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無力すぎた僕の遠吠えを

独にょロマ 現代 一度別れている二人
近頃BLの書き方がよくわからなくなってる疑惑。
迷走しすぎ…駄文 読み返してない

別にお互いに愛想を尽かして別れたわけじゃない。
といって、他に好きな人が出来たからというわけでもない。
私たちは上手くいっていたし、他のカップルに比べればスローペースだったかもしれないけれど、少しずつステップアップしていた。
だけどそれでも別れを決意したのは、私達はそれぞれ別の夢を持っていたからだ。
彼は検事になる夢、そして私はデザイナーになる夢。
それを叶えるために彼は中央の大学へはいらなくてはいけなくて、そして私は隣の国のデザイナーの元に弟子入りが決まっていた。
別れたくはなかった。
でもそのために夢を犠牲にすることはお互いに出来なかった。
だから、泥沼に陥る前に別れたのだ。
未練はたっぷり。
遠距離恋愛も考えたけれど、互いの夢を第一にしたかったからサヨナラを決めた。

だけど…。

5年後、私は一人街に戻って、ホステスをしていた。
夢に挫折した…なんて言えば格好もつくかもしれないけれど、実際はもっと屈辱的。
なにしろ信じていた人に私のデザインをごっそりと持ち出された上に、罠に嵌められ味方はゼロ、針のむしろ状態になってほうほうの体で逃げ帰ってきたのだ。
私は結構気が強いし、これで泣き寝入りなんてことはしない…と言いたいところだけど、信じていた人に裏切られたショックは大きく、また友人たちにも一切信じてもらえなかった事に深く傷ついてしまった。
そして街に逃げ帰って、しばらくは一人でアパートに閉じこもっていた。
彼に泣きつくことも考えたけれど…、結局それは出来なかった。
私は彼よりも夢をとった身だから。だから…それは…違う気がした。

接客業は苦手。
最初は随分失敗したし、お客さんに怒られたり、オーナーに怒られたりした。
だけど少したてばお酒の飲み方や作り方にも慣れたし、お客さんの話の聞き方やあしらいかたもわかった。
デザインに未練はあるけれど、今はまだペンを持つことすら辛い。
いつかは戻りたいけれど、もう少し逃げていたかった。

なのに。

 *

「ロヴィーナ?」

声をかけられてハッとした。
振り返らなくても、この五年一度として声を聞いていなくてもすぐにわかった。
私はバックヤードに逃げこもうとして、腕を掴まれた。
「ロヴィーナだろう?」
力強い大きな手。
それだけで泣きそうになった私は、自分で思っている以上に弱っていたのかもしれない。
腕を振りほどこうと無駄なあがきをし、ぐるりと体を回され抱きしめられた。
途端香ったフレグランスに目眩がしそうになる。
昔はこんな高級な香りをつけている人じゃなかった。
それに…生地のいいスーツ。
そっと顔を上げると、別れた頃よりも精悍になった彼の顔があった。
「ルート…ヴィヒ」
名を呼ぶと、彼はぎゅっと眉間に皺を寄せ「ちょっと来い」と厳しい声で言って、私を引っ張った。
同僚、オーナー、バーテン、ルートヴィヒの連れらしい男、そして他のお客さん達、みんなの目が集まっている。
だけど誰も私達に声をかけることはなかった。
それだけルートヴィヒの剣幕がすごかったということだろう。
私は少しだけ笑って、涙を流した。

路地に押し込まれて、彼は私を尋問するように「こんな所で何をしているんだ」「いつかえったんだ」「デザインの道はどうしたんだ」「何故連絡をくれなかった」と質問攻めにしたけれど、私は涙が止まらなくてなにも答えられなかった。
裏切られた時も随分泣いたし、アパートにとじ込もって居たときも泣きに泣いた。
もうこれ以上は泣けないというくらい、顔が腫れ上がってしまうほどに泣いた。
これ以上泣けないというほどに、一生分泣いてしまったというほどに。
だけど全然足りていなかったらしい。
いや、あれだけ泣いてもまだ私はどこか虚勢を張っていたのかもしれない。
子供のように声を上げて泣く私。
ルートヴィヒは困ったように肩にそっと触れ、髪を撫で、それから思いきったように抱き締めた。
ぎゅっと抱き締められて、胸までぎゅっと締め付けられた。
そしてわかった。
私が強がって見ないふりをしていたもの。
知っていて平気なふりをしていたもの。
あぁ、私は彼の胸で泣きたかったんだ。
彼に会いたかったんだ。
彼に触れたかったんだ。
彼に慰められたかったんだ。
彼がやっぱりどうしても好きなんだ。
強ばって力強く抱き締める腕。不器用に背中を撫でる手のひら。髪に落とされる優しすぎるキス。
胸がいっぱいになった私は爪先立ち、彼の首に両手を回した。
そんな私に彼は、
「まったく…」
ため息を付いて、
「お前というやつは」
昔、よく聞いていたセリフを口にした。
「何かあったのなら、すぐに連絡すればいいだろうに…」
そう言って、彼はすぐに「お前はそういうことができる性格じゃなかったな」と苦笑した。
「悪かったな、気づいてやれなくて。色々忙しくて…というのは言い訳にもならないな」
そうしてぽんぽんっと頭を叩く。
「それにしてもまさかホステスとはな…心臓が止まるかと思った」
「なんで…来たの?」
「もちろん仕事だ。やましいことはない」
やましいこと…か。
私たちは別れているのだから、言い訳は必要ないのだが、私はなんだか嬉しかった。
ルートヴィヒはしばらく黙りこみ、それから抱きしめていた手を離したかと思うと、首に回していた私の腕を解いた。
自然体が離れ、私は心細くなる。
そんな私に気づかないルートヴィヒは、私の指をじっと見つめそれから息をついた。
どういう意味?
ルートヴィヒを見上げると、彼もまた私の目を見返していた。
そして「まだ独り身か?」と聞かれて、彼が指輪の有無を確認していたのだとわかった。
「何があったかはしらないが…こちらへ戻ってきたのなら、その…もう一度…」
最後まで言い切る前にコクンと頷くと、彼はホッとしたように微笑んだ。

 *

それからはトントン拍子。…というか、すごかった。
彼はその時、私との再会に喜びこそすれ、私が泣いていることやホステスとして働いていることに少なからず怒っていたらしい。
彼は私をそこに残して一度店内に戻ったかと思うと、次に出てきた時には私の荷物と共に、今日までの給料まで持ってきていた。
多分5分と待っていなかったはずなのに。
しかも、もってきた給料が明らかに多かった。
そしてすぐにタクシーを捕まえ、私を押し込むと彼が住んでいるというマンションへ。
その日は疲れて眠ってしまったが、次の日は私のアパートへ。そこで荷物の整理をさせられたかと思うと、いつのまにか私は彼の部屋に移り住むことに決まっていた。
そして事情聴取。
ここでようやく私は彼が怒っているということに気づいたのだが、私にどうすることができるだろう。
ただ素直にこれまでにあったことを告げると、彼は鬼みたいな顔をして部屋を出ていって…、そして次の日の朝には、私のデザインを持ち出したデザイナーが、私の前で泣きながら土下座していた。
これだけでもすごいけれど、これだけでは終わらなかった。
泣きながら謝罪した人が帰った後、すぐに今度は私のデザインを持ちだしたデザイナーと取引をしていた洋裁店やデザイン会社、服を下ろしていたらしいセレクト店の人がやってきて正式に契約を結びたいと言ってきた。

まったく…目が回るとはこのことだろう。

気づけば私はラグにへたり込んでいて、両手でにココアの入ったカップを持っていた。
正面にはルートヴィヒがいて、私を見ておかしそうに笑った。
「大丈夫か?」
「…わかんない」
ぼうっと彼の顔を見ていると、彼の手が伸びてきて私の頭にのった。
「まったく、何故自分が今までお前を野放しにできていたのかわからない」
「え?」
「何故お前がひとりでも大丈夫だろう…なんて思えてたんだろうな」
くしゃくしゃと頭をかき混ぜられ、睨む…が上手くいかない。
「お前がしょうがないやつだってことくらいわかっていたはずなのに」
「しょうがないってなに」
顔が…にやける。
それに気づいたのか、彼の手がするりと降りてきて私の頬を引っ張った。
「とにかく、お前はもう俺から離れるな」
そして軽く…ではあるが、デコピン。
ひどい扱いだ。でも、実際彼と離れてからロクなことが無くて、それで文句の一つも言えなかった私は、彼と離れる事はできない。
自分がだめだめだった…ということもあるが、それよりも私には精神的な面で彼が必要不可欠だと思い知った。
だから彼のセリフはこちらの望む所。
でもただ頷くだけじゃ悔しいから、「ペアの指輪を用意してくれたら考えておく」とだけ答えておいた。

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