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032. 風紀委員の死闘

ヤンデレ系列 前のよんでなくても全然おk
セシルの拾い癖 読み返さない

「捨ててきなさい」

子犬を拾ってきた子供に言い聞かせるようにいうカインに、セシルは「やだ!」と子供のように言った。

「じゃぁ元いた場所に戻してこい!」
「やだもん」
「お前は…全く、何でもかんでもひろってきやがって!」
「別に何でも拾ってくるわけじゃないよ」
「嘘を言え!てめぇ、こないだ迷子札つけたじいさん拾ってきたじゃねぇか!!!」
「だってじいちゃん、くるっていったもん」
「来るっていったからって拾ってくる馬鹿が何処にいる!」
「じいちゃん、飼いたかったのに…名前だって考えてたのに…」
「重五郎さんって立派な名前が最初からついてんだよ!しかも、娘さんがめちゃくちゃ心配してたじゃねぇか!」
「僕が大切にするはずだったんだよ!」
「お前はアホか!いや、アホなんだな!」
「いつもいつもカインが邪魔するから…」
「邪魔するだろう、普通…犬や猫ならまだしも…」
どこからとってきたのか、巨大なワニガメやらエミューをはじめ、髪が明らかに伸びている日本人形、恐ろしい大きさのダイヤの首輪をつけたオウム、昨日日本にやって来ました…みたいな宣教師(聞いたこともない宗教で、言葉もさっぱりわからなかった)、西洋甲冑に剣を帯びた騎士(おそろしいことに真剣を帯びていた)、緑色の体で背中に甲羅をしょった頭が皿な小さな奴、灰色の体にやけに大きな頭をもった黒目パッチリの何か…。
彼らの処置がどれほど大変だったかを思い出してカインは頭を抱えた。
そしてちらっと視線を上げて、セシルの後ろに立つモノを見て…今までよりはマシか?と思った。
じっとカインが見ていると、セシルの後ろにヌボッと立っていた奴と目があった。
「言葉は通じるか?」
聞いてみると、コクンと頷く。
「身長は?」
「186」
「でかいなー…」
ちなみに現在セシルは174センチ、カインは176センチである。
まだ成長期であるからもう少しは伸びるとは思うが、さすがに彼ほどは高くなれそうにない。
「いくつ?」
「18」
「お、一個上」
「はぁ…」
口元を腫らした彼は困ったように口を尖らせた。
「学校どこ」
「***…」
「あぁ、あそこね」
確かに彼の着ている学ランはそこのものだったような気がする。
黒じゃなくて、紺色の学ラン。ボタンが外からは見えないタイプ。
その横で目をキラキラさせているセシルをとりあえず無視して、「どこで拾われたんだ」とカインは聞いた。
「どこって…俺、あんま記憶ないんですけど」
「覚えてる範疇でいい」
「えっと…昨日は夜にちょっと喧嘩してて…普通はやられないんですけど、連れがいて…」
もどかしい喋り方で彼が言うところを要約すると、喧嘩してのされた後拾われたらしい…ということだった。
「どうりでひどい怪我なわけだ」
そうカインが言うと、彼は情けなく眉尻を下げた。
腫れ上がった口元、紫に腫れ上がった右目の上、頬の傷も腫れ上がっていて痛々しい。
だが、それを取り除けば…もしかしたらかなりの色男…なのかもしれない。
「セシル、治療はしてやったのか?」
カインが聞くと、セシルは得意満面に「もちろん」と胸を張った。
「僕が買うんだからね!ペットの面倒は飼い主がきちんとみるものだよね!」
「飼う気まんまんかよ…」
まぁいつものことなのだが。
「っつーか、お前もさ、なんだってセシルにおとなしくついてきてるんだよ」
軽蔑の目で見ると、彼は困った顔をして首を傾いだ。
「いや…でも拾ってもらったんで」
「拾ってもらったからって…お前ペットになっていいのか?帰る家あるんだろうが」
「親は今海外にいってて…家は誰も居ないし…」
「おい、ちょっとまて、お前だからって了承してんじゃねぇだろうな?」
セシルのことだから無理やり連れてきたかと思えば…そうでもないのだろうかとカインの顔はひきつった。
「俺、普段、怖がられて誰も近寄ってこなくて…」
セシルを見て少し嬉しそうに笑う男に、カインは頭がくらくらした。
「お前はドMか」
「は?いえ…どちらかというと反対だと思いますが」
「んじゃぁ、捨て犬か」
「は?」
「いやいい、野良犬だ」
正確に言えば“野良犬だった”だろうか。すっかり“飼い犬”になってしまったらしい牙の抜けた犬にカインはげっそりとする。
そう…時々いるのだ、セシルに飼われることに喜びを感じる“ド変態”が。
例えば、今現在セシルが飼っている“ヤンデレ君”とか。
危険動物、言葉の通じ無い奴、背景がヤバイ奴…セシルが拾ってくるものは危ないものばかりだが、その中でも一番性質の悪いパターン。
可哀想に。
彼はカインから向けられる視線の種類が変わったことに気づいた。
だがそれが“哀れみ”とは気づかなかった。
いや、そのほうが幸せなのだろう…。

「まぁ…いいんじゃねぇの」

カインが諦めたように言うと、セシルは嬉しそうに満面の笑みを浮かべ、
「じゃぁ、お前はこれから“コタロウ”な!」
と、飼い犬に向かって言った。

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