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救いは痛みを生じる

独ロマ
中世風FTパラレル
病弱王子ロマ と その近従独
微妙… 読み返してない なんかどっか一箇所矛盾してるな…って思ったけど、忘れた。

イタリア王国の第一王子というのは…つまり俺のことだが…本当にどうしようもなかった。
わがままで癇癪持ちで、乱暴で人嫌いで気難しくて…それでいて病弱なのだ。
本当に手がつけられないとは俺のことだろう。
俺はいつもイライラしていて、落ち度のない女官に文句を言ったり、食い物がまずいといったり、気に入らないものを投げつけたり…でも一人でいるとすぐに発作を起こしてヒィヒィ喉の奥で悲鳴を上げて…。
誰もが俺の機嫌にびくびくしてて、顔色を伺ってて、なるべく近寄らないように…でも一人にはできないって壊れ物を扱うようなそんな態度をとっていた。
そんな俺は10を数える頃にはとっくに城のみんなに嫌われ、見放されていて、第二王子…弟ばかりが可愛がられていた。
弟はバカだけど人当たりが良くて、柔和な正確をしていたし、身体だって丈夫だったからゆくゆくは彼のほうが王位を継承するだろうって皆思っているし…多分、そうなると思う。俺みたいなのがまともな大人になるわけないし、まして王様になって国をおさめることなんてできるわけがない。
皆俺のことなんて、早く死んでしまえって思ってるんだ。

 *

「失礼します」

低く通る声と共に部屋に入ってきたのはルートヴィヒだ。
俺の身辺警護の担当者で、執事のようなこともしてくれる専任者だ。
俺のそばにいることの出来る唯一の人間…といっても、別に俺が彼に気を許してるっていう意味ではない。
どちらかというと俺のほうが根負けして、そばに置いてやっているのだ。
彼は俺が10の時にやってきて、それから5年…俺がどんなに意地悪しても俺のそばに居続けた唯一の人間だ。
変な奴。物好きな奴。
俺と一緒にいたってなんの利益もないのに。
俺は使用人にも父親(王)にも見放されてしまった厄介者だというのに。
皆から死んじゃえって思われているような人間なのに…。
だけど、本当は俺はこいつに感謝しなきゃいけない。
俺にはもう、こいつしかいないんだから。
多分こいつがいなくなったら、俺は本当に死んでしまうしかないんだから。

「ルートヴィヒ」
ベッドに寝転がったまま彼の名前を呼ぶと、ルートヴィヒは少し足早にベッドまでやってきて俺の額に手を当てた。
「少し熱っぽいな」
「あぁ」
喉が渇いた。
そういうと、ルートヴィヒは水差しからコップに水をうつし、やせっぽちな俺を片手一つで支えてゆっくりと水を飲ませてくれた。
「フェリシアーノ王子が一緒に朝食を…といっていたが、無理みたいだな」
「…無理」
むしろ健康だったとしても嫌だ。
別に弟の事は嫌いじゃないけど…俺の代わりに王位につくはめになって、可哀想で…それに関しては同情だってしてるけど、あいつの笑顔を見るのは辛い。
「わかった。断ってくるから少し待ってくれ」
「あぁ」
フェリシアーノ。
あいつがいるとみんな笑顔になる。
みんな楽しそうで、あいつがいるだけで部屋の中がパッと華やぐ。
だけど俺がいたらそれが一転する。
みんなの笑顔が凍りついて、目がおどおどして、空気がひんやりして…。
俺はイライラするし、ムカムカするし…悲しくなるし…耐えられない。
それが“みじめ”ってやつなんだろうなって思うと、俺はもう苦しくてたまらない。
だから俺はあいつが嫌いじゃないけど、苦手で…怖い。
しばらくして戻ってきたルートヴィヒは、ベッドの脇においてある椅子に腰掛けもう一度俺の額に手を当てた。
無骨な手は大きくて厚くて…その重みが心地良い。
「リゾットでももらってこようか」
「…いい」
「といっても何か食べないとだめだろう」
「じゃぁ果物がいい」
これがルートヴィヒじゃなきゃ、俺は怒鳴りちらしてそいつを追い返しているところ。
だけどルートヴィヒは鈍感だから…そんなの全く堪えないから…俺は素直にしておく。
「では葡萄と、りんごでももらってくるか」
「トマトも」
「トマトは…まぁいい。少し待っていろ」
ルートヴィヒがいなくなってしまうと途端に俺は寂しさを感じる。
あいつが専属になる前は、一人になるとせいせいしたっていうのに。
「早く帰ってこいよ…な」
俺はあいつといるとどんどん弱くなる。
心がギシギシって変な音を立てていて泣きたくなる。
だけどあいつがいなくなるとそれこそバキッて砕けてしまいそうでもっと苦しくなる。
「早く、早く、早く」
早く帰ってこい。早く帰ってこい。
じゃないとおかしくなりそうだ。
近頃俺は、あいつをほとんどそばから離さない。
前は一週間に3日くらいだったのに、近頃では毎日。彼には休みだって与えていない。
それで本当にずっと一緒にいることを強制している。
俺はきっとおかしいんだ。
泣きそうになっていると、ようやくルートヴィヒが帰ってきた。
「遅い!!!」と怒鳴りつけると、彼は「悪い」と一言謝ってベッドサイドに果物のかごを置くと、細い手を伸ばす俺を抱きしめてくれた。
「待ってたのに!なんで早くこねぇんだ!ちくしょー…!」
「悪かった。料理長が席を外していて…少し手間取った」
「な、なんだよそいつ!そんな奴は首にしてしまえばいいんだ!!!」
「彼の料理は王のお気に入りだからダメだ」
「だ、だって…」
「ほら、とびきりのトマトももらってきたぞ」
身体を離された俺は仕方なくトマトを受け取ると、それに口をつけた。
そのトマトは確かにとびきりというだけあって、美味しかったけど…先ほどのわがままな言葉でルートヴィヒに嫌われたんじゃないかと思って、俺はあまり味がわからなかった。
俺が落ち込んでいるとルートヴィヒが「大丈夫か?」と言って俺の頭を撫でた。
「子供扱いするなよ…」
「あぁそうだったな。もうすぐ16…だったか?」
「…そう」
16になればもう大人だ。
結婚だってできるんだ。
だけど…多分そうは見えないだろうなってことも俺は知っている。
俺はやせっぽちで、外に出れないから生っ白くて…二歳下の弟よりも背が小さい。
俺の国では16歳で大人になる。俺は一応第一継承者ってことになっているから、本当はその日からは息子ではなく、王の後継者として正式に働かなきゃいけないってことになるんだろうけど…だけど、多分俺の場合はそんなことにはならない。
弟が16になったら俺はお払い箱だから。
俺は継承権を捨てた上で適当な領地を与えられて、そちらに移ることになるんだろう。
その時には絶対ルートヴィヒも連れていきたい…けど…。
「何を考えているんだ?難しい顔をして」
「別に」
「別にって顔ではなかったが…。もしかして随分具合がわるいのか?」
「具合は…別に。普通」
普通に気持ち悪い。胸がぐるぐるするし、頭がじんじんする。
だけどこれくらいは慣れた。むしろ調子はいいほうだ。
俺はトマトをまるまる一つ食べきってルートヴィヒに手を拭いてもらうと、そのままルートヴィヒにもたれた。
ルートヴィヒは何も言わずに俺の頭を撫でる。
子供扱いするなっていっているのに…。
「お前って…長男だっけ」
「いや、次男だ。上に手のかかる兄がいる」
「へぇ…。出身は?」
「北の方だ」
北。
言われて国内の地図を思い浮かべたけれどよくわからない。
「どんなとこだよ」
「そうだな…いい所ではある。ただここほど土地は肥えていないし、海は遠いし…冬は厳しいな」
「ふぅん…」
ぐずっと鼻をすすると、彼は俺をベッドに寝かせふとんを肩口までしっかりとかけた。
「だが春や夏はとてもいいところだ。大きな草原があって、馬を駆けさせると本当にきもちがいい」
そういってルートヴィヒは懐かしそうに目を細めた。その表情に俺はなんだか胸がもやもやするのを感じた。
「昔は兄さんによく遠乗りに連れていってもらった。草原をわたって森のそばの湖まで。森の中には狼がいるからとつれていってはもらえなかったが…」
時計台の話や、大きな教会の話。大きな川に船を浮かべて遊んだ話。
眩しくて目のくらむような話。
俺は楽しそうなルートヴィヒとは逆にだんだん足元が崩れていくような不安を感じて「やめてくれ」と気づいたら懇願していた。
「ロヴィーノ?」
ルートヴィヒは怪訝な顔をしたが、すぐに折れの事情がわかったのだろう「悪い」とばつがわるそうに謝った。
謝られたら…文句が言えない。
俺はルートヴィヒから顔を逸した。
「ロヴィーノ…」
「……」
「聞いてくれないか?」
無視をしていたら、彼はわざわざベッドを回って俺と顔を合わせてきた。
「なんだよ…」
「前から提案したいと思っていたんだが…お前、一度俺の故郷にきてみないか?」
「…は?」
驚いてルートヴィヒを見ると、彼はなにやら真剣な顔をしている。
「前から考えていたんだ。もしかしたら、お前にはこちらの…海風よりも、内陸の土地の空気のほうがあっているんじゃないかと…」
「…なんだよそれ」
意味が分からない。
不振な顔をする俺に「療養にこないかってことだ」と彼が言った。
「環境を変えれば、もしかしたら体がよくなるかもしれないだろう?大体、ロヴィーノ、お前が前にこの城を出たのはいつだ?」
「いつって…」
前に外に出たのは…たしか…弟がまだ俺よりも小さかったから…。
「3年…くらい前?」
でもあの時だって、すぐに具合が悪くなって城の中にとんぼ返りした覚えがある。
「そんなに出ていないのか」
「仕方ない。俺はすぐに体が悲鳴を上げるんだ」
俺だって健康ならば…なんて…それは考えないことにしてるんだけど。
「でも、城の中にいたって全然よくならないだろう?医者は何人もついてくれているのに」
「……」
「なら、いっそ城から出て療養してみないか?それに…お前はこの城が嫌いだろう?」
「え?」
この城が嫌い?
それは俺の意表をつく言葉だった。
きょとんとした俺を見て、ルートヴィヒは苦笑する。
「考えたこともないと言う顔だな」
「だ、だって、俺は別にこの城は嫌いじゃない…ここは俺の家…だし」
「でも、女官や兵士は嫌いだろう?医者も嫌いだし、王や王妃だって苦手だろう?それに近頃ではフェリシアーノ王子だって遠ざけているじゃないか」
「で…も」
よくわからない。
俺はここでずっと過ごしてきた。
外に出たきおくなんて、両手の指の数よりも少ない。
だから、好きも嫌いもない。
混乱する俺の髪を撫でるルートヴィヒ。
「一度何のしがらみの無いところに出てみるということも必要だと思うぞ。もちろん、強制するわけじゃないが」
俺はまだ混乱している。
だけどルートヴィヒの表情から、その提案が俺を思ってのものだっていうことくらいは分かった。
俺はなんだか泣きそうになって、唇を噛んだ。
そんな俺を見たルートヴィヒは何を勘違いしたのか、ひるんだような顔をした。
だけど、
「いや、だから別に強制では…」
違う。そうじゃなくて…
「それは、お前も行くんだよな?」
手を伸ばし、服の裾を掴んで聞くと…彼ははっとしたような顔をした後「もちろんだ」と目を細めた。

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