スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

落下地点に、きみ

火村→←←←←←←←←←←アリス
オチが行方不明

夕方遅く、教師に合いに行くために廊下を歩いていた俺は、廊下に這いつくばって何やら作業をしているアリスを見かけた。
あいつの行動は前からおかしいが、今度は何をやっているのだろう。
四つん這いになって、一生懸命手を動かしている。
落書きをしている…?にしては、何も廊下には書かれていないし…。
結局わからず「何をしているんだ?」と聞けば、彼は「蝋を塗っているんや」と答えた。
あぁ、なるほど。たしかに。
彼が手を動かしたあとは、廊下がテカテカと光っていた。
「ほら、あれや。障子の滑りを良くするために蝋を塗ったりするやろ。それと一緒や」
「ここに障子はないと思うが?」
なにせ廊下の真ん中だ。そんなものがあるわけがない。
するとアリスは「あたりまえや」と答えた。
「これは障子の滑りを良くするためやなくて、人を転ばすためのもんやからや」
そう自慢気に言ってアリスはせっせと蝋燭を廊下に擦りつける。
なるほど、彼はまた恋のライバルと決めつけている不特定多数の女性への嫌がらせをやっているのか。
いい加減アホらしいからやめればいいのに…。やめないんだろうな。
本当に気の毒な頭だな。
親御さんも可哀想に。
そう思いながらせっせと作業するアリスを見つめ、「そこは俺も通るんだが」と抗議すると、彼は初めて顔を上げた。
そしてそこに立っているのが俺だと気づくと、目を大きく見開いた。
「あ、火村やないか!」
「あぁそうだ。お前な、俺も通る…」
「なんやどうしたん?もしかして俺に会いに来てくれたん?」
アリスは俺のことが好きらしいが、俺の話を聞くことは殆ど無い。
今日もまた然りだ。
「うっれしぃわ!俺にわざわざ会いに来てくれるなんて、愛やな?愛やよな!やばい、めっちゃうれしいわ!どないしよ!」
パッとほほに両手を当ててクネクネと動くアリス。
その姿はなんというか…ものすごく気持ち悪い。
思わず眉間に皺がよるが、彼はそんなことには一切気づいていないのだろう。
運命だ。愛だ。赤い糸だ。キューピットが云々…とわけのわからないことを目をキラキラとさせながらいう。
俺にはもう理解できなくて、ふと手元のレポート用紙に目をやった。
教授に意見を聞きたいところがあったのだが…その気力がアリスに吸い取られて、もう早く家に帰りたくなっていた。
もう今日はいいか…。
別にどうしても今日でなければいけないということでもないし。
くるりと180度回転すると、「火村!」と名前を呼ばれた。
だが、無視だ無視っと歩き出したその時、

「ぎゃっ!」

尋常ではない悲鳴をアリスが上げた。
それにはさしもの俺も驚き振り返ると…アリスが目の前に迫っていた。
大方…自分の罠に自分ではまったのだろう…そう思う間もなく、俺はアリスの頭突きを顔面で受け止めた。

「……てんめぇ………」

尻餅をついた俺は両手で顔を抑え、ぼたぼたと鼻から落ちる紅い雫に俺は痛みよりも怒りの方が先に湧いてきた。
「なにし「ぎゃーーーっ!!」」
言葉を遮られて、アリスを見ると顔を真っ赤にして俺のマネをするかのように両手で口元を覆っている。
なんだ?ダメージを受けたのは俺の方だぜ?
怪訝に見ていると、
「ひ、ひむら。お、俺…あ。あ…ひゃーーーーっ!!!!」
アリスは突然何を思ったか、俺にドンッとあたって何処かへ逃げていった。
………。
鼻からほとばしる赤き生命の雫。
真っ赤に染まった白いシャツ。
一体この怒りをどこに持って行けと…?

「アリスーーーーー!!!!!戻って来い!こらーーーーー!!!!!」

俺は“情熱的”にアリスを呼んだ。
なのに、いつもなら呼びもしないのにやってくるアリスは、この時は戻って来なかった。

許すまじ…。

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。