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出ちゃいましたPt.2-act.01

見切り発車。
全体的な流れはアリスバージョンと一緒だと思う。
特に読む価値はない。

4月1日 日曜日。
母親に芝居に連れていけと呼び出された私は、彼女の望み通り昼すぎに彼女を青い鳥で迎えに上がり芝居に連れていき、買い物に付き合い、最後に夕食をレストランで共にした。
彼女はとても昔からパワフルな人だったが、それは息子が独り立ちしてからも変わらず…いや、むしろパワーアップしていてとにかくかしましかった。
そして、レストランの席で出たのが「あんた、えぇひとおらへんの?」というここ数年で耳にタコが出来るほどに聞きあきた話題だった。
彼女は早く孫の顔が見たくて仕方が無いらしい。特に父の兄の子(つまり私の従兄弟)が子供をこさえたのが羨ましくてならないらしいのだ。
私としてもその願いを叶えてやりたいとは思うのだが…残念ながら肝心のお相手がいない。
私は苦笑していつものように『いてたら、紹介しとるわ』と言いかけ、ふと口をつぐんだ。
今日は4月1日。
そうエイプリルフール。
他愛ない嘘の許される日であると思い出した。
私は思わず笑いそうになる口許を引き締め「おかん、実はな…」と、笑いをこらえるために思わず真剣味を帯びてしまった声で切り出した。



翌日、連打される玄関の呼び鈴に起こされた私は、少しムッとしながらドアを開け、そこに凄い剣幕で立っている女性を見て目を丸くした。
知らない女性だ。
少し癖っ毛があるのかゆったりとした肩までのウェーブは、艶々と黒く輝いている。
身長は女性にしては高く、170に届かないまでも160の後半はありそうだ。
目鼻立ちのはっきりとした知的美人。年齢は…二十代半ばくらいだろうか。
男なら誰もが“おっ”と瞠目し、振り返って拉致もあかない事を想像してにやにやしてしまうような小股の切れ上がった美しい女性だ。
私も例にもれず彼女のかんばせに一瞬ぽっとなってしまったが、すぐに彼女の形相(今まさに彼氏の浮気現場にのりこんだところとでもいうような)に怯み顔がひきつった。
「あ、あの…、部屋をお間違えじゃ…」
「はっ、有栖川有栖の部屋だろう?だったら間違ってねぇよ」
いいからどけ…と胸を押されたかと思うと、彼女は私の横をすり抜け、さっさと部屋の中へ入ってしまった。
口が悪い人やなぁ…などとぼんやり思っていた私は、「あいかわらずきったねぇな!」という声にハッと我にかえり慌てて室内に取って返した。
それにしても彼女の今の言葉…なんとなく…いや、まさか。
「あ、あの、そんな勝手に入ってもらったら困るんやけど」
慌てて追いかけると、彼女はコートを脱いだところだった。
パンツスーツ姿の彼女は、コートをそのへんにほっぽりだすとそのままどかりとソファに座り、なれた手つきでタバコに火をつけた。
そのタバコのケースが妙に見覚えのあるもので…。
しかし、まさか。
そんなことはありえない。
私は自分の考えを頭を振って振り払い、しかしだったらこういう場合どうしたらいいのだろうかと困惑した。
状況だけであるなら不審人物に家に押し入られた…ということになるのだろうが、…まったく美人というのは得だとこんな時ながら感心した。
彼女が悪意を持った人物にはまったく見えないのだ。
よって警察への通報という選択肢が遠くに弾き飛ばされてしまっている。
人間中身が第一なんて言っても、最初に目に入るのは外見だ。
いくら中身がよくても、外見が不潔だったりするとそこまで見ては貰えない。
この場合も同じで…などとくだらないことを考えていると、「おい、コーヒー」と女性から声が上がった。
なんて不遜な客(?)だ!
これではまるきり……。
いや、ありえない。ありえないのだが…やはり…どうしても彼女は彼を連想させる。

「火村そっくりやんなぁ」

私は大学時代からの親友の名前をぼんやりと呟いた。
その途端、彼女は電光石火の如く私を振り返り「アリス」と女性にしてはハスキーで色っぽい声で私の名を呟いた。
なんて心臓に悪い声をしているんだろう。私の鼓動がはねあがった。
「な…なに」
「やっぱてめぇわかってんじゃねぇか!」
「え?」
「お前のせいだったんだな?!アリス!」
「へ、あ、あの落ち着いて」
なぜか詰め寄られて私はしどろもどろだ。
そんな私の胸ぐらを彼女はぐっと掴みあげ…いや、掴んで私と目が合うように引き下ろした。
うわ…アップに耐える顔ってこういうのを言うのだな…と私は顔が赤くなるのを感じた。
「これが落ち着いていられるか!起きたらいきなり女の体に変わってるわ、下宿が小綺麗になってるわ、なのにばーちゃんは変わらずそこにいて“今日は早いですなぁ”なんて言うわ…!おい、アリス聞いているのか!俺はいつから女になったんだ!?なんで女だったみたいに認識されてるんだぁ?!」
「えっ」
あまりの早口に私の理解が追い付かない。
ついでに彼女の言葉の突拍子の無さは理解が出来ない。
そのまたついでにものすごく恥ずかしい。
「お、女て…女ですよね」
「なにが“ですよね”だ!お前、まだわかってねぇのか?相変わらず頭の回転の弱い推理作家だなぁ、おい」
私はもうわけがわからなかった。
いや、まさかの可能性なら仮説がたてられた。
出会ってまだ10分と経っていないが、引っかかるところがいくつかあったのだから。
しかし、しかし…だからといってそれはない。
あるはずがない。
大学時代に書き上げた小説で火村に“まるでファンタジーだな”とこき下ろされた作品だって、ここまで非現実的ではなかった。
だって…まさか…そんな…。
「君…まさか、火村なんか?」
呟いた瞬間、間近でニヤリと笑った彼女の顔が大学時代からの友人のそれに(性別こそ違えど)そっくりだと気づいて私は今度こそ本当に唖然としてしまった。
「嘘やろ…」

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