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アイオーン

アルム様が好きすぎて生きるのが辛くなったので書く!
アルムが26、セルヴィアが16くらい。
昔の人って、結構ませてたりするからね!セルヴィア、がんがんいこうぜ!
ちなみにクリスは6しゃい。 おませさん!

離宮の一つ、竜眼のアルムが暮らす宮はただでさえ人が少ない。その中でも宮の裏にある薔薇園には、ごく一部の庭師が時折入る他はアルム以外立ち入ることはなく、王宮に暮らす者でも存在すら知らぬと者も多い。

セルヴィアが頻繁にアルムの宮を訪れている事を知るものは少ない。
そもそもアルムの宮に人が少ないと言うこともあるが、訪ねるセルヴィアの方も人目を避けているということもある。
彼は王宮に勤める一般的な魔術師のような格好をしてアルムの宮に入ると、慣れた足取りで静まり返った宮をつっきり裏庭の方へと向かった。
そしていよいよ裏庭に出るとなると速度を落とし、足音を殺した。
薔薇園というからには薔薇がたくさん植えられている。だが、そこに花は一つとしてない。
濃い緑とイバラ、そして小さな噴水。華やかさに欠けるというより、むしろ陰気な庭。暗い色の石で作られた東屋にアルムの姿はあった。
ここに人が近寄らぬ事を知っている彼は、いつも目深く被っているフードを外し顔をさらしている。
あまり健康的には見えない褐色の肌、短い銀の髪、兄シフェルに似た…しかしシフェルよりも鋭い…相貌、そして他の誰も持ちえない…黄金に輝く魔力を帯びた竜の双眼。
魔術師の姿でフードをしっかりと被っている時はわからないが、フードを取り去ると彼が全体的に細い事がわかる。
セルヴィアが足を止め、しばらくの間、静かにアルムを観察していると彼の横顔がにわかに曇った。
セルヴィアはそれを見て微かな笑みを見せると、ゆっくりと薔薇園に一歩踏み出した。

「ご機嫌いかがですか、アルム様」
「野良犬か、呼んではいないぞ」
「はい。ですが、そろそろ呼ばれる頃かと思いまして」
「俺が一度でも貴様を呼びつけた事があったか?」
「えぇっと…ありませんね」
「だったらこれからもない。ささっと立ち去れ」
「今日は随分と饒舌ですね、アルム様。やはり機嫌がよろしいようだ」
どれだけ手酷い扱いをしようが、セルヴィアはまったく堪えたような顔をしない。
苦々しくアルムが一層渋い顔をつくると、セルヴィアはとても嬉しそうに笑った。
「貴様、俺に嫌がらせをするために此処にきているのか?」
「まさか、そんなわけありませんよ。俺だってそんなに暇じゃありません」
「どうだか」
実際には100%嫌がらせだろうとアルムは思っている。でなくては、彼が此処に頻繁に…週に三日、酷いときは一週間続けて…やってくる理由がない。
王宮の者の中にはアルムがセルヴィアをいじめていると思っている人間も少なからずいるが、実は逆なのだとアルムは思っている。
確かに何処の馬の骨とも知らぬセルヴィアをアルムが嫌っている事は確かだが、わざわざ近づいていって嫌がらせをするほど暇ではない。
ということは…つまり、セルヴィアはよほど暇なのだろう。
「そんなに暇ならクリスのところにいけばいいだろう」
「おや、ヤキモチですか?」
「誰がっ!」
怒鳴りかけて、彼の挑発にやすやすと乗ってしまったことをアルムは恥じそっぽを向いた。
アルム自身気づいてはいるが、どうもセルヴィアには調子を崩される事が多い。
10も離れた男に…と悔しくなるが、それがまたすでに本来の自分とはかけ離れていて歯がゆい。
「“あれ”がお前のことをどう思っているかくらい気づいているだろう」
四六時中、セルヴィア様セルヴィア様と追い掛け回している事は、ほとんど人前に出ることのないアルムですら知っている。
それを言うと、「まぁ…知ってはいますけれど」とセルヴィアは少しトーンを落とした。
「確かにクリスは可愛いですし…いい子だとは思いますが、どうこうなろうなんて思ってやいませんよ」
「フン」
当たり前だ。そう思いつつ、別に恋愛相談を受け付けたいわけでもないアルムは手元の本に目を落とした。
それからしばらく静かな時間が流れる。
セルヴィアはそっとまたアルムの姿を伺い見る。
誰もが恐れる竜眼。それには確かに魔力が宿っており、それを直に見たものは原始的な恐怖に襲われる。
セルヴィアもまた彼の視線を正面から受ける時には、得も知れぬ恐怖が腹の底から浮かび上がる。
だがこうやってアルムの視線が他に注がれているのを盗み見るのは好きだった。
時折その対象に嫉妬してしまうこともあったが…。

「なんださっきからジロジロと…」

やがて視線に耐えかねたのかアルムがそう口にすると、セルヴィアはハッとしたように目を見開き、少しだけ照れたように頭を掻いた。
「あぁ、いえ、すみません」
「用が終わったならさっさとどこかへいけ。お前がいると集中できん」
戸惑ったようなセルヴィアの受け答えに首をかしげつつ、アルムは冷たく言い放つ。
するとそれで調子を取り戻したのか、「あ、それって意識してくれているってことですよね?」などとおかしなことを言い出した。
いや、おかしなことをいうのはいつものことか。
ため息をつくと、セルヴィアはくつくつと笑い「俺…」と口を開いた。
「アルム様の事が好きですよ」
「そうか」
これもまたいつもの軽口。
聞き流して本に目を戻すアルム。それを見てセルヴィアは口を尖らせた。
「これって結構真剣な話ですよ」
「そうか。だが、残念だったな。その思いは叶いそうにないぞ。さっさと次を探したほうがいいだろうな」
「俺の事、嫌いですか?」
「嫌いだ」
キッパリと即答するアルム。
まさか好かれているとでも思っていたのだろうか…と視線を上げると、傷ついたようなセルヴィアの視線とぶつかってアルムは密かに動揺した。
「なんだ」
その動揺を悟られぬように眉間に皺を寄せると、セルヴィアはいつもの偽物臭い笑みを復活させ「そうですか…」とつぶやいた。
「でも愛と憎しみは紙一重っていいますし。望みはゼロじゃないですよね」
そしてまたいつものわけのわからぬ話。
アルムはまた自分が調子を崩されていたことに気づき、「望みはゼロだ」と突っぱねた。
「大体くだらぬ問答なら俺相手じゃなくて他を当たれ」
「何言ってるんですか。アルム様だからこそ言ってるんじゃないですか」
「クリスあたりにしてやれば大層喜ぶだろう」
「しませんよ!まさかッ!他の相手に愛を囁くなんてッ!貴方だからわざわざ足を運んでいるっていうのに」
愛?
「おい、気持ちの悪いことをいうな」
それではお前が此処に来るのは、俺を口説きに来ているといっているようなものじゃないか。
ギロリと睨む。
その視線を真正面に受けてセルヴィアは内心恐怖にすくみあがった。
原初の恐怖というものは、理性で乗り越えるとかそういうレベルではない。
だがアルムの元に通いつめるようになって、少しずつ自分を繕うことを覚えた彼は表面上は全く平気な顔をして「そう言ってますけど」と言ってのけた。
「戯言を」
「戯言を言いにわざわざ此処にはきませんよ」
俺はそこまで暇じゃない。
彼はつい先程アルムが思っていたような事をつぶやいた。
「…正気か」
「はい。でもまぁすぐに信じてくれるとは思いませんから、ゆっくり行くつもりです」
けろりと言うセルヴィアに、アルムは彼が本気なのかからかっているだけなのかわからなくなった。
それで結局無視して本を読む作業に戻ることにした。
アルムはまたセルヴィアの視線を強く感じたが、今度はもう絶対に無視をしてやろうと心に決め、熱心に文字に目を走らせる。
するとしばらくして「では、そろそろ行きます」とセルヴィアが席を立った。
「今度はお菓子でも持ってきますね」
その言葉も無視されて、セルヴィアは肩をすくめた。
“楽しみにしている” なんて言葉を期待していたわけではない。それに無視されるのにももう慣れている。
しかし…全く傷つかないといえば嘘になる。
そっとため息を着き、肩を落としてさろうとした瞬間、「二度と来るな。野良犬が」アルムが思いがけず口を利いた。
それはどこをどうとっても嫌味でしか無かったが、セルヴィアにはその言葉が嬉しくてたまらなかった。
彼は宮に戻ろうとしていた体を戻し、アルムの方を見て「絶対に来ますから!」とにっこりと笑った。
そんなセルヴィアに、アルムが深い溜息をついたのは…いうまでもない。

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