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無力すぎた僕の遠吠えを

ルート×にょロヴィ
南伊は、ロヴィーナって名前になってる。
できてる。主役は多分ギルベルト?読み返さないよ

ギルベルトは愛する弟が誰かと付き合っているらしいということはわかっていた。
だがその疑惑がたちあがって1年が経過してもなお、それが誰かというところまでは掴めずにいた。
それは弟…ルートヴィヒが上手く隠していたということもあるが、周りのサポート(ギルベルトにとっては妨害)があったからだ。
何処のクソ女が俺の可愛い弟をたぶらかしやがったんだ…と、何度も弟を詰問したが逃げられ、ならば尾行だと後をつけてもまかれ、知っていそうな人間には「もう少し待ってあげてください」となだめられ、友人たちにはニヨニヨとムカつく笑顔を向けられてはぐらかされ続けてきた。
ギルベルトは苛立っていた。
尻尾を出さない弟に、協力しないどころか邪魔ばかりする周り。
彼は仕方なく片っ端から疑ってかかるしかなかった。
高校時代の友人からルートヴィヒが現在院生として通っている大学の友人達、先生、生徒、隣の家の娘さんやルートヴィヒがよく利用するスーパーの店員、時折犬を預けているペットショップの店員、散歩で出会う他の犬の飼い主……と、そこまで疑ってもなぜか候補が上がってこない。
そのあまりの手応えのなさに、まさか…相手は女じゃなくて男じゃないだろうな?と顔を青くしていた頃…それよりももっと彼の顔を青くさせる事実が発覚した。

 *

「なん…だって?」

ギルベルトは、人生で初めて自分の身体の血がサッと音を立てて引いていくのを感じた。
彼は自分の体温が極度に下がっているのを感じ、また貧血を起こしかけているのに気づいてよろりとソファに倒れこんだ。
そして…ちらりと正面のソファを見、すぐに目を逸した。
「もう…一回いってくれないか?」
本当は聞きたくないが、どうしても聞いて置かなければならない。
恐る恐るもう一度問うと、正面の席に座っていた片割れ、ルートヴィヒの方が「だから…」と口を開いた。
「子どもができた…と言っている」
子ども。
実はこの前に何度か同じ会話を繰り返しているのだが、ギルベルトはそれでもまた衝撃を受け身体をのけぞらせた。
「る、ルッツ?も、もう一度」
「子どもができた」
「お、おい、俺の聞き間違えだよな?子どもができたとかなんとか…」
「そう言っている」
「あ、あれ~、おかしいなぁ…子どもができたとかなんとか…」
「そう、子どもができたんだ」
何度も希望を打ち砕かれ、また衝撃の事実を突きつけられたギルベルトは「なんでだよ!!!!」と涙目で叫んだ。
「こ、こ、子どもってお前…」
「おちつけ兄さん…」
「ど、どうやってつくったんだ!!!!」
「ど、どうやってって…ッ」
「作り方知ってたのか!?」
「なっ…」
何を言い出すんだ!!!と、顔を真赤にするルートヴィヒ。そんな彼にギルベルトは飛びつき、その鍛えられた腹筋を触った。
「なっ」
「こ、ここに子どもがいるっていうのか?!」
「落ち着けといっているだろう!いるわけがないじゃないか!俺は男だぞ!」
「じゃぁやっぱり嘘だ!嘘なんだよな?!そうだよな?」
「嘘じゃない!身ごもっているのは彼女だ」
そういってルートヴィヒが見たのはギルベルトがこれまで殊更に無視していた、この場にいるもう一人の存在だった。
ギルベルトはギギギっというきしんだ音を立ててゆっくりとそちらを見た。
そこにいたのは…ギルベルトの友人であるアントーニョの可愛い妹分であり、そしてルートヴィヒの親友の姉。
普通ならまっさきに疑ってしかるべきだとおもうが、しかしなぜかギルベルトは全く疑っていなかった…もしくは信じたくないあまりに無意識的に候補から外していた女性…、ロヴィーナ=ヴァルガスが不機嫌そうな顔で座っていた。
ギルベルトは彼女を視界に入れたあと、また血の気を下げて「嘘だろ…」とつぶやくと元の席にストンと腰を落とした。
そしてそのまま頭を抱えるとうんうん唸りだした。

 *

「別にあいつが父親になるわけでもないのにばっかじゃないの」

そんなギルベルトを見て、お腹に3ヵ月の赤ん坊がいるらしいロヴィーナは辛辣に言った。
これまでギルベルトに二人の仲を隠し通してきたのは、主に彼女の要望が大きかったからなのだが、ここにきてようやく腹をくくった…というよりは、完全に開き直ったらしい。
彼女は軽蔑するような目でギルベルトを見て、ふんっと鼻を鳴らす。
「そういうな…兄さんは俺が誰と付き合っているかすらしなかったんだ」
「だからってここまでショック受けるってちょっと異常よ。ほんっとブラコンなんだから」
「そう言わないでくれ。うちは両親が早くに他界しているから、彼は俺の親代わりにもなってくれたんだ」
「そうかもしれないけど…」
「それになんだかんだ言っても認めてくれるさ」
彼は弟にはとことん甘い。
それにもう子どもだってできてしまったのだ、認めるしかないだろう。
「でも、あいつ“おろせ”とか言い出しそうだけど…」
「さすがにそれはないだろう…。それに仮に言い出してもそれは俺が許さない」
力強く言い切ったルートヴィヒに、ロヴィーナの頬がほのかに桃色に染まった時…ふらり…とギルベルトが立ち上がった。
顔面蒼白、ほとんど死人のような有様のギルベルトに二人はぎょっとする。
「に、兄さん?何処へ行くんだ?」
ルートヴィヒが声を掛けると、幽鬼のような彼は「親父とお袋の所に…」とぼそりという。
「墓参りでもいくのか?」
困惑するルートヴィヒ。
そんな弟を見、そしてロヴィーナを見たギルベルトは「チクショウ…」と小さく言うと…
「お前なんかにルートヴィヒはもったいなすぎるんだよ!この百貫デブ!!!」
と…訳のわからない悪口を言って、わーっと逃げていった。
もちろん…ロヴィーナは百貫デブなんかではないし…、ルートヴィヒの方が、自分には彼女はもったいない相手だと思っている。
あまりにも幼稚な兄の罵声に唖然としたルートヴィヒは、しばらくしてハッと我に返るとまもなく妻になるロヴィーナを振り返って「大丈夫か?」と声をかけた。
ロヴィーナはギルベルトに捨て台詞を言われてかなり頭にきているようで、かなり怖い顔をしている。
ギルベルトはあれで単純なところがあるから、子供が生まれてしまえば案外子煩悩な叔父になりそうな気がするのだが…、まだまだロヴィーナのお腹の子が出てくるには時間がかかる。
それまでにやることが山積しているルートヴィヒとしては兄をかまってやる暇はないのだが…きっとそうはいかないのだろう。
ルートヴィヒは頭に鈍い痛みを感じながら、まずは彼女の機嫌を取ることにした。

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