その上3階まであるんやろ~?」
階段は建物の両側に2つ付けられている。入り口からの距離は3メートルといったところだが、その間には大量の荷物が積み上げられていて、そう簡単に近づけそうにはない。
その上、階段にも荷物が乗っているので本当に大変そうだ。
手を出すに出せないといった様子で、みんなが立ちすくんでいる中、「ふむ」とルートヴィヒは考え「とりあえず…」と口を開いた。
「庭にビニールシートを引いて、その上に荷物を出して行こう。見たところ、荷物は随分多いが、かなり乱雑に積み込まれている。少しずつスペースを開けて、その上でもう一度綺麗に荷物を積み重ねながら少しずつ攻略していこうことにしよう」
「うわ」
「出たよ」
「それ、一週間はかかる仕事やないか?」
現場監督の如きルートヴィヒの言葉に三人はすでに疲労困憊の体で肩を落とし、フェリシアーノだけは人事のように「ヴェー」と鳴(?)いた。

 *

しかしそれでもドラムセットを探すことにして、早々にリタイアしたフェリシアーノを除いた四人は黙々と体を動かした。
信じられないほど重い木材でつくられたタンスや、熱帯雨林の奥深くに住む少数民族が祭りの際に使うような奇妙な盾、陶器でつくられた巨大な“たぬき”など協力しながら運び出していく。
こういうものは得てしてやっていくうちに楽しくなるもので、体力があまりないフランシスは別として他の三人は割りと楽しんで作業をしていた。
ルートヴィヒ等は、途中で工具箱を見つけると要らなそうな木材で棚を作って収納スペースを増やすという事までやっている。

昼をまわり、庭にひかれたブルーのビニールシートの上には荷物が沢山つみあがっていた。
といっても、まだ一階の半分も片付いていない。だがそれでも確実に進捗が見えるので、すでにグロッキーなフランシスはおいておいて三人の士気は高い。
「お、これ空箱だぜ、ルッツ!」
「あぁ、そこにおいといてくれ、あとで何か収納しよう」
「うわー、棺桶あるわぁ、中身は…なんやこれ、竹がいっぱいはいってんで?なんやろ?」
「とりあえず、日干しにしといてくれ。それとそこにあるこざこざしたものを、そっちの箱に入れてくれないか」
「了解や~」
「それが終わったら、そっちに置いといてくれ。また小さなものが出てきたらそっちに置くように。それから兄さん、他に棚になる材料のようなものはなかったか?」
「あぁ、それならこの板が使えそうだぜ」
「もうお兄さん…だめ」
「だったらフランシスは収納されているものを少し綺麗にしてくれないか?」
自然とルートヴィヒがリーダーとなり、着々と作業をすすめていった。
と、そこに、
「フランシス兄ちゃんたちー!お昼つくってきたよー!」
いつのまにやら姿を消していたフェリシアーノがやってきた。
彼は両手で大量のスパゲティの盛られた大皿を抱えており、そしてその彼の後ろには今日は出かけているのかと思っていたロヴィーノがパンの入ったバスケットを持って立っていた。

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