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ゼロの夜想曲 24

一人でふらふらしているからキュルケみたいな色情魔に引っかかるのだ。
玲治を散々叱り飛ばした私は、その勢いにのって夜の出歩きを禁止し、私の部屋で過ごすように言いつけた。
冷静に考えれば、いくら主人と使い魔とはいえ、玲治と私とは平等な契約を結んでいるのだから強制する権利は私にはないし、彼が言うことを聞く必要もない。
・・・ない・・・のだけれど、彼はしおらしく(とまでは言わないが、肩をすくめて)私の要望を飲んだ。
ベッドに入る私を手伝い、それから何をするのかと思えば私が持っていた教科書なんかを手にとって椅子へと座った。真暗な中で本が読めるのかと聞いてみたら・・・・振り返った彼の眼がボゥと赤く浮かび上がっていて(ついでに体の青白い蛍光色も)、変態すぎる彼の体質(?)になんだか何もかもがどうでもよくなってしまった。
何かを言おうとした彼を無視して「おやすみ」と一言いって、彼を見ないように反対の向きに体を横にして、目を閉じる。
そういえば・・・今日は彼の調子が悪かったのに、私はそれを怒鳴りつけてしまったのだ。
調子が悪かった原因が、ギーシュを負かしたことに対して私が何の褒め言葉も口にしなかったこと・・だとは思えないが、少し気になる。
・・・・ちょうど明日は虚無の曜日だし・・明日は街に出て、彼に剣を買ってあげようかしら・・・。
そうね。
それがいいかもしれない。
そしたら、彼の調子もよくなるかもしれない。
私はひっそりと笑い、足を胸元に引寄せ胎児のような格好をとるとゆっくりと眠りに身をゆだねた。


そして、次の日。
朝から厩にわざわざ足を運び、2頭を引き出してもらったものはいいものの・・・
「乗る以前の問題ね・・・・」
私はガックリと肩を落とした。その横で、ローブ姿の玲治が困ったように立ちすくんでいる。

街までは結構な距離があるし、馬を使って行こうと思っていた。
私は魔法は不得手だが、馬に乗るのは得意。
優しい目をした栗毛の馬の鼻頭を撫でてやり、厩の男に手伝わせてひらりと馬に跨り玲治を振り返った。
すると、玲治が途方くれた様子でこっちを見ていた。
「何?」
馬を返しながら聞く。
っと、彼の言葉を聞くまでも無かった。
鹿毛の馬が彼の傍でへたり込んでブルブル震えている。
「どうしたの・・・?それ」
「・・・さぁな・・・。触ろうとしたらいきなり腰が抜けたみたいにへたりこんで・・・」
私と玲治は同時に首を傾げ、厩の男に他の馬を引き出してもらう。
次は青毛の流星(鼻頭に入った白い模様)の入った綺麗な馬だった。
先ほどの鹿毛よりも少し大きいかもしれない。
玲治はその馬を見て「綺麗だな」と呟き、その馬に手を伸ばしたのだが・・・その馬は手が伸びてきたとたんに、ピタリと動きを止めそれから手綱を持っていた男を引きずるようにして何処かへ走り去ってしまった。
立ち上る土煙、「うぁ~~」というなんとも情けない声。
「「・・・・・」」
「えー・・・と、玲治、貴方何かしたの?」
「・・・・いや、見ての通り手を伸ばしただけだけど・・・」
私の分からないところで何かしたのかと思ったが・・・そうではないらしい。
彼はじっと自分の手を見ている。
私は彼から視線を離し馬の走り去った方向に向き直った。
するとしばらくして、途中で放り出されたらしい厩の男が擦り傷だらけになって戻ってきた。そして、泣きそうな顔で玲治と私・・・それから座り込んだままの鹿毛の馬を順番に見て・・・それからまた厩に入っていった。
そして、次につれてこられた馬は堂々とした体つきをした青鹿毛の馬。
先ほどの馬よりもまた一回り大きくて、鼻息も荒い。
この馬なら大丈夫だろうと誰もが思った。
しかし・・・
その馬は玲治が手を伸ばした途端、失神してバタンと体を横に倒してしまった。
目を回して泡を噴いている馬。
私たちは唖然としてしまった。

「・・・あんた、相当馬に嫌われてるんじゃない?」
「・・・そんなことないと思うんだが・・・な」
「何を根拠に?」
「俺、乗馬得意だったんだぜ?これでも。」
「・・・得意どころか、馬に跨ることも、触れることすら出来ないのに?」
そういうと、彼はブツブツと何か呟きながらしきりに納得いかないというように首を傾げた。
厩の男はまた馬を引き出さなきゃいけないのかとびくびくしてこちらを覗っているので、私は肩をすくめそれから首を横に振って彼を解放してやることにした。
この分だと、何頭引き出したところで結果は同じように思えたからだ。
彼はあからさまにほっとしたように肩を落とし、気絶した馬を撫で始める。
それを見ながら言った。
「・・・全く・・・どうするのよ。」
「歩いてはいけないのか?」
「いけないことはないけど、馬の足で3時間はかかるのよ?」
「・・・・まいったな・・・」
情けない声を、玲治が上げたとき・・・ふいに陽が翳り、
「ダ~~リン♪」
っという、私の神経を逆なでする声が上から降って来た。

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