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ゼロの夜想曲 32

「玲治・・・貴方・・大丈夫なの?」
唖然としながら言う私に彼は不思議そうな顔を向け、それには答えずにキュルケの方を向いて口を開いた。
「なかなかいい攻撃だったが、もっと密度を厚くしたほうがいいな。それと炎の回転とスピードを上げるように」
「で、でもダーリン」
「言い訳は無用。これくらいの炎じゃ薄皮一枚だって焦げない。」
少しだけ怒ったように言う玲治に、キュルケは一瞬不満そうな顔をしたけれどしぶしぶと頷いた。
玲治はそういうけれど・・・キュルケの火の魔法は天性の才能があるといわれるものだ。それに・・・ダメ出しするなんて・・・キュルケのやつ・・・いい気味・・・っと思いたいところだけれど、なんだかちょっと気の毒になってしまった。
でも、私に同情されるなんて彼女のプライドが許さないだろう。
私はそ知らぬ顔をつくろい自分から、
「じゃぁ、次は私の番ね!」
っと挑戦的に言ってみた。
彼はその私に面白がるような視線を向ける。
炎に包まれたときは柄にもなく取り乱してしまったけれど・・・。
そうよ・・・あれで無傷なんだから遠慮なんてする必要ないわよね・・・・!
「危ないから下がってなさい!」
っと人に言わなきゃいけないのが寂しいところだけれど・・・。
「いくわよ!」
っと私は杖を構えて、いつも以上に集中力を高めた。
魔力がフッと身体の中から湧き上がる。空気の色が変わって、風が私から巻き起こる。
それを圧縮して杖に集中させ・・・・
「練りこんで練りこんで・・・俺を殺すくらいの気持ちでいけ」
「わかってるわよ・・・!」
暴れるような魔力・・・私では制御できない・・・それを・・・クッと奥歯を噛み締めて・・・
「まだだ!」
よし・・・と気を抜きそうになった途端に玲治の声が飛び、私は慌てて杖をきゅっと握りなおした。
そして、また練りこむ。
いつも以上に高密度で暴れ馬みたいになった私の魔力。これ以上・・・耐えられない・・・かもしれない。
「れ・・・玲治!」
助けを求めるように呼ぶ。
「まだだ!!」
「も・・・もう無理!!!!無理無理無理!!!」
支えていられない。杖がぶれる。このまま・・・爆発しちゃいそう・・・・!
「根性で頑張れ!」
こ・・・根性ってなんなのよ!!!!そんなの知らないわよ!!!教えられた覚えもないわよ!!!
ガクガクと揺れる杖・・・練りこんだはずの魔力が少しずつはじけ飛んでいく・・・やばい・・・なんてもんじゃないわ!!!
こんなのが間近で爆発しちゃったら・・・・!間抜けだけど放った本人が死んじゃう!!!
心の中で悲鳴をあげていると・・・
「仕方ないな・・・」
急に声が間近で聞こえて、フッ杖が楽になった。
きゅっと閉じていた目をあけると、両手で持った私の杖に玲治の手が添えられている。
どうやら私の後ろに立ち両側から挟むようにして杖を握ってくれているようだ。
「少しはこれで安定するだろう」
「ど・・・どういうこと!」
あんなに言うことを聞かなかったエネルギーの渦が・・・今は何故かとても静かになっている。
杖を振り切って暴れまわろうとしていたのが嘘のように、今はただ静かにその密度をぐんぐんと上げていく。
大きな大きな魔力・・・それが、ビー玉くらいの小さなにまで折りたたまれ圧縮されていく。なんという高密度・・・!
私が力を出すというよりも、その光点に向かって魔力が吸い上げられていくような感じ。
「れ・・・玲治・・・・!」
そのエネルギーの大きさに怖くなって私をフォローしてくれている玲治の名を呼ぶ。
それに、彼は、
「大丈夫だ。もっと力を出してみろ・・・制御は俺がやってみるから」
「でも・・・これ以上は・・・・!」
「大丈夫だ。もう少し・・・そうすれば・・・メギドくらいは・・・」
後半はよくわからなかったけれど・・・とりあえず・・・大丈夫よね?
私は汗で滑る杖をぎゅっと握り締め、また魔力を紡ぎ始めた。・・・がしかし、すでに殆どの魔力を使い込んでいたらしくすぐに息切れしてしまう。
「もう・・・無理」
どうやら許容を越えた魔力を使ってしまったのかもしれない。
足がにわかにガタガタと震えだした。
「ルイズ、しっかりしろ」
「してるわよ!」
「あと少しなんだがな・・・」
「何が!」
「イチイチつっかかるな・・・」
煩そうに返しタ玲治は、あぁもう仕方ないっとを向いていた杖の先をゆっくりと動かし・・・塔の先端の辺りに狙いを定める。
あそこは・・・確か・・・宝物庫のある塔・・・?あんなところに向かって・・・いくら私の魔力とはいえ、こんな高密度のものを放っていいのかしら・・・?
そんなことを思っていると、力の入らなくなっていた足がカクンと折れ、たおれそうになるのを玲治が片手で支えてくれる。
「しっかりしろ」
「してるけど・・・」
「いいか・・・放つぞ・・・!」
「え・・・えぇ」
杖の中で渦巻いていたものが金色の輝きを持って実体化する・・・。
ちょっとした衝撃で爆発してしまいそうな高密度な光の弾・・・。
「メギド・・・」
玲治がぽつりと呟いた。その言葉の意味を問おうにも、私にはその余裕がなく・・・グンッと杖を突き出し魔法を放った瞬間思わずよろけそうになり、またも玲治に支えられた。
ずるりとそのまま尻餅をついてしまいそうになる私の身体を、玲治は自分のほうに引寄せて支える。
視線の先・・・ビー玉大の光の弾はまっすぐに塔へと突き進み・・・そして次の瞬間・・・・!
ドガーーーーーン!!!!
ものすごい音と共に、塔をぶっ壊した・・・。
一抱えほども有る塔の壁の破片ががらがらと瓦解していく・・・。
「はは・・・なんかすごい・・・」
私の感想に、
「まぁまぁだな」
玲治がそう言った。
私は彼の顔を見ようと振り返りかけたのだが・・・その瞬間、視界がフェードアウトし・・・気を失ってしまった。

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