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ゼロの夜想曲 30

よみかえしてないのです。ごめんなさい。

ルイズと玲治を待っていたキュルケとタバサ。
ルイズの顔に笑みを見てキュルケはフッと詰めていた息を吐き、笑顔を作った。そして、
「遅かったじゃないのよ!一体いつまで待たせる気!」
いつもの憎まれ口を叩く。
「うるさいわね!あんたが勝手についてきただけじゃないのよ!」
それに返すルイズもまた先ほどまでの落ち込みはない。
タバサがこちらをじっと見ている気配に気付いて玲治が目をやると、何か納得したかのようにタバサは小さく頷いた。

やがて、一通りの漫才(?)が終わると先ほど言っていたデザートを食べに行こうという話が出た。
が、しかし、普通の食事でも辟易するのにケーキのようなものは想像しただけで反吐がでると、玲治は店の近くにあった小さな広場(公園)で休むことにした。
三人が店に入るのを見送り、小さな円形の噴水の縁に腰をおろす。
そして、先ほど手に入れたばかりのインテリジェンスソード『デルフリンガー』を鞘から抜いた。
長剣、両刃、かなり使い込んだものか痩せている。装飾の類は一切なく、刀身には錆が浮き曇っている。
世辞にも立派とはいえず、どちらかというと雑兵が使う安物の剣に近い。
しかし・・・握ったとたんに分かった。
これは、これこそが自分の手にするべき剣。
あの頭の悪そうな金髪の貴族(ギーシュ)の時にコルベールが使わせてくれた剣はスクカジャ×2+タルカジャ×1というところだったが、これはスクカジャ×3+タルカジャ2はある。
それに力を流し込むと・・・
「わわわわ!勘弁してくれよ!旦那!!!!」
ぎゅっと柄を握りこみ、悪魔の力を僅かに流し込んだところでデルフリンガーが情けない声をあげ、玲治はその力を押しとどめた。
「何だ」
「何だじゃねぇですよ!そんな殺気のこもった真っ黒なもん流し込まれる身にもなってくだせぇよ!旦那が持つだけでも俺ぁ、刀身がガクガクなのに!そんなもん流し込まれた日にゃぁ、形が変わってしまわぁ!」
「・・・変わるのか?」
首を傾げる玲治に、例えではなくブルリとデルフリンガーは刀身を震わせた。
刀身の形が変わるというのはものの例えだったが・・・しかし、実際にやられたら本気で形が変わってしまいそうだとデルフリンガーは思った。例えば、真っ黒な刀身になるとか、ガッツ(※ベルセルク)の持つ大剣みたいになるとか、抜くときに肉をグザグザにしてしまうようなささくれ立った剣になるとか・・・・。
「か・・勘弁してくれよ・・・旦那」
ヤクザの下っ端がへつらうような声を出すデルフリンガーに、今は勘弁してやるかと玲治は頷く。そして変わりに聞いた。
「そういえば、お前はさっき俺のことを『使い手』とか言ってたな。姿を変えない代わりに、その意味を教えろ」
「へ・・・、へぇへぇ」
それならお安い御用だとデルフリンガーは話しだす。

始祖ブリミルの使い魔、ガンダールヴ。
伝説とまで言われるその使い魔は、千人もの軍隊を一人で壊滅せしめることができ、並みのメイジでは全く歯が立たないほどの腕を持っていた。
そのガンダールヴが持っていたとされるのが、玲治の手の甲に浮かび上がっているルーン文字と同じもの。
ガンダールブはあらゆる武器を自在に使いこなし、主人を守り支えた・・・という。

「じゃぁ、別に主人にくっついてなくても強かったわけだ」
「んーそりゃぁなんともいえねぇが・・・」
「力の無い主人の仕えるほど苦痛はなかったろうに」
自分の仲魔を思い浮かべながら言う玲治。
彼に仕える仲魔たちはとてもプライドが高く、自分より弱いものには決して膝を折ることはない。彼らを従え、忠誠を誓わせるために玲治もどれほどの苦労をしたか・・・と考えていると、「いいや」っとデルフリンガーが彼の言葉を否定した。
「どういう意味だ?」
「だから、ブリミルってやつも相当な強さをもってたってことだ」
「ふん?」
「強力な魔法には、長い詠唱が必要になる。その詠唱の間、メイジってやつぁまるっきり無防備だ。そこを敵に攻撃されちゃコロっとやられちまう。ブリミルってやつぁ、強力なメイジだったから尚のこと詠唱には長い時間がかかったんだ。その間、ブリミルを守っていたのがガンダールヴってやつよ」
「ふん」
頷きながら玲治が考えていたのは、変身中の正義の味方には手を出さないという戦隊物特有の『紳士協定』は此処には存在しないのか・・・というくだらないこと。
まぁ、それはボルテスクでも同じだったのだが、それはいい。
「ブリミルにとっちゃ、ガンダールヴってのはなくてはならないパートナーだったってわけか」
「まぁ、そういうことだな。旦那みてぇな悪魔にはわからねぇかもしれねぇが、主従関係以上の信頼ってやつで結ばれてたんだろうね」
悪気なくそんなことを口にするデルフリンガーに、玲治は一瞬痛い表情を浮かべたがそれをすぐにぬぐうともう一つの疑問を口にした。
「ということは・・・俺は、武器自体に魔法がかけられていると思っていたがそういうわけじゃないのか」
「っというとどういうことですかぃ?旦那」
「お前を・・・というより、剣を手に持つと体が軽くなったり、腕力が上がっていたり、目がよくなったりしている。それが武器にかけられた魔法によるものだと思っていた・・・が違うということか?」
「旦那、それこそが『使い手』たる所以でさぁ。何しろガンダールヴっていうやつぁ、あらゆる武器を瞬時にして自分の手足のように使うっていわれてますから」
「なるほど・・・」
頷きつつ玲治は立ち上がり、デルフリンガーを軽く振る。
悪魔の力は使わずに腕力だけで数度振り、それから周りに人がいないことを確認すると強く剣を振るった。
空気が切れるブンという音。カマイタチのような風圧が宙を走り、数十メートル離れた場所にあった家の側面をしたたか傷つける。
「すごいな・・・」
「・・・あ・・・あんまり無茶はしないでくだせぇよ。旦那」
「わかってる」
いいつつ、今度は下からまっすぐに切り上げる。
ブンっとまた空気が大きく唸り、切り抜けた場所に一瞬真空さえ生みまっすぐ上空へと昇る。
ふん・・・と鼻を鳴らした玲治は今度は振り向き様に自分が座っていた噴水を切りつけた。
右上から左下へと中央にあった女神を一線。
数秒後に、ズズズっとそれはズレ動きやがて崩壊した。切り口はレーザーで切ったかのようにまっすぐで、鏡のように空を映している。
「なるほど、俺の目に狂いはなかった」
剣をまっすぐに見ながら笑う玲治。デルフリンガーはとんでもない奴の元にきてしまったと刀身を冷やした。

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