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愛しくて候

注意:捏造スコットランド
プーと独の話。 中心はスコットランドと英

各国が集まるパーティー会場。
兄と共に出席していたドイツは、少し遅れてやってきたイギリスの頬に大きなガーゼがあてられているのをみて驚いた。
「喧嘩でもしたのか…?」
ぼそりと呟くと、隣でシャンパンを舐めていたプロイセンが振り返り「あぁ、懐かしいな」と言った。
「そうじゃなくて、彼の頬だ」
「だから、それだ」
ドイツは一瞬意味がわからなかったが、すぐに“彼に会うことが懐かしい”のではなく、“彼の怪我が懐かしい”と言っているのだと納得する。
「相手はフランスだろうか」
イギリスの喧嘩友達ともいえる相手を思い浮かべてドイツが呆れたように言うと、プロイセンが違うと言って彼の背中を小突いた。「そりゃあいつらは仲が悪い。喧嘩だってしょっちゅうだ。だけど昔ならまだしも、今はさすがに目立つ顔は殴らねぇよ」
「じゃぁ、一般人か?」
あいつは酒癖が悪いし…というドイツの言葉は、兄によってまたもや拒否される。
「あいつ自身戦線に出てたのは随分前だが、一般人に顔を殴らせるほど腑抜けちゃいねぇよ。それに機嫌良さそうに見えるだろ?」
言われてドイツが表情を窺うと、日本としゃべっているイギリスは確かに機嫌が良さそうに見える。
いやご機嫌といってもいいかもしれない。
「そういえば…」
紳士と自称しながら、なかなかに直情的なところのあるイギリスがあの姿で機嫌がよさげなのはおかしい。
「ではただの事故か?」
「それも違うな。まぁ、ありうるけど、今回は違うさ。あれは誰かに殴られた痕だ」
なぜ言い切れるのかドイツにはわからないが、兄が言うことは比較的なんでも素直に聞いてしまうところのあるドイツだ。この時も素直に“兄が言うのだから”と信じた。
「だが、相手は誰だ?」
「わからないか?あいつが殴られても喜ぶような相手」
「その言い方だとイギリスがただの変態みたいなんだが…」
「まぁ変態だけどな。じゃぁ、お前ならどうだ?お前なら誰になら殴られる?」
「意味がわからないのだが」
「まぁ聞けよ。不意打ちではなく、正面から向かってくる相手だ。例えば酔っぱらった一般人。お前はそいつに殴られることを許容するか?」
兄の言葉を少し考え、彼はNOを返す。
「状況にもよるだろう。ボディに一発で事態が収拾するなら受け入れることもあるかもしれない。だが顔は駄目だ」
もちろん女性が顔を傷つけられるのを避けるような意味合いではない。
国家として人に見える場所への傷はとうてい許容できないという意味だ。
「ではイタちゃんや日本ならどうだ?」
「あいつらがそんな暴挙に出るとは思えん…というか、イタリアに殴られてもアザはできない気がする」
「はは、確かにな。じゃぁ、アメリカやロシアなら?」
「そんな不覚はとらん」
ムッとした様子のドイツにプロイセンは心底愉快そうに笑い、愛しげな視線を弟に向けた。
「それでこそ俺様のヴェストだぜ」
「兄さんのものかどうかは別にして、そろそろ愛する弟に答えを教えてくれないか?」
「答えか。それは簡単だ。目の前にある」
ドイツの目の前といえば…
「まさか…兄さんがやったのか?!」
驚くドイツを「違う」とプロイセンは小突いた。
「なんで俺があんな眉毛を相手にしなきゃならねぇんだ」
「驚いた。頼むから兄さんはもう少し落ち着…」
「だから違うっつってんだろ!」
落ち着けと背中を撫でられ、ドイツは息をついた。
そして先ほどの言葉をもう一度反芻し、「あぁ」ともう一つの答えにたどり着いた。
「もしかしてアメリカか?」
ドイツにとって目の前にいる男は数多ある国々とは違う“兄”という存在だ。
それをイギリスを照らし合わせると、自然とアメリカの存在が浮かび上がってくる。
それはおそらく正解だろうとドイツは確信したが、
「惜しい」
兄からは思った言葉は出なかった。
少しムッとしたドイツにプロイセンは「まぁくえよ」とキャビアののったカナッペをすすめる。
「いいとこはついてるけどな。…まぁ、お前はあんまり“アイツ”の事まではしらないしな」
「アイツ?」
「その前に。俺の拳なら、お前は甘んじて受け入れるか?」
プロイセンの言葉にドイツは少し考えて頷いた。
「あぁ。不意討ちでもない限り、俺の顔に拳を入れられるのは兄さんだけだろうな」
「笑っていられるのも?」
ニヨニヨとした笑みを浮かべる兄にドイツは渋い顔を見せながらも頷いた。
そして「あ」と声をあげイギリスを見た。
彼はようやく正解にたどり着いたのだ。
「…もしかして」
「そう。スコットランドさ」
ドイツの言葉を途中で引き継ぎプロイセンは言った。
「どうしようもねぇ暴力兄貴さ。誉める変わりに殴る。笑顔見せる変わりに殴る。頭撫でる変わりに殴る。抱き上げる変わりに殴る。」
ちびのイギリスは生傷が絶えなかったとはフランスの談だ
「それは…」
「けどな、それでもイギリスは暴力兄貴が好きで好きでたまらんらしい」
ケセセとプロイセンは笑う。
「そのスコットランドも近頃じゃ田舎に引っ込んじまって没交渉。それが久しぶりにあってみゃ、与えられるのはやっぱり暴力。それでも嬉しいんだろう」
とんだ変態だよ。
可笑しそうに笑う。
「まぁ本能のなせるわざなんだろうよ。今はどうでも、あの頃のあいつはスコットランドにすがるしかなかったんだ」
虐待を受けている子供が、それでも親を愛し続けるのに似ている。
暴力を振るわれれば振るわれるほどに、その子供は強く親を愛するのだ。
そのような心理があることをドイツは知っている。
「馬鹿な奴だよ」
ふんっと鼻で息を吐くプロイセンを見ながら、ドイツは確かにその局面は否定できないと考える。
彼の場合はプロイセンによってあふれる程の愛を与えられて育っている。
彼は訓練の時はそれこそ鬼のように恐ろしかったが、それ意外は砂糖菓子のように甘かった。
“だからこそ、兄を慕い敬う” というのはもちろんある。
だが、もしドイツに対するプロイセンの態度が、彼の言うスコットランドのそれだったとした時、この関係性は変わっていたかというと…それはないだろうとドイツは思う。
おそらくどのような虐待を受けた所で、彼はプロイセンを愛し慕っただろう。
プロイセンの言う“本能”というやつだ。
だとすれば、兄に暴力を振るわれて尚その兄を慕い続けるイギリスは、もう一人のドイツに他ならない。
ドイツはイギリスをもう一度見つめた。
彼は未だに笑っている。
すごく楽しそうな笑顔だ。
まるでお花畑でも歩いているかのように。
「彼は、スコットランドはイギリスのことを愛しているのだろうか?」
ドイツの言葉をプロイセンは笑う。
「そりゃそうだ。与えるものは暴力という形であれ、それは愛に違いない」
ならば、暴力を与えることしかできないスコットランドという存在は、もう一人のプロイセンでもあるということだ。
「じゃぁ嬉しいのもわかる気がする」
ドイツの言葉にプロイセンは驚いたように目を丸くし、「ケセッ」と照れたように笑った。

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