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近くて遠かった彼ら

学生 本田が腐男子
読み返してない…駄文

「なにやってんだ?あいつら」

弟が作ったのだと言う弁当を食べながら言うギルベルト。
その隣で女の子にもらった可愛らしいお弁当の包みを開いていたフランシスは、ギルベルトの視線を追い、その先に本田とアントーニョを見つけると「あー…」とだれた返事をした。
「関わんないほうがいいよ、ギルちゃん」
「それはなんとなく雰囲気でわかるけどよー」
「ほらほら、そんな見ないの、感染しちゃうよ」
一個あげるから。
そう言って差し出された唐揚げ。
ギルベルトは肩を一つすくめて、唐揚げにかぶりついた。

 *

「へー、そうなん」

アントーニョは先程から何度も何度も「へー、そうなん」を繰り返していた。
目の前に座った本田は、先程から唾を飛ばす勢いでのべつまくなしにしゃべっている。
その内容は…少し置いておくとして、アントーニョが本田の熱弁を聞く理由から話しておくことにする。

まずは事だ。
事は先月、まだ夏が色濃く残る10月の半ばに遡る。
アントーニョは姿の見えない弟分の姿を探して校内をうろついていた。…いや、実は弟分を探して…というのは、半ば取って付けた言い訳でしかなく彼はぶらぶらと校内をさ迷い歩いていただけだ。
何かないかな。
そんな風に思いながら歩いていたアントーニョは、特別教室の入った別館で本田を見つけた。
アントーニョの友人であるギルベルトの弟ルートヴィヒの友人。
アントーニョ自身との繋がりは薄いが、生来人懐こい性格のアントーニョは近づくことを戸惑わなかった。
彼は窓の外を熱心に見ている本田の後ろから近づき、声をかける前に…と本田の視線の先を見た。
すると中庭…彼らは二階にいたので見下ろす位置になり…に、生徒会長であるアーサーと、その従兄弟である一年のアルフレッドがいるのが見えた。
彼らは仲が悪いことで有名だ。
殴りあいの喧嘩…はやらないが、大声で口論し罵り合っている姿はもはやこの学校の名物でもあり、彼らは今もまた激しい口論をしていた。
特にいつもと変わったところはなく、いつもと変わらぬように見えた。
なのに本田は真剣に、熱を込めて…そしてうっとりと彼らを見つめている。
これはどうしたことだろうかと思っている時…
「…なおになればいいのに」
ぽつりと本田が何か呟いた。
「でも、いえ、やはり二人は私の心のオアシスですね。喧嘩ップルぱねぇです。あぁやって言い争いながらも、心の中ではなぜ自分は素直になれないのだろうと心を痛めているのですね。あぁそれにしても、アーサーさんのツンデレまじプマイです!それに年下攻め!あぁ、こんな人気のない場所だというのに!もうこのまま押し倒してしまえばいいのに!」
アントーニョには本田の言葉が半分も…実際は一割も…わからなかった。
だが、アントーニョはあまり気にしなかった。
彼の心にはいつだってアンダルシアの太陽が輝いているのだ。…特に意味はないが。
それで彼は相槌を打つことにした。
「ほんまやなぁ」
“ほんまやなぁ”
アントーニョにとっては特に強いメッセージを込めた言葉ではなかった。
だがその効果は電撃よりも激しかった。
本田は雷に打たれたようにビシリと固まり、それから恐る恐るというようにアントーニョを振り返った。
「あの…聞いておられたのですか?」
「おん」
「あの…あの…もしかして…アントーニョさんも…もしかして腐男子だったり…?」
本田の期待と不安を込めた瞳に、アントーニョは是非応えたくなった。
いや、応えなければと思った。
だから
「そうやで」
アントーニョは答えた。
その途端、桜が満開になったかのような笑みを本田は見せ…

そして次第だ。
彼はこれまでの鬱憤(?)を晴らすかのように、とにかくしゃべりまくった。
アントーニョは全く理解できていないが、本田がとにかく欲求不満だったのだということは分かった。
まずショタ萌えがどうの、次が制服萌え、リーマン萌え、不良萌え、王道萌え、ロリ萌え、幼なじみ萌え、親友同士萌え、ライバル萌え…
「へー、そうなん」「そらすごいなー」「そうやなー」「ほんまやわー」と、相槌を打つ彼は本田にとって、なかなかに話がいがある相手だった。
途中でアントーニョが実は全く話を理解していないと気づいたが、それでも本田がアントーニョを離さなかったのは、おそらくそれほどまでに話相手に飢えていたからなのだろう。
とにかくアントーニョは別に困っているわけでも厭うているわけでもなさそうなので、本田はしゃべりまくった。

メガネ萌え、長身受け萌え、ツンデレ萌え、クーデレ萌え、スク水萌え、ニーハイ萌え、デカゴツ萌え、擬人化萌え、ネコミミ萌え、にょた萌え…

「へー、そうなん」

にこにこと微笑んで話を聞いてくれるアントーニョは…とても聞き上手だといえよう。
例え、話の内容を全く理解しておらず、頭の中では弟分であるロヴィーノが幼かった頃の事を考えていたとしても…だ。

草食系萌え、肉食系萌え、俺様萌え、平凡萌え、王子様萌え、鬼畜萌え、わんこ属性萌え、下僕萌え、下克上萌え、主従萌え、ノンケ受け萌え、ホスト萌え…

「へー、そうなん」

本田はまだまだしゃべり足りなかった。
まだまだ世界に萌えは溢れかえっているのだ。

 *

「あ、やべッ、本田と目があった!」
「うわっ、なんかギラッと目が光った!逃げようぜ、ギルちゃん」
「お、おう」
なんとなく本田のおかしな趣味に気づいているフランシスはもとより、こちらを振り返ってニヤリとした本田の視線には、ギルベルトも野生の勘でヤバイと感じ逃げ出した。

 *

「あの二人も結構いいと思うんですよね」
逃げ出した二人を見てうっとりと言う本田。
アントーニョは朗らかな顔をして「へー、そうなん」と相槌を打った。

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