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ゼロの夜想曲 33

目を開けた途端、真っ赤な瞳に射すくめられて思わずヒッとのどの奥で悲鳴を上げてしまった。

その赤い目の持ち主(金色だったような気がしたけど気のせいだったかしら?)である玲治は、私が目をあけたからか悲鳴を上げたからかは知らないが、驚いたようにゴメンと言って体を引いた。
「な・・・何しているのよ」
乙女の寝起きを襲うなんて!っと胸元に上掛けを引っ張り上げながら身体を起こす。
そこはいつもの私の部屋で、カーテンからの陽の光の角度で朝だということがわかる。
「あぁ、もう起きる時間?」
と、くしゃりと髪に指をからめる・・・とズキンっと頭が痛んで顔をしかめた。
「大丈夫か?」
「大丈夫。ちょっと頭が痛くなっただけ」
「身体がだるいとか、吐き気がする・・・とかは?」
・・・?
何で病人に言うようなことを彼に言われなくてはいけないのだろう?不思議に思って彼を見ると、
「昨日のこと覚えてないのか?」
「昨日のこと?」
聞き返してまたズキリと痛んだ頭を抑ええる。
昨日・・・昨日・・・・。
昨日は・・・ええっと確か、玲治に剣を買い与えようとして・・・馬が役に立たなくて・・・キュルケとタバサがついてきて・・・スリと出会って・・・ちょっぴり喧嘩して・・・仲直りして・・・剣を買って・・・・・・ええっとそれから・・・。
「帰って魔法の訓練をした」
「あっ、そうそう、そうだったわね。それでまた呼びもしないのにキュルケとタバサまでついてきて・・・」
「そう。最初にキュルケがファイア・ボール?だかを見本でやってみせて」
杖を両手でささえて・・・暴れまくる魔力を押さえつけて・・・・・・つけて・・・・・!!!!
「そう!!!思い出したわ!私やったのよ!!!!」
叫ぶと同時に私は布団を跳ね除けてベッドの上に立ち上がるとぴょんっと跳ねてバフンっとまたベッドに寝転がった。
「私やったんだわ!!!」
やった!!やった!!!確かに魔法をつかった!!!
あれは失敗なんかじゃない!
そ・・・そう、失敗じゃないわよ!
確かに見たこともない魔法だったけれど・・・・ちゃんとした魔法よ!!!
それを私がやったのよ!
「やったわ!!!!!!」
もう何度目になるか分からない嬌声を上げ、ベッドを転がっているとふと視線を感じた。
ちらりと目を向けるとそこには呆れたような顔をした玲治がつったっていた。あまりの嬉しさにどうにかなっちゃいそうなくらいテンションの高かった私は、ベッドから転がるように飛び出ると玲治を押し倒すような勢いで抱きついた。
ぐらりと揺れる玲治の身体と「わっ」という声を無視して、思ったよりも細い彼の身体をぎゅーぎゅー締め付けて頭をぐりぐりと押し付けた。
そして、バッと顔を上げて
「ねぇ!私やったわよね!!!ねぇ!そうでしょう?」
「え・・・あ・・・あぁ」
「魔法よね?!ちゃんと私、魔法つかえたわよね!」
「あぁ・・・」
「ちゃんとみてたわよね?!ねぇ!」
「う・・・ん」
押され気味の玲治を壁際まで追い詰めて、両手で頬を挟んだ。
「ねぇねぇ!」
「わかった・・・わかったからルイズ・・・ちょっと離れ・・・」
両手で私の手を掴みなんとか自分の頬から手を離させる玲治。
「ねぇ!見直した?!少しは私のこと見直した?!」
玲治の頬が僅かに赤く見えるが余計に私の気分を余計に高揚させる。
「ね!ねぇ!」
「あぁ、見直した。見直したよ。」
多少なげやりともいえる言い方だが、私のテンションを下げることは出来ない。むしろ、どんどんボルテージが上がっていく。
「どう?!少しは私の使い魔になってよかったって思った?!」
「あの・・・なぁ、ルイズ・・・」
「ねぇ!どうなの?!」
ぐっと顔を近づけると、本当に困ったような顔をして横を向く。
「あぁ・・・あの・・・うん。まぁ少し・・・」
「少し?!少しってどれくらい?!」
「あぁ・・・あの・・・それより!!!」
焦る玲治が面白くてついつい悪乗り、キスするほどに近くに寄ると、とうとう耐えられなくなったのか私の肩をぐっと押して距離をとった。キュルケにあれだけ言い寄られても眉一つ動かさなかったくせに・・・私に言い寄られたらタジタジじゃない!っとちょっと・・・いや、かなりいい気分。だからもう少しからかってあげたいところだけれど、まぁいいわ。
勘弁してあげることにして私は一歩を下がった。
あぁ、それにしても頬の筋肉が緩み幕って・・・とろけてしまいそう!
顔を両手で抑えてなんとかマジメな顔をしようと思うのだけれど、表情筋が全く言うことをきいてくれない。
だって、だって、だって!!!
魔法よ?!
私が!!!!
ゼロのルイズと皆にバカにされていた私がよ!!!
いつもドカーーーンと爆発して終わり!だったのに!!!!
それが、あーーーんな・・・
「聞いてる・・・?ルイズ」
「えぇもちろん!」
私はこっくり頷いた。
「全く聞いてないわ!」
玲治の顔が引きつる。
「もう一度いって!」
今度こそ聞いておくわ!っとにこにこしながら言うと、彼ははぁ・・・っと大きく肩で息をして、先ほど一度口にしたらしい言葉をもう一度繰り返した。
「だから・・君が塔を壊して気を失った後、巨大なゴーレムが襲ってきて、塔の中からとっても大切なものを奪ってしまったんだ」
「そう!」
なんて素敵なの!
「・・・そう・・・っじゃなくて・・・。ええっと・・・土くれのフーケってのは知ってるか?」
「もちろんよ!貴族たちを震え上がらせる盗賊ね!」
「あぁ、そいつが襲ってきたんだ。で、君が壊した塔から宝物を奪った」
「そう!私が壊した塔から!」
「あぁ」
今日はとってもいい一日になりそう!
私はくるりとその場で回って見せて・・・それからぴたりと止まった。

私が壊した塔から・・・土くれのフーケが・・・・?

無言で玲治を振り返ると・・・彼は、片方の眉を器用にひょいと上げて頷いた。

「顔、笑顔でかたまっちまったみたいだな」

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