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流転

FTトリップもの ハーレム展開 もしくは逆ハレム
かきたいとこだけかく

俺は捨て子で、施設で育てられた。
両親のいない子供ばかり10人くらいがくらしている中規模の施設だった。
そこはボロで、狭くて、冷暖房がなくて、夏は暑くてたまらなくて、冬は凍えるようで…
だけど一緒に暮らしている子供たちはみんな仲がよかった。
俺は同じ年の男と特に仲がよくて、同じ部屋に割り当てられていた事もあり、双子の兄弟のようにいつも一緒にいた。
彼の名前はアリシエール。
海外から家族と日本へ旅行にやってきた時に、とある事故に遭遇。両親が死んだあと引き取り手が無く、紆余曲折の末に日本人になった金髪碧眼だ。
とても綺麗な男で、女と間違われる事も多かったが芯の強い根性のある男だった。
施設は高校を出るまでは面倒を見てくれる。その後は基本的には自活をしなくてはならず、ほとんどの者は施設を出ていく。
だが俺は…俺はそれよりも前に施設を出た。
別に施設長に性的暴行を受けて逃げたとか、両親を探しにとかそういうしょっぱい話じゃない。
ただ俺は早く自立したかったのだ。
だから中学の進路希望で住み込みで働ける場所を探した。
今時住み込みなんて殆どないんだけど、俺は運よくある建設会社に住み込みで転がり込む事に成功した。
施設のみんなも、そしてアリシエールも寂しがってくれたけれど決意は変わらず。
俺は大工見習いとして働き、二年目に小さなアパートを借りて独り暮らしを始めた。
大工としてはまだまだだけれど、親方をはじめ、みんなから可愛がってもらえているし、大工という職業は俺にあっているような気がする。
まぁ時々は高校の制服を着て楽しそうにやっているやつらが羨ましくなるなんて事もないとは言わないが。

そんなある日のことだった。
現場の仕事を終えて、近所のスーパーに買い物に行き、ボロのアパートに帰ってきた俺は、部屋の扉によりかかっている男を見つけた。
なんだよ、こいつ…と、嫌な気分になったのも一瞬。
男の金髪が天然のものであること、そして男の横顔がひどく整っていることに気づいて、俺は「アリシエール?」と無意識に口に出していた。
アリシエールと呼ばれた男は、弾かれたように扉から体を放し、俺の姿を認めると嬉しそうに微笑んだ。
そして俺を「ユヒ」と呼ぶ。
俺の名前は“夕陽”でユヒではないのだが、彼は昔から俺をユヒと呼ぶ。
「久しぶりだなぁ~、アリシエール。今は高校三年か?」
「うん、そう。連絡をくれないから寂しかったよ」
「悪い、悪い。あぁ、中に入れよ。狭いけど」
連絡をとっていなかったのは事実。
住み込みだった時は家主に遠慮して連絡をほとんど入れなかったし、それで独り暮らしをはじめても今度は二年のブランクでなかなか電話がしづらくなって…。
「おじゃまします。あ、思ってたより片付いてる」
「片付いてるっていうより、物がないんだよ」
俺は苦笑した。
「音楽もきかないし、ゲームもやんないし、本も読まないし…」
「あぁ、ユヒは昔からそうだなよね。体動かすのだけが趣味みたいな感じで」
「そう。金も使わないしいい趣味だろう?」
「そだね。今でも空手やってるの?」
空手は施設で働いていた深山さんという師匠にならっていた。
だけど施設を出てからは…
「やってない。けど、会社にボクサー目指してる人がいてさ、その人にボクシングならってる。休憩時間にだけど」
「へぇ。走り込みなんかも?」
「もちろん。家にいてもやることないし。お前は剣道?」
「うん、やってるよ。今年は全国にいって、個人でベスト8」
「はっ!?マジかよ」
驚いた。
アリシエールが小学校の頃から剣道をやってたのは知ってるし、遊びがてら俺も手解きを受けたりしていたが、一体いつの間にそんなに強くなってたのか。
「しかも怪我でそのあとは不戦敗。優勝候補だったんだけど」
「怪我?!大丈夫なのか?」
俺が驚いて聞くと、彼は何故か目を丸くした。
「あ、そっちに反応するんだ」
ってどっちだよ?
「で、怪我は?」
「大丈夫。熊みたいな大男が力任せに突っ込んでくるから倒れちゃってさ。足を捻っちゃったってだけだし」
今はなんともないという話を聞いて、俺はほっとした。
「なんだ、よかった。それより一体いつから待ってたんだ?」
「そんな待ってないよ、二時間くらいかな?」
「十分待ちすぎだろう」
俺は肩を落とした。
「それより帰らなくて…って明日は土曜か。泊まってくか?飯、まだだろ?腹減ってるなら、どっかくいにいくか?」
俺の薄給でもアリシエールに奢るくらいの余裕はある。
近くの定食屋にするか、それとも中華屋がいいかと考えていると、「ごめん」とアリシエールが突然俺に謝罪してきた。
「は?」とアリシエールを見ると、何故かやけに真剣な顔をしている。
「アリシエール?時間がないのか?」
「うん、そうなんだ」
「なんだよ、それなら…っておい?」
何でそんなに距離を詰めてくる?
なんだなんだと思っているうちに、俺はがばっとアリシエールに抱きつかれた。
「どうした?悩み事でもあるのか?」
戸惑いつつも背中をぽんぽんと叩いた俺に答えたのは…
「****************************」
意味不明な文字列。
もちろん、発したのはアリシエール。
「え?お前の国の言葉?」
少なくとも英語ではない発音。
その疑問にもアリシエールはまるでお経のように意味不明の言葉をつらつら並べ立てるばかり。
「おい?」
尋常ではないアリシエールの行動。これは尋常ではないと思い始めたその時…俺の視界がホワイトアウトした。

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