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025 迷路

原作ベース セシルと子リディと少しだけギルバート
セシルは暗黒騎士の姿です。
物語のどのあたりに入る…とかそういうかたいコトいっちゃだめ。
面白く無いです。読み返してもナイです

川のせせらぎのような竪琴の音色。
誘われるように森へと足を踏み入れたリディアは、倒木に座って竪琴を爪弾くギルバートを見つけた。
白樺の森。木々の間から差し込む光。女性と見紛うばかりに美しいギルバートの傍には、ウサギやリスといった小動物、それにシカまでもが集まってきている。
― わっ…
まるで天使様が降臨されたかのような光景に、思わず声を上げそうになったリディアは慌てて両手て口を覆った。

 *

後日、その時のことをリディアがセシルに話すと、剣の手入れをしていた彼はその手を休めて優しくリディアに微笑みかけた。
「僕も見たことがあるよ」
「本当?!」
「うん。いつだったかは忘れてしまったけれど…警戒心の強い森の動物たちが自ら寄ってくるんだ。本当に驚いた」
「私も!びっくりしちゃった。こっそり見てたんだけど…途中で見つかって」
みんな逃げちゃった。
拗ねたように言うリディアの頭をセシルは撫でた。
「彼はきっと動物たちに愛されているんだろうね」
「うん。羨ましいなぁ…私がいると絶対に来てくれないんだもん」
「そう…。でも、それは動物たちがリディアを嫌っているわけじゃないんだよ。ギルバートが特別なんだよ」
「うん。わかるわ…。ギルバートって天使様みたいだもの」
「天使様?」
リディアの表現にセシルは目を見開き、ギルバートの姿を思い浮かべて「そうだね」と呟いた。
確かに彼は男性にしてはとても線が細く色も白くて肌も綺麗で、無性の天使と以上に彼を表す言葉はないように思えた。
実際、町で男に声を掛けられたところを何度も目撃している。(セシルは彼の矜持のために知らないふりをした。もちろんいざという時は助けるつもりではあった)
「それでね。私きづいちゃった」
「ん?」
いつのまにかクッションにちょこんと座っていたリディア。
セシルは手を伸ばしてクッキーの入った紙袋を引き寄せると、それをリディアに渡す。
ナッツの入ったさくさくっとしたクッキーはリディアの大好物だ。袋の中を見たリディアは満面の笑みを浮かべて手を伸ばし一つを口に入れた。
「おいしい!」
「そう、よかった」
「あ、それでね」
「うん」
「あのね、ギルバートが竪琴を引いていると動物が寄ってくるでしょう?それで気づいたんだけど、魔物は動物を襲わないみたいなの。不思議でしょう?」
小首を傾げるリディア。
セシルは彼女の言葉に少しだけ驚いた。
騎士として長年やってきた彼は、そのことをもちろん知っていた。
だがその事実を知るものは、実は案外少ない。
普通の人は、魔物以外の動物たちは、人のように魔物に怯えて暮らしていると思っている。
「よく気づいたね」
セシルは感心して言った。
だが実際は違う。
「そう、魔物は動物たちは襲わないんだ」
「やっぱり?」
「うん。確かに生活圏がかぶっていたりするから、その点で言えば仲良く暮らしているっていうことにはならないと思う。だけど、魔物たちは動物を攻撃しやしないし、動物も魔物を敵視してはいない」
「どうして?」
どうして?
それは単純な言葉だが、答えるのは難しい。
セシルは困った顔をした。
「…わからない」
「セシルでもわからないことがあるの?」
「はは。僕なんてわからない事のほうが多いよ」
「えっ?」
リディアはぱちぱちっと愛らしく瞬きをした。
「さっきの話だけれど…リディアが言ったとおり、魔物は僕達“人”しか襲わないんだ。たとえば、森に囲まれた森が魔物に襲撃されたとする。だけど魔物たちは家畜は絶対に襲わないんだ」
「絶対?」
「そう、絶対。番犬として飼われていた犬は襲われたそうだけど…それは、番犬が主人…つまり人を助けようとして魔物に襲いかかったからだろうと言われている」
「どうして?」
「どうして…か。どうしてなんだろうね」
ふぅっとセシルは息を吐く。
「本当にどうして何だろう…?」
バロンでも魔物を研究している機関の者たちや宗教機関の者たち…他にも魔物を討伐する機関の者たちが熱心に調べていた。
人の“血”や“肉”というものに関係があるのか。それとも人は神の怒りに触れてしまったのか。人が彼らに敵意を持つからいけないのか…。人の古からの業か……。
これについては彼自身親友のカインと何度も話し合ったことがあるし、魔物を討伐に出かける際に、彼らが何故人ばかりを狙うのか調べようとしたこともある。
だが…結論は“わからない”。
どうしてもわからないのだ。
おとなしいうさぎを無視するくせに、生まれたばかりの赤ん坊は襲う。
野生のキツツキにその身をつつかれてもなにもしないくせに、森に入っただけのただの旅人には牙を剥く。
“人だから”としかいいようのない彼らの習性。
しかし、何故だ?
魔物の本能だと一言で言い捨てるものもいる。
だがセシルは納得出来なかった。
どうして人なのだろう?何故人ばかりを襲うのだろう?どうして?人が彼らに何をしたというのだろう。
「セシル…?」
リディアの声にセシルはハッと顔を上げた。
「大丈夫?」
「あぁ…ごめん。少し考えてしまったよ」
「ギルバートのこと?」
「え?…あ、うんそうだよ」
本当は違ったが、まだ子供の彼女と一緒に頭をかかえるような話題ではない。…すでに、子供にするような話題でもないことを口にしたような気はしないでもないが。
「なんだかギルバートの竪琴がききたくなったかなぁ…ってね」
セシルがにこりと微笑んで言うと、「私も!」とリディアは嬉しそうな顔をした。
そして「私、頼んでみる!」と言って立ち上がると、彼女はギルバートのいるであろう方向に走りだした。

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