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あなたと落ちる地獄なら

火村(庶民上がりの騎士)×にょアリス(貴族の一人娘)
だめだった 読み返さない

目の前にいる少女はアリス=アリスガワ。
アリスガワ家はまだ雪の残る春先に、当主とその奥方、そして双子の息子を亡くしており、彼女が唯一の生き残りになっている。
しかし生き残りであるアリスは女性で、しかも12歳。
現在のエイト帝国において、彼女には爵位を継ぐ権利がない。
よって、彼女は現在親戚や他の貴族からその領地を虎視眈々と狙われている。
今のところなんとか踏ん張っているようだが…アリスガワ家はすでに風前の灯だ。
そのアリス姫が…

 *

「なんとおっしゃったんでしょうか…?」

俺は彼女が言った言葉がわからず…いや、理解出来ず聞き返した。
すると、アリス姫。
紅いドレスを着た御年12歳になる少女は可憐に微笑み、

「やからな、君を婿に欲しいんや」

俺を婿に?
どうやら聞き間違いではなかったらしい。だが、それは…
「人違いではありませんか?」
「人違い?君は、ヒデオ=ヒムラ。***孤児院で育った孤児で、15で少年団へ入団。それからいくつかの戦いを経験し、いずれも目覚しい活躍とともに出世。現在は近衛兵団に所属しとる、中尉。貴族でもない孤児からの出世にしては前代未聞の出世のはやさを誇り、同僚たちの嫉妬を買ってやまない。現在の年齢は24…やないのか?」
「私…かもしれませんね」
すらすらと述べられた経歴に俺は舌打ちをしたくなった。
この場でごまかすことはできるだろうが、此処まで調べられていれば明日にはまたすぐ捕まってしまうだろう。
俺は仕方なくそれを認めてやることにした。
「やったら人違いやないわ」
「それで…なぜ、私を夫にと?」
「夫やない、婿や」
微妙なニュアンスの言葉を訂正され、俺は彼女の思惑を知った。
「なるほど…確かに俺は都合がいいようですね」
「せや。孤児で身寄りがなくて…中尉は少々格がおちるけど、私にはちょうどええ」
「俺にとっても、爵位と領土を貰えるのだからいいだろうと?」
少しムッとして言うと、彼女は扇子を広げ口もとを隠して俺をじっと見つめた。
「それだけ…で、納得してくれるんやったら」
「納得しなかったら?」
いつの間にか自分の言葉から敬語が抜けていることに気づいたが、少々腹が立っていたので無視をする。
俺は別にえらくなりたいわけじゃない。
爵位が欲しいわけじゃない。
領地が欲しいわけじゃない。
そもそも…もうしばらく此処で働いた後は、騎士などやめてしまおうと思っていたのだ。
「君はとても優秀や。けど、ちょっと扱いにくい」
「…でしょうね。姫には扱えませんよ」
「けど、君が一番の適役なんや」
「そうでしょうか。他にも適当な男が探せば出てくると思いますが」
「いや、君しかいてない。…いや、そんなことはええ。それより、君を頷かせるほうが先決や」
「俺が欲を出して家の財産を悉く食いつぶすとは思わないのか?」
「そんなことせぇへんのは事前の調べでわかっとる」
「それを信用するのか?」
「そうや、それで見込み違いならしゃぁない、私もアリスガワの娘や、腹くくるわ」
強い瞳は、本当に覚悟を決めたものの目だ。
「……だが、俺はいくら貴方がアリスガワの娘でも娶る気はない」
たとえ、彼女が妙齢の美女だったとしてもだ。
きっぱりと言ってやると、彼女は扇子をパンっと閉じ
「アリスガワ家の地下には面白いものがあるねん」
と、唐突に話を変えた。
いや…変わっていないのだろうか。
「それが…?」
「うちは曽祖父のそのまた曽祖父あたりが建てた古い屋敷や。その地下には、膨大な蔵書がある」
「蔵書…?」
ピクリと自分の表情が動いたのがわかった。
それは外面的にもよく現れていたのだろう、まだ12歳の少女は艶やかに笑った。
「そや、おそらく曽祖父かその前あたりが世界各国から集めてきたと思う蔵書や」
厚さにして10センチ以上もある大きな本が30冊あまり、他にも読めない本や、巻物。魔術書のようなものや、古地図、魔方陣のかかれたものや、意味ありげなメモがたくさんあるのだと言う。
それを聞いた俺の胸はドクドクと鼓動を早めた。
「それだけやないで、本のほかにも古いナイフのようなものや、壺のようなもの、甲冑に変わった色をした石…」
「それは…」
「君、ほんまは学者になりたかってんやろ?」
そこまで調べてたか。
俺は苦笑した。
「そうだ。もうすぐ騎士をやめて冒険者でもやりながら各地の遺跡を回るつもりだった」
「よかったわ」
「…ん?」
「最初は、君を引っ張るんは無理やと思うてたんや、けどギリギリで君が学問、特に考古学に興味があると調べがついてなぁ…」
それで婿候補のリストに戻ったらしい。
そして精査の結果、俺がふさわしいという結果に落ち着いたと彼女は言った。
それにしても…彼女はまだ12だというのにずいぶんと頭の回ることだ。
侍女あたりに優秀なブレーンがいるのかもしれないが…それでも、此処までの交渉は彼女一人でやってのけたのだ。
なかなかに面白い少女、いや、女性であるのは間違いない。
「受けてくれるか?」
首を傾げる彼女に、俺は立ち上がり、彼女の傍に跪いた。
「yes,my lord」

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