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擬似恋愛

独と白 題名通り…と、言いたいところだが恋愛要素皆無
ドレスは2010年のアカデミーの正装を参考にさせてもらってます^^;
全然言葉で表現できてないけど

ドイツからベルギーのもとにパーティでのパートナーを頼めないかと話がやってきたのは、そのパーティが前日に迫った日の事だった。
ドイツがかなり焦っていることから断らずに受け入れたものの…

「あーーーもぅどないしよー」

ベルギーは、ドレスの選定に困り果てていた。
「これはこないだ着たやつやし、これは夜用にはちょっとあかんし、こっちは今回のパーティの趣旨とはちょっとちゃうし…」
ベルギーはドレッサーからパーティ用のドレスを何着も取り出してはベッドに放り投げ、あれでもないこれでもないと頭を悩ませる。
パーティは男性よりも女性のほうが準備が大変で、ドレスに悩むのはいつものことではあるのだが、今回は特にフランスがパーティ会場というのがネックだ。
あの国は昔からファッションにうるさい。
多少おかしな格好をしていたとしても、別に白い目で見られることはないだろうが、それでも“国”として、そしてドイツのパートナーとしてそれなりに見られる格好をしていなくてはならない。
「あ、これはどやろ!」
ベルギーは一着を取り出してパッと顔を輝かせたが、
「あかんわ」
すぐに表情が曇る。
「確か元公爵家のなんたらいうのも来るっていうてたからなぁ…これはちょっとあかんなぁ…」
あぁだこうだと考えても一向に決まらない。
時計を見るとドレスを選び始めて2時間も経っており、窓の外はとっぷりと夜に染まっている。
ベルギーはため息をつき、今開いているドレッサーとは別のドレッサーを見た。
長い時を生きてきた彼女は衣装持ちで、ここにある他にも沢山のドレスを持っている。
だがそれらはすでに時代遅れとなったものばかり。
「あかん」
今日何度目になるかわからない“否定”の言葉を口にし、彼女はドレスがたくさんちらばったベッドに身を投げた。
そして年代物の照明のついた天井をじっと見上げると「そや!」と言ってにんまりと微笑んだ。

 *

ベルギーから電話をもらったドイツは最初しぶった。
だが「ドイツのためやん!」と言われると断り切れなかった。

ドイツがため息をついて受話器を置くと、
「大変だゼェ」
話を横から聞いていたらしいプロイセンがにやにやとしながら言った。
「女の買い物ってのは長いからな~、あっちこっち引っ張りまわされるぜ」
「経験があるのか?」
ドイツの疑問はごく素直な気持ちから出たものだったのだが、その言葉はプロイセンの急所をついたらしい。
プロイセンは「う」っと呻くと、胸に手を当てた。
「?兄さん?」
「と、とにかく、明日は現金だけじゃなくてカード忘れんなよ!」
ビシっと弟を指さし言った兄は、致命傷によろよろとしながら部屋に戻っていった。
「いつもは日付が変わるあたりまで呑んだくれているくせに」
珍しいこともあるものだ。
ドイツは首を傾げ、兄の飲みかけのビールをとって口に運んだ。

 *

翌日、ドイツとベルギーは洒落たストリートにあるブティックをいくつも回っていた。
買い物を初めてまだ1時間だが、すでにドイツは兄の言った言葉が正しかったことを認めるしかなかった。
イタリアにもよく買い物に付き合わされるがその比ではない。
まず…イタリアは同性であるから、彼が買い物をしている間もドイツはドイツでいろいろと買い物を楽しめるのだが、ベルギーの場合はそれができない。
最初は彼女と一緒にドレスを選んでいたのだが、そのうち彼女が自分が何を言おうがほとんど参考にしていないことに気づいて、店内に用意されているソファに座り待つしかできなくなった。
彼女は女性店員とあれやこれやと話し、試着してはまた次のドレスに着替える。
そしてようやく一着に絞るのか…とおもいきや、他の店も見たいから…といって店を出ると別の店にはいる。。
以下ループである。
自分は必要なのだろうか…?
ドイツは自分の存在に疑問を持った。
ちなみにこれは長く生きてきた人生…国生の中で初めて持った疑問だ。
彼は高級なソファに座り己の手を意味もなくじっと見つめた。

「んー…いまいちやんなぁ」

ベルギーの声にハッと顔を上げたドイツは、いつのまにか店を出ていた事に気づいた。
「お昼、どないする?」
聞かれて、ドイツは時計を確認すると、時刻は一時を過ぎていた。
パーティは七時からだから…
「まだかかりそうなのか?」
「いくつか候補は絞り込んでるんやけどな。ドイツのも選らばなあかんやろ?」
「俺のもか?」
驚いてドイツはベルギーを見た。
「俺はいい。フォーマルなら持っているからな」
「って、いつものあの面白味のないやつやろ?」
「正装に面白味はいらんだろう」
少しむっとするドイツの背中を「あかんで」とベルギーは軽く叩いた。
「そんなん言うとるからフランスにばかにされんねん。まぁ、おねぇちゃんに任しとき、ドイツの男前を二割はあげたるわ」
彼女の言葉にドイツはいつの日かフランスに言われた台詞を思いだした。
“まぁた~、ドイツってばほんと堅い服ばっかだよねー、もう少しお兄さんを見習ってエレガントにならないとねぇ”
そういってどこからか取り出したバラの花の香りを嗅ぐフランス。
思い出して少しむっとするが…ドイツは洒落もののフランスにはちょっとしたコンプレックスがある。
彼には逆立ちしたってフランスのように小粋に服を選ぶことも着こなすことも出来ないのだ。何度かファッション誌をめくった事もそれもあるがことごとく玉砕している。
近頃は“俺にはフランスのようには出来ないんだ”と諦めていた。
だが…「大丈夫やで!まかしとき!」と胸を叩くベルギーに、ドイツは彼女に賭けてみようかな…という気になっていた。

 ※

ホテル前につけたのはメルセデスのSクラス。
明るいエントランスの光を浴びて宝石のように輝く黒いボディ。
まずは運転席が開き、ドイツが降りてくる。
エントランスで出迎えをしていたフランスは、そのドイツの姿を見て驚いたように目を見開いた。
それというのも…ドイツの正装が、いつもの可もなく不可もなくなつまらぬスーツではなかったからだ。
見た目はごく一般的なタキシード。
だが、さり気なく前を開いた上着、その下に見えるジレ、そしてそのジレのボタンに付けられた懐中時計の銀色のチェーン、いつもより全体的にタイトに仕立てられているような気がする。髪型もいつもよりわずかに柔らかく整えられている。
そのドイツがさっと助手席に回って扉を開き、中から現れたのは…
「ベルギーか…」
てっきりパートナーはハンガリーあたりに頼むんだと思っていたが…都合がつかなかったのだろうか…。
「それにしても…」
今日のベルギーは、彼女にしては珍しく淡いピンク色の清楚なドレスを着ている。
もちろん肩は大きく出ているし、胸元も強調されている。
だが、ピンクの色ももちろんだが、そのシルエットはあくまで清楚だ。
幾重にも入ったひだが入ったドレス、そのドレスはももの辺りで2つに割れている。だからといって美しい足を強調しているのではなく、その間からはレースが顔をのぞかせ、足は足首から下がかろうじて顔を見せている程度。
「こりゃまいったね」
フランスは額に手を当てて苦笑した。
彼自身は国の有名モデルをパートナーとしてつれてきていたのだが…目の前の二人と比べると、勝敗は明らかだった。
「こりゃベストカップル賞はあいつらに持ってかれちまったかなぁ~?」
悔しそうな…しかし、とても愉快そうに言ったフランスは、近くにいた招待客に軽く頭を下げ、弾むような足取りで二人の方へに向かう。
フランスに気づいて少し緊張した面持ちのドイツ、そしていたずらっぽい表情を浮かべるベルギー。
フランスは彼らの前で足を止めると、まるで王様と王妃様に対するかのように胸に手をあて優雅に一礼してみせた。

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