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010. 休みの日は十二時間睡眠

微妙にBL って頭に入れておいてもらうとオチがわかりやすい。
読み返さない。

ある日、俺は夢を見た。

夢の中で俺は砂漠の国の王様だった。
見渡すかぎりの砂漠。
その砂漠に突如現れるオアシス。
そして白亜の城。
俺はその城の中で、たくさんの布を重ね着するような豪奢な服を着て、クッションに腰を下ろしていた。
周りにはベリーダンスをするような格好をした美女が何人もいる。
彼女たちは一様にエキゾチックな顔立ちをしていて、鼻から口にかけてを薄いベールで覆っている。
彼女たちは俺に孔雀の羽で作った団扇で風を送り、またぶどうの皮をむいて口に運んでくれる。
俺は女たちを侍らせたまま、書類を持った男の言葉を聞き鷹揚に頷く。
そんなことをやっていると、やがて若い男が慌てたようにその部屋に飛び込んできた。
礼儀のなっていない男に俺は不快を覚えたが…しかし、彼の持ってきた報によって、それは驚愕に変わり、歓喜に変わる。
長年手に入れたいと望んでいた森の国の王女がとうとう俺の元に来るというのだ。
ずっとずっと欲しかったあの女が…。
そのために好きでもない女を抱いた。大嫌いな男におべっかを使った。無邪気な子供を騙して汚い親父に売った。罪もない男を処刑した。
そして父である王を殺し、異母兄弟を殺し、王になった友好国であった森の国を襲った。
いや森の国だけではない。本の国も、湖の国も、ガラスの国も滅ぼし飲み込んできた。
全て、全て、ただひとり、あの女のためだった。
俺の体は歓喜に震えた。
俺は思わず立ち上がると、持っていたグラスを落とした。
薄いガラスで出来たそれは、ちょうど絨毯の切れ間に落ち、かたい音を立てて砕けた。
その音はそれほど大きくはなかったように思うが、室内に緊張が走った。
それを無視して知らせを持ってきた男に詰め寄ろうとした俺だが、あと一歩の所で踏みとどまり女たちを下がらせた。

そして場面は変わる。

おそらく“彼女”が手に入るだろうと聞いてから数日後。
俺は部屋の中をウロウロと…まるでオリに入れられたクマがするように歩き回っていた。
部屋の中には俺意外に誰もいない。
あの時の女達にも、あれ以来通っていない。
“彼女”が届いたならば、暇をやるつもりだ。
そして俺は待っている。
まだかまだかと“彼女”を待っている。
予定ではそろそろ来る頃だというのに未だに知らせが届かない。
まだか、まだか…。
イライラとしながらどれほど待っただろう。
ふいに外でざわめきが起こった。
俺はハッとして足を止め、入り口の扉を睨みつけた。
最初はささやかだったざわめきは、やがて少しずつ大きくなり、部屋の前で止まった。
ついにきたか…。
俺は思わずゴクリと喉を鳴らして唾を飲み下した。

「森の王女、“***”様をお連れしました!」

張り上げられる従者の声。
それとともにゆっくりと両側に開かれる扉。
そして現れたのは一人のうら若い女だった。
銀色に輝くドレスを着た女は、“花嫁”の風習として黒い木彫りの仮面をつけている。
だが顔を見ずとも俺には分かった。
“彼女”だ。
俺が待ち望んだ、彼女だ。
心が、指先が、体が震える。
「***…」
思わず名を呟いた。
それはあまりにも小さく誰にも届かなかったが、彼女は俺の言葉をきっかけにしたようなタイミングで足を踏み出した。
彼女がゆっくりと近づいてくる。
そのたびにドレスが緩やかに揺れ、彼女が触れた空気が清められている気がする。
俺は感動にめまいすら起こしそうだった。
彼女は俺の数歩前で立ち止まると、優雅な動作でゆっくりと膝をついた。
「森の国の王女、***と申します。この度は砂の国の王、***様の妻にしてもらいたくうかがいました」
どこまでも澄んだ美しい声。
声が震えることを恐れた俺は返事はせずに彼女に近づき、両手を仮面へと伸ばした。
そして…

 *

「カーイン、いつまで寝てるのさ」

パチリと目を開くと、逆さになったセシルがこちらを覗き込んでいた。
「もう11時だよ?さすがに寝過ぎじゃない?」
くすくすと楽しそうに笑ってセシルは何処かへ言った。
中途半端に夢を引きずった俺は一切反応を返すことが出来ず、ぼんやりと天井を見つめため息をついた。
そして“惜しかった”と思う。
あと少しで、胸を焦がした彼女の顔が見れるはずだったのに。
夢の中とはいえ、震えるほどに思っていた女だ。
どれほど美しい女だったのだろう?
そう考えて…ふいに嫌な予感がドッとした。
なんというか…ものすごーーーく嫌な予感だ。
なんだろう…?仮面の下の顔が醜悪だったとでもいうのだろうか…?やけどでもおって化物みたいになっていたとか、そもそも顔なんかなくて真っ黒に塗りつぶされていたとか…それとも…

「よーーし、カインのために僕が朝ごはんを作ってあげるよ!」
「おい!ヤメロ!セシル!今すぐ俺のキッチンから出て行け!!!!」

まさか、まさかな…?

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