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少し甘すぎた関係

注意:捏造スコットランド
英と仏の話。 中心はスコットランドと英?
ちょいと仏→英気味。 CP的には逆でも可
英のスコットランドに対する思いは、ブラコン的ものでしかないです。

イギリスがぐずりながらフランスの家にやってくるのは、ひどく酔っ払った時か、それともスコットランドに関することでしかない。
今日はどちらか。
アルコールの濃い臭いからして前者の可能性もあるが、いつもより少しばかり洒落た格好や悲壮感漂うぐずり方から見て多分後者だ。
面倒くさい。
そう思いつつ、世界のお兄さんを自負する俺としては放ってはおけない。
それに実はちょいとばかり嬉しかったりするのだ。
いつも憎まれ口ばかりで可愛いげの欠片もないイギリスが俺に頼ってくるという事実が。
それと同時に少しだけ後ろめたい。
そういうつもりではないと自分で信じているにもかかわらず、弱みに漬け込んでいるような気分になるから。
「まぁた飲んでたのか?イギリス。まぁ入れよ」
彼を家に入れながらコートを脱がしコートハンガーに丁寧にかけてやる。
そしてリビングへ向かうと、彼はソファにぼんやりと座っていた。
「なにか飲むか?」
返事はない。
酔い醒まし…いや、嫌がらせにグレイビー・オイスターでも作ってやろうかとちらっと思ったが、結局冷たいグレープジュースを入れてやった。
自分用にはホットワインを用意する。自分にアルコールの入った飲料を用意した理由はもちろん酔っぱらい相手に素面でいられるほど若くもないからだ。
そして古いシャンソンをかけた。近頃倉庫を整理していたら出てきたLPだ。大戦中に人気の出ていた女性歌手の少しかすれた声。
ブツブツと雑音が入るが、それもまたいい味を出している。

「それで、どうしたよ」
正面に座って聞くと、彼は悲しそうな顔をして何事か呟いた。
「イギリス?」
小さすぎて聞き取れず、彼の名を呼ぶと「ウザイって」とボソリと言った。
「ウザイ?」
「ウザイって言われた」
誰に?そりゃ聞かなくてもわかる。犯人はイギリスの兄、スコットランドだ。
育ての兄としては俺の方が立派にその役割をこなしたと自負しているが、やはり血の近い(正確にいえば国同士に人間と同じような血縁関係は存在しないが)スコットランドの方を彼は身内と感じているのだ。
イギリスがものすごく小さかった頃を抜きにすれば、彼が俺を兄扱いしたことなんて一度もない。
いくら世話を見ても、いくら優しくしてやっても、可愛がっても、抱き上げてやっても、美味しいものを食べさせても、いいものを着せてやっても、何をやっても…ダメなのだ。
俺はイギリスに暴力と冷たい言葉ばかりを与えるスコットランドに勝てない。
それがとてもやるせない。
「なんでだろうな…」
イギリスはうなだれて言うと、ぽろんと涙をこぼした。そして「俺は愛されたいだけなのに」とつぶやく。
全く胸の痛くなる光景だ。
今は酔っているからいいだろうが、後で素面になってから俺に泣きついたことを思い出して身悶えしてもしらないからな。…きっと翌日にはなんにも覚えてないんだろうけど…。
「会いに行ったのか?」
「あぁ…仕事で…意見聞いてこいって…言われたから」
「じゃぁ、正式な訪問だな」
「あぁ。ちゃんと事前にアポとったし…家にも入れてもらった。けど仕事の後で手土産のスコーン渡したら…」
ウザイ。…か。
そりゃまぁスコットランドだっていい迷惑だったろうよ。あんなゲテモノ、もらっても処分に困る……なんて台詞はさすがに吐けなかった。
「い、言っとくけど、上手く出来てたんだからな」
何も言わずにいると、イギリスは焦ったように言葉をついだ。
「か、隠し味は無しにレシピ通りにつ、作ったし、や、焼き具合だって絶妙で。そ、それに、ちゃんと美味いって言ったんだ。執事が」
「…そうかい」
評価の相手が執事って時点でいくらか割り引いて考えるべきかもしれないが、イギリスがこんだけ力説するんだから、まぁ食えない代物でもなかったはずだ。食えなくはないだけで、美味い代物でもなかっただろうが。
「あとジャムも。マーマレード。これは…美味いって聞いたから取り寄せて」
「で?捨てられた?」
「それはないけど」
「じゃぁ、受け取ってはもらえたわけだ」
「…ていうか、置いて…逃げたし」
なるほど。照れ隠し、悔し紛れにいつだって怒る彼が、そう繕うことすら出来ずに逃げ出したわけだ。
本当に面倒くさい兄弟だ。
俺はホットワインを口に含み、ゆっくりと飲み干す。
「あのさぁ、イギリス。お前ねぇ、スコットランドに何を求めているわけ?」
「何って…」
「まさかスペインがロマーノを可愛がるように猫可愛がりしてくれるとでも思ってるのか?」
「それは…」
思ってないよな。
あんだけ昔から殴られて、蹴飛ばされて、家の外に放り出されて…。
ったく、そんな彼を治療して、食わしてやって、愛情与えてやったのは俺だというのに…。チクショウ。
俺は思わず目が座りかけ…慌てて表情を繕った。
うん。こんなのはお兄さんらしくない。らしくない。
「じゃぁどうなんだ。どうなってほしいんだ?」
「どうって…」
「ドイツに対するプロイセンみたいにか?」
「……」
俺はため息をつくのをギリギリで耐えた。
世界会議の席に時々不意打ちでやってくるプロイセン。そのプロイセンとドイツが仲睦まじく(?)しているのを、忌々しげに…しかし非常に羨ましそうに見ているのを俺は知っているから。
「じゃぁさぁ、お前さぁ、例えばだ、例えばだよ?あのスコットランドがプロイセンみたいにお前に優しくしてくれるとする」
まぁあの男は甘いばかりではないのだが。
「お前はそれで嬉しいわけ?」
「そんなの…嬉しいに決まってるだろう」
そう言って、彼はプロイセンのように振るまうスコットランドを想像したのか少しだけ笑った。
気持ち悪い。
イギリスの照れたような笑顔も、プロイセンのようなスコットランドも。そして…俺も。
「でもさ、それってさ、もうお前を殴らないってことなんだぜ」
俺の言葉に彼はよくわからないというように顔を上げた。
「もうあの射殺すような目でお前を見ないってことだ。冷たい言葉も投げかけないってことだ」
「それは…」
嬉しいだろう?
だけど…
「多分、そうなると、お前は満足する…と思うだろう?だけど違うぜ」
「え?」
「お前は物足りなさを感じるね」
絶対。
寂しくて寂しくて、今度は別の意味でなく羽目になる。
「お前は優しくされるだけじゃ満足できないってことだ。冷たくされるだけじゃ満足できないのと一緒」
「ん…だよ、それ」
「想像してみりゃわかるさ。たとえば、今日のお前とスコットランドだよ。アポをとった時、あいつは冷たく言ったろう?『何の用だ』ってな」
それが、『あぁ、どうした?イギリス。久しぶりじゃないか』に変わる。そして『忙しいのはわかるけど、たまには顔を見せろよ。いいスコッチがあるんだ』とかなんとか。
彼の家に行けば、優しい笑顔ででむかえ、ハグをしてくれるだろう。
そして暖かい室内で、目一杯のおもてなしをうけるんだ。お前からの土産を照れたような笑顔で受け取り、仕事の話の後は昔話に花を咲かせて、当然の如くディナーに誘われ、そして泊まっていくように提案される。
「それがお前の理想か?」
イギリスを見ると、彼の目は何かに怯えるように揺れていた。
「わかるよな、イギリス。お前は優しくされたいかもしれないけれど…それは今のスコットランドを失ってまでほしいものか?そもそもそれでお前はそれで本当に満足できるのか?」
できるわけ無いさ。
俺はイギリスに聞いておいて、自分でその答えを口にした。
「だからさぁ、イギリス。満足してろよ」
自分にだけスコットランドが冷たいからって、お前はあいつを嫌わないだろう?憎まないだろう?
いや、むしろ…。
俺はなんだか泣きたくなって、手で眉間あたりを揉んだ。
「これはさぁ…あんまり言いたくないんだけど…」
っていうか、絶対言ってやるもんかと思っていたけど…。
明日には全部忘れているっていう確証があるからこそ仕方なく言ってやるけれど…。
「アイツがさぁ…殴るのはお前だけだぜ?…まぁ戦争は別にしてな」
「俺…だけ?」
「そう、あいつ素っ気ないのは元々の性質かもしれないけど…冷たいのはお前にだけだぜ」
めちゃくちゃな暴力振るうのも、理屈に合わない冷たい態度をとるのも、心をえぐるような言葉を吐くのも…。
喜んでいいのか微妙だって?
そんなわけないさ。
現にイギリスはひどく嬉しそうに笑ってやがる。
本当にくだらない。本当にムカツク。本当に面倒くさい。
本当に迷惑だよ。強欲でわからずやなイギリスも、何も与えないことでしか愛情を表現出来ないスコットランドも。
どうやったって…俺は…。
「スコットランド…」
イギリスのつぶやき。
俺は彼の顔が見たくなくて目を逸らし、彼をさっさと酔い潰してしまうための酒を取りに席を立った。

「全く…報われないよ」

こんな日は俺だって酔わなきゃやってられない。

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