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ゼロの夜想曲 44

ごとごとと揺れる馬車。
私は眠っていた。
瞼が重く、あけることはかなわない。
眠りに深く落ちてしまいたい。
だけど、不安がある。
私の背後に闇があるから。
真っ黒な闇があるから。
密度の高い、底なしの闇があるから。
怖い。
この闇は、恐ろしい
そして
この闇は、優しい。
だからこそ怖い。

この闇に囚われてしまったら・・・そうしたら・・・・


・・・イズ・・・ルイズ・・・ルイズ

「ルイズ、いい加減に起きろ」

体をゆすられてハッと目を開けると、途端に飛び込んできたのは灰色の瞳。
コロコロと色の変わる瞳と縦に長い瞳孔に少しはなれたつもりだけれど、ふいうちに見るとやはりちょっとぎょっとする。
「な・・・なに」
上ずった声に、私の使い魔(と言っていいかはわからないけれど)玲治は体を離し口角を少しだけ上げた。
「おはよう。ルイズ」
「えぇ・・・おはよう」
気のせいかしら・・・なんだか彼はとても機嫌がいいように見える。
「体の調子はどうだ?」
「体・・・?」
そういえば・・・っと回りを見渡すと、そこは学院にある私の部屋だった。
「あれ・・・?」
いつの間に移動したのだろうかと不思議に思っていると、彼は呆れたように息をついた。
「全く、丸一日以上も寝ていたんだぞ。ルイズ」
「一日・・・?」
「覚えてないか?フーケ討伐のことを」
フーケ討伐・・・?そんなこと・・・
「・・・破壊のピラミッドの奪還作戦のこと?」
私が訂正すると、彼は「そうだったか?」なんてとぼける。そのいつもより若干柔らかな横顔。
やっぱり・・・機嫌がいいのかもしれない。
だけど、思い出した。そうよ。私たちはフーケを追って森に入って・・・そして、フーケの隠れ家を見つけて・・・破壊のピラミッドを見つけて・・・だけどその直後にフーケが練成したと思われる巨大なゴーレムに襲われて・・・
「あ!私っ!?」
玲治に背中を支えられゴーレムに向かって魔法を練って練って・・・それで・・・
玲治を見ると、にやにやと笑ってる。
「私・・・?」
コクリと頷く玲治。
それって・・・つ・・・つまり?
「あの・・・私・・・倒した?」
コクリ。
「ほん・・・と?」
コクリ。
やったの?本当に?私があの巨大なゴーレムを?ウソでしょ?でも本当に?本当なの?
「よくやったな!」
乱暴に頭をなでられ・・・一瞬呆然としてしまった。
ぼぅっとしている間にも、玲治はグリグリと私の髪を掻き乱す。
すると・・・じわじわと・・・じわじわと喜びが込みあがってきて、
「何、なさけねぇ面してんだ」
玲治に笑われた。
だけど、私はとっさに言い返すことが出来ない。
だって、嬉しい、嬉しい、嬉しい!!!!
私が、本当に?あの巨大なゴーレムを?私が倒したの?本当に?やったのよね?やったのよね!?
「や・・・」
「や?」
「やった!!!!!!」
私はタックルの勢いで玲治に飛びついた。
「る・・・ルイズ?!」
「やった!!!!やったのよ!!!!私、やったのよね?!」
「あ・・・あぁ」
少し引き気味の玲治。
だけど、そんなの構ってられない。
私は笑いながら“やった”を繰り返し、ぎゅうぎゅうと玲治にしがみついた。
嬉しくて嬉しくて。
流石に泣きはしないけど、でも涙が出そうなほどに嬉しくて。
だって、ゼロの私が・・・!おちこぼれってバカにされてた私が・・・!
「あはははは、私、やったのよ!やったわ!!!!!」
何度か目に叫ぶと、玲治が呆れたようにため息をつき、そして
「よくやったよ」
もう一度、私をほめて背中をポンポンと叩いてくれた。

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