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ゼロの夜想曲 43

俺たちが乗った馬車が森を抜け草原を疾駆し、そのはるか上空にはタバサの乗る風竜が飛んでいる。
馬車を操るのはキュルケ。
彼女は御車の真似が気に入らないようだったが、この場合仕方が無い。
何しろ、行きで馬車を操っていた女は盗賊だとわかったことだし、ルイズは気絶している。だったら俺が・・といいたいところだが、馬たちは俺が近づくだけで恐慌状態になってしまうのだから致し方ない。

俺は眠っているルイズ(この場合は気絶しているという方が正しいかもしれない)を支え、正面にフーケ見る形で座っている。
ルイズ・・・彼女はあれから一度も目を覚ます様子もなくこんこんと眠り続けている。
技を使った当初こそ、顔色が悪かったようだが今は随分とマシに見える。日が暮れ、少しずつ寒くなってきたようだ。
俺は彼女を抱き寄せるようにして着ているローブで彼女を包んだ。

「何だ?」
俺は先ほどからかんじていた視線の主に目を向けて問う。
フーケ・・・彼女は軽く手首を前に縛られているだけ。だが、すでに抵抗の意思をなくした彼女はペタリと座り込んだまま、ほとんど身動きすらしなかった。
声をかけられ彼女は小さく息をつき、俺から視線を逸らした。
「一体・・・何者なの・・・あなたは」
「ルイズ=フランソワーズ・・・・なんとかかんとかの使い魔だよ」
「そうじゃなくて!」
彼女の剣幕に俺は少し笑い、
「悪魔だよ」
あっさりと正体を割ってやった。
「あく・・・ま?」
「そう、悪魔だよ」
俺はルイズの腰に回し組んでいた手を解き、右手をフードから出して見せる。
そこには夜になり青白くほのかに光だした帯が浮かび上がっている。
「こんなの浮かびあがる人間がいるか?」
「で・・でも」
まぁ、姿かたちはあまり人から逸脱しているわけではないからな。だけど、
「じゃぁ、こんな目を持つやつはいるか?首の後ろに突起をもった人間は?」
フードを跳ね上げて見せると、フーケは大げさに肩を震わせた。
そして、唇がブルブルと震え出す。
なんともわかりやすい怯え方で・・・。
「・・・・冗談冗談」
にこりと微笑んでフードをかぶりなおすが、彼女の震えは治まらない。
「そんなに怖がるなよ。何もしてないだろう?」
これでも人間だったときはフェミニストで通っていたんだけどなぁ。まぁ、悪魔に堕とされて、堕ちて、染まってからはもう女子供だろうが容赦しなかったけれど。

俺はフードの中に手をいれ、自分の首の後ろから突き出た鋭利な突起をさらりと撫で、それから縦に切れ目を入れたような瞳孔がある目じりを指でたどった。
胸の中にちょっとした冷たい風が吹く。
だが、それを意識したところで今更何になるというのだろう。
俺は小さく笑ってそれを指先で弾き飛ばした。

「人修羅、混沌王」
「え・・・」
「俺の二つ名だな」
「どういう・・・意味?」
「さぁ、どういう意味だろうな」
「それに悪魔って・・・どういうことなの?」
「さぁ?」

悪魔の定義なんて俺に聞かれても困る。
悪魔は悪魔。
悪魔は俺。
俺は悪魔。

「大体さぁ、人間の定義ってなんなわけよ?悪魔が何か聞くんなら、まずもってそれを教えて欲しいね。」

逆に聞くと、彼女はハッとしたように目を見開き・・・それから考えるように視線を落とした。

「そう・・・そうよね」

彼女が何を考えているのかなんて知らない。
推し量る気もない。
興味が無い。

俺は傍らにおいていた“破壊のピラミッド”を持ち上げた。
今は空っぽになってしまった“ヤヒロノヒモロギ”
これが此処にあるということは・・・・。

俺は意識をストック空間へと飛ばす。
ストック空間とは俺が持つ俺だけの空間のことだ。
俺の使う悪魔たちの住まう場所。そして、俺の大事な“マゾム”が置かれている場所。(*ガラクタ)
俺はそこに“俺”を作り出し、マゾムを探ってかつて重要だったものたちを探し出す。

4色のキーラ・・・11のメノラー・・・死兆石・・・・

記憶にあったものは、3つを除いて全てが見つかった。
3つの失せ物。
無くした覚えは無い。
捨てた覚えも無い。
誰かに譲渡した覚えも無い。
忽然と消えてしまった“アレ”ら。

だとしたら、つまり、そして、やはり、そういうこと。

「フーケ」

意識を現に戻して彼女に言う。

「お前なら、お前の能力ならば、“破壊のピラミッド”の完全なレプリカを練成できるよな?」

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