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紅を引いた指

先生な土方と生徒な斎藤
斎土のつもりだけど、別に逆でもいいかも。
珍しく、タイトルにあってると思う。 読み返さないけど

「ねぇ、今日さ、私ゆみの家に泊まることにしてくんない?」
「えぇ?もしかして彼氏とお泊まり?」
「えっへぇ~。ね、お願い~」
「まぁいいけどさぁ、その代わり私の時はお願いね?」

話していた二人は、俺の姿に気づくと小さく悲鳴を上げ逃げていった。
けっ、色気付きやがって。
俺は舌打ちを一つして、もう俺の部屋と言っても過言じゃない社会科の資材室に入った。
部屋の中は雑多なもので溢れかえっている。
それを避けながら奥に入ると少し広いスペースがあり、そこにはかなりくたびれた応接セットと、窓際に仕事机が置かれている。
俺は窓を開けていつまでたっても埃っぽい部屋に新しい空気を入れてやり、それからタバコに火をつけた。
窓からは校庭が見下ろせる。
放課後の今は、野球部と陸上部が練習中。
うぇーい だか うぃー だかよくわからない掛け声と共に、時々カキンという金属音がしている。
肺に煙を入れると自然と気持ちが落ち着くものだ。
だが今日はどうにもイライラが収まらない。
きっと先ほど聞いた女生徒たちの会話のせいだ。
別にあの女達がどんな野郎と寝ようが一向に構わない。
未成年がどうだ、避妊がどうだいうつもりもない。
俺だって高校の頃はセックスの事で頭がいっぱいで、おんな泣かせを随分とやった。
だから別にそりゃ構わない。
ガキ同士、好きなだけ乳くりあってりゃいいさ。
ただ…

「くそっ!」

腹が立つ。
腹が煮えくり返るようだ。
我が事を振り返ると、怒りで頭がどうにかなっちまいそうだった。

俺には好きな男がいる。
女じゃない。男だ。まぁそりゃぁいい。
名前は齋藤一。
この学校の二年、俺が担任を勤めるクラスの生徒だ。
もっと言えば、一年の時も担当した。
入学したときは、小柄でほっそりとして…本当に女の子かと見まごうような“美少女”だった。
それが二年もたたずに身長をにょきにょきと伸ばし、それなりに肉をつけた。
無表情だったが可愛かった顔は、無表情はそのままに男らしくなった。
まぁ女に好かれる顔だとは言わないが、思わず見惚れる程の俺好み。
向こうも俺を憎からず…いや、好いてくれている。
俺にしか見せない笑みでそれとわかるが、言葉で表してくれたこともある。
用もないのに俺のいるこの部屋にはしょっちゅうやってくるし、唇を掠め取られたことだって幾度か。
俺は教師で、あいつは生徒。
だからその度に怒ってそんな気はないと言ってはいるが、なんだかんだいって此処に入り浸ることを俺が許しているのはあいつだけだし、流し目をくれてやるのもあいつだけ。
俺の拒否が言葉だけのものだなんて斎藤だってわかっているはず。
事実、何故、と理不尽な要求を主人にされた犬のような顔を見せる。
だが、わかっているはずだ。
暗黙の了解というやつ。
俺は教師だ。頭に不良とついても、教師である。
生徒には手は出さない。いや、出せない。
だから斎藤が卒業してしまうまでは、子供だましの追いかけっこが続く。

「くっそ…」

そのはずだったのに。
あのガキどもめ。
俺の心を揺らしやがった。

そうだよ、あいつだってやりたい盛りのガキだったんだ。
今でこそ俺にしか興味がないようだが、それが卒業まで続くか?
例えば、友人たちが経験をして彼に素晴らしい経験だったと嘯いたらどうだ?
あいつだって羨ましいと思うんじゃないか?
それとも、例えばカワイイ女の子。胸のでかい女が迫ってきたら?
やりたい盛りの男が逆らえるか?
否、俺がその歳の頃は逆らえた試しが無かった。

「くそ」

口汚く罵り、足を踏み鳴らし、唇をギリと噛み締めた。
と、その時、背後で扉が開いた音がした。
ゆっくりと近づく男の足音を聞き分け、俺はシャッと音を立てさせてカーテンを閉める。
そうして振り返れば、予想通りの男が立っていた。
愛しくて、小憎らしい男が。
目が合うと、斎藤は驚いたような顔をした。
それにすら何となくむかついて睨みつけていると、
「土方先生…?唇から血が…」
彼は近づいてきて指で俺の唇を撫でた。
その途端ぬるりとしたものに、先程唇を噛んだ時にどうやら切ってしまったのだと気づいた。
指が触れている内に、ぺろりとそれごと舐め上げると、斎藤の目が大きく見開き、すぐに情欲のこもったそれに変わる。
それは間違いなく俺に向けられているもの。
しかし、いつもは満足感を覚えるそれが、今は気に触って仕方がない。
くそ。
口の中でつぶやき、斎藤を睨みつける。
すると斎藤は自分が怒らせたと思ったのか気まずげに手を引こうとする。
あぁ、チクショウ。
何もかもが気に食わない。
俺は血のついたそれを引き止め、口に運ぶとその指にガブリと噛み付いた。

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