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ゼロの夜想曲 35

オールドオスマンが用意してくれた馬車で俺たちはフーケが潜んでいると思われる森へと向かっている。
メンバーは俺とルイズ、そしてルイズだけにいいトコは見せられないと立候補したキュルケに、俺たちが心配だと同行を願い出てくれたタバサ(彼女はシュヴァリエという称号を持つ騎士なのだそうだ)、そして案内役兼お守りとしてミス・ロングヒル。
合計5人。
三頭引きの馬車が引くのは屋根がなく、手綱を持つのはミス・ロングヒルだ。
彼女に対しては・・・・・・・いや、まぁいい。
俺以外は全員女という常識はずれの討伐(?)追撃(?)奪還(?)隊。
本来なら男である俺が手綱を持たなければいけないのかもしれない。しかし・・・俺が近づくと途端に馬たちがおびえたり失神したり逃げ出したりするので・・・それはできない。
エリゴールやベリス、それにホワイトライダーたち直伝の馬術が披露できないのはとても残念だ。


<ルイズ>
ほっぺたをぐにぐにと両手で揉みようやく顔のこわばりがとれてきた。
あまりに長く引っ張って・・・そしてもんでいたものだから、きっと今の私の頬はりんごのように赤くなっているに違いないわ。
なんだか無性に腹立たしい。あたる相手を探して玲治を見ると、彼はひどくつまらなそうにぼんやりと風景を見ている。その金色の目からは(あら?赤くなかった???)どんな感情も伺うことは出来ない。
その横顔が、すべてを拒絶しているように見えて・・・・パートナーだと言ってくれた私ですら拒絶するように見えて・・・腹立たしかった気持ちは一気にしぼみなんだかとても悲しくなった。
「・・・・え、貴女はオールド・オスマンの秘書なんでしょう?」
ほぅっと息をついたときに耳に入ってきたのはキュルケの言葉。どうやらミス・ロングヒルに話しかけているらしい。
「えぇ、でも、オスマン氏は貴族や平民だということに、あまり拘らないお方です」
「差し支えなかったら、事情をお聞かせ願いたいわ」
キュルケの言葉にミス・ロングヒルはひっそりと微笑み、キュルケの言葉を無言で拒否する。
しかし、元来押しの強いキュルケは「いいじゃないの」っと身を乗り出して彼女に再度詰め寄った。
私は彼女への対抗心だけではなく、彼女のその強引な態度にムッとして、
「人のプライバシーを根掘り葉掘り聞きたがるなんて、さすが恥知らずのツェルプストーね」
わざと聞こえるように独り言を言った。
キュルケはそれにバッと振り返ると燃えるような目で私をにらむ。
「何よ!親交をあたためようとしているだけじゃない!人聞きがわるいわね!」
「何が親交よ。あなた人が嫌がっているかどうかもわからないのね?ほんとに無神経!」
「どっちが無神経よ!あんたがバカやったおかげで私はとばっちりくらってるんだからね!」
ミス・ロングヒルの件では勝てないと判断したキュルケがすばやく話題を変え、攻勢に出る。
キュルケのその言葉にクッと詰まった私を見て、彼女はフンッと胸を張った。
「感謝されこそすれ、なんだってそんな罵声をきかせられなきゃいけないのよ!」
「別に、あんたに手伝ってなんて頼んでないじゃない!」
「あたりまえよ。私は、あんたの為にここにいるんじゃないもの。私がここにいるのはダーリンのためよ!」
「誰が誰のダーリンよ!!!」
「それに、あんなマグレの魔法で調子に乗られても困るもの」
「マグレじゃないわよ!」
「あーらマグレで魔法が発動したのがうれし過ぎて顔が笑顔で固まっていたのはどなた?」
ほほほっと笑うキュルケ。
真っ赤になって彼女をにらむ私。その肩にぽんっと手を置かれ、振り返ると玲治がこちらを見ていた。
「親交を温めるのもいいが、その辺にしといたらどうだ?」
「誰と誰が親交を温めてるのよ!!!!」
怒鳴ると、彼はうるさそうな顔をしてため息をついた。
「どうでもいいから・・・・体力は温存しておけ」
そして、彼はそこで声を落とし、私だけに聞こえるような声で、
「昨日の魔法でお前の魔力はまだ十分とはいえないはずだ。少しでも回復するように努めろ」
と言った。
それにうなづいた私をキュルケは玲治からたしなめられたとでも思ったのだろう。満面の笑みを浮かべ「ざまあみなさい♪」と口をパクパクと動かした。
それに何か言ってやろうと口を開きかけたが、「ルイズ」っと玲治に名を呼ばれ肩をぽんぽんっと叩かれれば黙り込むしかなかった。まったく・・・どっちの味方なのよ。

だんだんと周りのが暗くなってきたのは、木と木の間が密集していて日の光を通さなくなっているからだ。
道幅はもう馬車が通るのがやっとというところ・・・そろそろ降りたほうが・・・と思ったところでミス・ロングヒルが馬車を止めた。ここからは歩いていくことになるらしい。
森の中に獣道のようなものがひっそりと続いている。
ギャギャギャっという何かの泣き声や、リリーンリリーンという虫の音・・・そしてバサバサと鳥の舞う音・・。
昼間だというのに真っ暗な森は、しっとりと湿っていて肌寒い。
「なんか、暗くて怖いわ・・・・、いやだ・・・・」
視界の隅でキュルケがわざとらしく玲治の腕にしがみつく。
・・・キュルケの奴・・・!!!
なんといってやろうかと思っていると、
「怖いなら、タバサにくっついていたらどうだ?俺なんかより騎士の称号を持つ彼女のほうが頼りになるだろう」
っと玲治はさらりとキュルケを引き離し、タバサのほうへと押しやった。
キュルケがそれにつまらなそうな顔をするのに、玲治は知らん顔をする。
私はなんだか愉快な気分になってひっそりと笑った。

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