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ゼロの夜想曲 25

「出たわね!この色狂い!!」
「色のイの字も知らない人に言われたくないわね~。ヴァリエール」

「へぇ・・・大きなドラゴンだな。これはなんていうんだ?」
「ウィンドドラゴン・・・シルフィード」

「大体なんであんたが、こんなところに居るのよ!」
「恋する乙女って、とっても一途なのよ。そんなこともわからないのね?可哀想に!」

「なぁ、触っても平気かな?噛まない?」
「・・・・平気」

二つ同時進行系に行われていた会話。
一方はぎゃーぎゃーと煩く、一方は至って普通に。

煩い方はつい先ほど、俺を“ダーリン”と呼び空から降ってきたキュルケとルイズ。
そして、もう片方は俺と青みがかった髪をした表情のない少女だ。
彼女の名はタバサ、ウィンドドラゴンであるシルフィードの主人らしい。
青い髪に青い目、小柄で細い体、無口で無表情・・・。
自己主張の激しい悪魔に囲まれていた俺にはちょっと珍しいタイプだった。
ニコリと微笑んで見せれば、ルイズのように睨むことも、キュルケのように大袈裟に喜んで飛びついてくることもなく不思議そうに小首を傾げる。その反応が新鮮だ。
シルフィードは二人が乗ってきただけあってかなり大きい。長い鎌首に蝙蝠のような大きな翼。
背中には背骨のような突起がぼこぼこと出ていて、その間が座るのにはちょうどよさそうだ。
何となく幼いような気がして聞くと、シルフィードはまだ幼生なのだという。っということは・・・そのうちもっともっとでかくなるのだろう。
サマエルくらいになるのだろうか?2対の翼を持つ悪魔の姿を思い浮かべながら、鼻筋を撫でてやるとグルルルっとシルフィードは喉を鳴らした。
可愛いドラゴンだ。こいつは、馬のように気を失うことも逃げ出すこともしない。
とても深い場所で恐れる心、だが幼いドラゴンは自分の中にある恐怖に気付いていない。
そのことに嗜虐心がくすぐられるが、それは我慢だ。
決が出てない以上、あまり勝手にはできない。
努めて笑顔でシルフィードを可愛がる俺の横顔を、タバサがじっとみているのにも・・・とりあえず今は気付かない振りだ。

それから、キュルケとルイズが馬に、馬に乗れない俺はタバサと共にシルフィードに跨り街へと向うことになった。
キュルケは自分もシルフィードに乗りたいとダダをこねたのだが、シルフィードがまだ幼生で2人以上を乗せて飛ぶのは少々きついことと、ルイズがぎゃんぎゃん言ったことにより二手に分かれることになったのだ。
馬の歩みよりも当然空飛ぶドラゴンのほうが早い。シルフィードは高く高く空に舞い上がり、道を進む2頭の馬を見下ろしながらのんびりととんだ。
上空は風が冷たく頬がひんやりとした。
「寒くないのか?」
タバサに聞くと、前に跨った彼女は振り返ることなく、小さな声で平気と呟いた。
必要以外の言葉は全く発しない。
俺は肩をすくめて空を見上げ、遠くの山々を見つめ、学園を振り返り、下を見下ろした。
彼女たち二人はまだ言い争っているのだろうか?二人の会話は此処からでは聞こえないが、馬を並べてすすめている様子から本当は仲がいいのじゃないかと俺は思っている。
それにしても・・・此処まで昇ると随分と馬が小さく見える。
ほんとうに豆くらいにしか見えない。
60Fのビルよりも高いだろうか。
ボルテスクにそびえたったゴズテンノウの城を思い出していると、
「何、考えてるの」
タバサが俺に背を向けたまま聞いた。
彼女の方から口を開いたことに俺は少々驚きながらも、今考えていたことを教えてやる。
「いや、此処から落ちたら死ぬかなってね」
「・・・死なない。フライを使えばいい」
フライ・・・とは飛翔魔法のことだったか。
最初に此処でみた魔法もそれだったはずだ。ルイズは使えない。
そして、
「俺も使えない」
「も・・・?」
「あぁ、ルイズも使えないだろう?」
「・・・・」
こたえない彼女に、ルイズに対する優しさを見たような気がしてちょっと嬉しくなった。
「・・・で、フライを使えない俺が飛び降りたら死ぬかな?」
「・・・・死ぬ」
彼女は肩越しに振り返った彼女に俺はニッと笑って見せた。

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