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夢の中であなたの実相をみた

アリ火 互いに片思いな感じ?
相変わらず脇役は名波という名前にしてやった
微妙 読み返さないよ。

「drink me」

久々に立ち寄ったアリスの部屋の冷蔵庫に、俺は小さな小瓶を見つけた。
淡い赤紫色の液体の入ったそれのラベルに書いてあったのが、先ほどの言葉だ。
唯一言 『私を飲んで』。
確か、不思議の国のアリスに同じようなセリフのかかれた飲み物が出てきたはずだ。
その中のアリスは、その飲み物を飲んで大きく…いや、小さくなったんだったか?…とにかく、体の大きさが変わったと記憶している。
だがまさかこれがそういう効果をもたらすものとは思えない。
そう、たとえこの部屋に住む友人が『アリス』なんて、男にしては酔狂な名前を持っているとしてもだ。
だとするとこいつは…。

「………」

俺はしばらく迷ってビールに手を伸ばし…結局、例の小瓶を手にとった。
よーく冷えた小瓶は簡単に手の平に握り込めるサイズ。
「drink me」
もう一度ラベルを読んで、後ろを振り返る。
廊下を挟んで向こう側は風呂場だ。
今はアリスが入っている。
耳を澄ませば、小さくシャワーの音。
俺はしばらく考え、結局その口を開け一気に喉に流し込んだ。
喉に絡みつくような甘ったるさ…。
「ふん」
空になったそれをシンクに置くと、改めてビールを手にとりタブを開けた。

 ***


それを冷蔵庫なんかに入れていたのは私のミスだが、まさか彼がそれを飲むとは思わなかった。
慌てて吐き出させようとしたが、それはもうとっくに体の中に回ってしまっているらしく、しかも彼は止めとばかりにアルコールを取っていた。

彼は常にない色気を全開に、俺の方を見て悠然と微笑む。
好意を寄せている相手にそんな態度を取られて、理性がぐらつかない男がいるだろうか。
「アリス…」
と、熱に浮かされ、かすれた声で名前を呼ばれて理性が瓦解しない男がいる…だろうか。

 *

「すまんかった!!!!」

翌日、私は床に座って土下座をしていた。
素っ裸で気だるそうな火村に向かって。
「ほんまにすまんかった!!!許してくれとはいわへん…俺のこと怒ってええ、蹴って殴ってしてくれても文句はいえへん…!けど、ほんまに反省はしてる!!」
火村の視線がびりびりと痛い。
「せ、責任はとる。っていっても…取られても困るかもしれへんけど…あの、出来る限りのことはさしてもらうから…」
「アリス」
「は、はい!」
「俺は…」
火村のかすれた声に性懲りもなくまたゾワゾワと体が粟立って、私は自分を殴り飛ばしてしまいたくなった。
「俺は…昨日…」
「お、覚えとるか?」
恐る恐る顔を上げると、彼は厳しい顔をして唇を指でなぞっていた。
私はそれに萎縮して、慌ててまた額を床に擦りつけた。
「き、昨日、君、冷蔵庫で変な瓶の中身飲んだやろ…?」
「『drink me』」
「そ、それや、それ!!!それな、知り合いが冗談でくれた『媚薬』やってん。俺がいつまでも独り身やから心配やとかなんとか言って…」
あぁもう、名波のやつ、今度あったら首元締め上げてやる!
「まぁ、俺もアホみたいに冷蔵庫にいれとったんも悪かったんやけど…まさか君が飲むとは思わなかったし…」
「飲めと書いてあった」
「だからって飲むとはおもわへんやん!…うっ、ごめん!」
ゴンっとまた頭を床につけた。
「媚薬…」
「ごめんなさい…それに漬け込みました!」
思わず標準語が出てしまった。
「アリス…お前は友人に対してそんなことをするのか?」
「す、すみません。じ、実はき、君のこと…す、好きやってん」
こ、告白してもうた。
私は顔がカーーーーッと熱くなるのを感じた。
このまま墓場まで持っていくつもりだった秘密を、まさかこんな形で明かすことになるとは夢にも思っていなかったが…、こんな事態になってしまったからには言わぬわけにはいかない。
媚薬のおかげか“無理やり”ではなかったが、しかし“媚薬”に溺れた彼に漬け込んだのだから罪の重さは同じといってもいいだろう。
「好き?」
「ほ、惚れてたんや!スマン!気持ちの悪い真似して!」
火村の方から冷気が這ってくるようで、私は震え上がった。
「アリス…」
「は、はい?」
ちらっと目を上げると、火村は難しい顔をしてまた唇を指で撫でていた。そして、「媚薬の適量はどれくらいだったんだ?」と、事件に関することを尋ねるように(事件といえば事件だ。それも大事件だ)聞いた。
「…えっと、二人で楽しんで…っていうてから、多分、半分ずつくらいやったと思うけど…」
「…じゃぁアルコールがまずかったのか」
「え?」
「媚薬なんて飲んだことはないが、昨日のは効き過ぎだってんだよ」
「え、あ、そ、そうか…も」
私は火村の昨日の痴態を思い出して、鼻から血が出そうになった。
反省しなきゃいけないというのに…私という男は本当に本当に本当にどうしようもない。
一人ズズーンと沈んでいると、火村がボソッと何かつぶやいたのが耳に入った。
「何?」
何かいったか?と顔を上げると、
「ひ、火村?!」
胸ぐらをガッと掴まれて引き寄せられた。
鼻先が触れるような距離。とっさに焦点が合わず火村の顔がぼやけ、焦点があった途端焦った。
「ひ、ひひひひ、火村ぁ?!」
そ、その距離はマズイ。まずい、本当にマズイ!
わたわたと慌てていると…
「…てねぇ」
ボソリとまた火村が何かを言った。
「な、何?」
「だから覚えてねぇっていってるんだよ!」
間近で怒鳴られてキーンとした。
っていうか、何?覚えてない?それはよか…いやいや、よくない。たとえ彼の記憶には残っていなくても、いたしてしまった事実は変わらない。それに、彼の体にはいくつものその証拠があるし、ついでに…そのあらぬ所に痛みがあるはずだし…
「う…」
顔を青くしたり赤くしたり忙しい私はさぞみっともないことだろう。
もうこれは火村に見限られたに違いない。
折角これからもずっと親友としての地位を守っていけると思っていたのに…いたのに…。
「アリス」
いつもよりも一段と低い声に、
「……はい」
私は覚悟を決めた。
胸がギリギリ締め付けられて、喉が苦しくて、汗がいっぱい出て、心臓が止まりそうだった。
もちろん涙だって溢れそうだ。今すぐ逃げ出したい気持ち200%。
だけど、男としてここは受けとめるべきだ。
私の罪なのだから、潔く、どーんと…

「アリス、やり直しだ!せっかくのお初を覚えてねーなんてぜっったいにゆるせねぇ!!くっそ、折角の…あぁああクソ!!やり直しだ!やり直し!断固としてやり直しを要求する!」

「は?」

「おい、アリス、今からやるぞ!」

「え?」

「大体なんだよ、媚薬で頭とんだとか…マジ…クソッ!アルコールはやめときゃよかった…!」

「あの…」

「よし、今日は休みだし……たっぷり楽しもうぜ、アリス」

「へ?」

「打ち止めになるまでな」

………暗転。

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