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恋しい背

最終的にはロマにょ独なつもり

戦争中はとにかく嫌いだった。
弟があんな奴にヘラヘラしているのが信じられなかった。
あいつはドイツだ。
ドイツなんだぞ?
ナチだ。(まぁ俺も、いうなればファシストなんだが)
確かに今は味方かもしれねぇ…。だけど、あいつは駄目だ。
あいつ…いや、正しくはヤツの上司だが…は、狂気にとり憑かれている。
あいつからは香水のかぐわしい香りの代わりに、血と硝煙、そして死の臭いがしている。
一時期のプロイセンよりひどい。
彼女の左肩には死神が、右肩には悪魔が手を置いている。
奴の足元には屍が累々と積み上がっている。
嫌いだ。
大嫌いだ。
彼女を見ると嫌悪で顔が歪む。
声を聞くだけで吐き気がする。
彼女と同じ空気を吸っていると思うだけで、気が狂いそうだ。

だけど…

大戦が終わって半世紀、久しぶりにまともに見た彼女は、あの頃とがらりと印象を変えていた。
視界にもいれないようにしていたから気づかなかったが…彼女はこんな風だっただろうか?
記憶の中の彼女より一回り小さい体。小さな顔、細い顎、輝く金糸が頬をに落ちる。長いまつげに守られたブルーは…あんなに綺麗だったか?
まぁだからといって…彼女に対する心象が180度回転するわけじゃないが。

「どうしたの?兄ちゃん」
パンツスーツを着たドイツを睨んでいると、声を掛けられた。
振り返ると、バカ弟が締まりのない顔をして立っている。
茹で過ぎたパスタみたいな顔。
兄弟だから、当たり前に顔は似ている。だけど、弟よりも俺の方が男前だ。絶対。
「ドイツ?」
俺の視線をたどって弟が言う。
「あぁ…あいつって、あんなだったか?」
「あんなって?」
クエスチョンマークを大量に飛ばす馬鹿弟に少しばかりイラッとする。
「だから!あんなんじゃなかっただろうが!」
「ヴェ?ドイツはドイツだよー。ねー、ドイツーー!」
最後のドイツーのところは、ドイツの方に向かって大きく声を張り上げた。
その声でドイツは俺たち…いや、馬鹿弟に気づき笑顔を見せかけたが、俺が隣にいるのに気づいて表情を凍らせた。
その表情にイラッとした。
「兄ちゃん」
「あ?」
「あ、じゃなくて、睨まないでよ、ドイツが怖がっちゃうじゃない」
「なんだそれ」
ムッとして眉間に皺を寄せると、「いいんだ」とドイツがフォローした。
それがまた俺の神経を逆なでする。
なんで俺がお前にフォローされなきゃいけないんだ。
ぶすっとしたのがわかったのか、ドイツは顔をひきつらせた。
「あ、あの、ロマーノ、久しぶりだな」
「あー」
普通女にはこんな口はきかない。
ドイツは特別だ。もちろん悪い意味で。
確かに前に見た時とガラリと印象は違うが、やはり俺はあの女は嫌いだ。
「今日はよろしく頼む」
「ん」
そして多分それは向こうも同じだろう。
「じゃ、じゃぁ私は先に行く」
こわばった表情のまま会議場に向かうドイツ。
俺は彼女の背中に舌打ちをした。
弟が何か言っているのが聞こえたが俺は無視して、遠くに見えたスペインの方に足を向けた。

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