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にっちもさっちも 02

続けたりして…。ちょっとみじかいけど。

「決まったぜ!ルッツ!メロディックパックだ~!」

夜半に帰ってきたギルベルトは笑顔で言った。
しかし、ギルベルトは楽しそうではあるものの…あちこち怪我をしており、左手の袖などは取れかけている。ルートヴィヒの去った後は喧嘩になるだろうとは思っていたが、予想より大きなものになってしまったらしい。この分ではアントーニョはともかくフランシスはひどいことになっていそうだ。
そろそろ部屋に戻ろうとしていたルートヴィヒはうんざりしながらも、テンションがあがりきった兄をほうっておくことが出来ない。…というより、こんな時の兄はほうっておいたらほうっておいたで煩くて眠れないのだ。本当にどうしようもない兄だ。
「とりあえず…制服を繕うから脱いでくれないか」
「ん?あぁ。それより、ドラムだけどよ、スペインの奴がロヴィーノの家の納屋で見たような気がするって聞いたんだけど知らね?」
ギルベルトは豪快に上着をぬぐと、ルートヴィヒの方に放った。
ロヴィーノといえば、ルートヴィヒの友人であるフェリシアーノの兄だ。
ルートヴィヒとフェリシアーノ、そして本田の三人はお互いの家を頻繁に行き来する程に仲が良い。
そのフェリシアーノの家には、家と同じくらい大きな納屋があって、中には彼らの祖父が集めたというコレクションでいっぱいになっている。
大昔の甲冑や大きな柱時計。見事な彫刻の施された額に入った絵画、木馬、農具、馬具、チェス盤、郵便ポスト、ジュークボックス、ナンバープレートなどなどあらゆるものが詰め込まれている。
ドラムセットがあったかどうかは定かではないが、なかったとも言えない。
「明日、掘り起こしに行こうって話をしててさぁ~、ケセ、楽しみだぜ!」
「おい…。人の家の持ち物だぞ、勝手に…」
「おう、だから話つけといてくれよな、ルッツ」
「はぁ…」
ギルベルトは一度言い出したら聞かない。
もし断られでもしたら、夜中に納屋に入り込むんじゃないかとルートヴィヒは頭が痛くなった。
「ドラムがみつかりゃあとはアントーニョのベースだよな」
「フランシスはギターを持っているのか?」
「アコギな」
「アコースティックギターでやるのか?」
メロディックパンクを?
ルートヴィヒは前衛的な光景を頭に描きそうになったが…。
「アコギはイギリスのギターととっかえっこするって言ってたぜ」
「い…イギリスとか?」
それはかなり無理があるような気がしたのだが、イギリスは何本もエレキギターを持っていて、一本くらいくすねてもわからないはず…らしい。
「だったら、とっかえっこをする必要はなくないか?」
ギターのコレクションの中にアコギが一本入り込んでいたら、それこそ盗難に気づくのではないかと指摘すると、ギルベルトの顔がパッと明るくなり「頭がいいな!ルッツは!」と声を上げたかと思うと、「さすがオレ様の弟だぜ!」とルートヴィヒの頭をかき回した。
「やめてくれ!」
ルートヴィヒは暑苦しい兄を引き離すと、ぐしゃぐしゃになってしまった髪を手櫛で整える。
「ちぇ、お前は前髪おろした方がかわいーのによぅ」
「だから嫌なんじゃないか…。で、残りはアントーニョのベースか?」
「あぁ、だれかいねぇかなぁ、持ってそうなの」
「そうだな…」
ベースはギターに比べるとどうにも影が薄く、とっつきにくいイメージがある。
ギターを持っていそうな人間なら何人か思い浮かぶが…
「あ、そうだ」
「ん?誰かいたか?」
「いや、そうじゃなくて、他にバンドを組んでいる知り合いとかはいないのかと思って」
「あぁそうか」
ギルベルトは心当たりがあったのだろう。すぐにニヤリとした。
「確か去年の文化祭じゃ、北欧の出身連中がバンド演奏してたぜ」
「……喧嘩はするなよ」
北欧出身の5人組は、1人を除いてわりと穏やかな性格をしている。
しかし一度着火してしまうと手におえないような激しい一面も持っているのだ。
もともと血の熱い兄と彼らが喧嘩なんてすることになれば、バンド活動どころか数ヵ月はベッドからも起き上がれなくなるに違いない。
ルートヴィヒが釘を刺すと、ギルベルトはケセセと笑い「任せとけ」と胸を叩いた。
…はっきり言って、ルートヴィヒは何一つ安心できなかったが。

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