スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ゼロの夜想曲 22

「なんなのよ!あいつ!!」
枕を力いっぱい壁にたたきつけて、荒く息をついた。
怒りの矛先は朝からなんだか様子がおかしかった使い魔、玲治だ。
目だったポカをやったわけではないが、今日の彼は何処となく心此処にあらず。
注意をすればしばらくは気を取り直したように普段どおりを取り戻したが、気がつくとまたぼんやりと何処でもない場所を見ている。
それにまた苛立てば・・・今度は、
「ばか!!!!!」
何時の間にか彼は傍におらず、そして今もなお帰ってこない!
「何処ほっつき歩いてるのよ!!!」
彼が夜はこの部屋にいないことは知っている。
彼の行動を自分がどうこう言えるような立場にはないことは分かっている。
だけど、それでも怒りは収まらない。
イライライライラ・・・
部屋の中を反時計回りにぐるぐると歩き回り、何度も時計を確認して・・・
「もう!!!!」
部屋から飛び出た。

― 別にあいつが心配で探しに行くわけじゃないんだから!
  あいつに一言文句言ってやるだけなんだから!

と思ったのだが・・・ドアを開けた瞬間に鉢合わせた玲治に言葉が詰まってしまった。
何故なら、彼が出てきたのは間違いなくキュルケの部屋で・・・そして、彼の後ろにはキュルケ自身が立っている。
キュルケはルイズが唖然としているのを見ると、面白そうに目を光らせる。
そして、「ルイズ」と口を開きかけた玲治の腕を強く引くと、自分に向き直らせその両頬を手の平で包み込み・・・
「!!!!!!!」
ルイズの目の前で、キュルケは玲治にキスをした。
もちろん、頬ではなく唇。
それも“大人”の口付けだ。
開いた口から赤い舌がチラリと見えたのがやけにいやらしい。
フードに隠れて玲治の表情までは見えないが、抵抗をせずにおとなしくされるがままになっている姿にカチンときた。
「あ・・・あ・・あ、あんたたち、何やってるのよ!!!」
「あ~らぁ、取り込み中よ、ヴァリエール」
唇を離したキュルケがバカにするように顎を逸らして言う。
「ツェルプストー!誰の使い魔に手を出してんのよ!」
「仕方ないじゃない。好きになっちゃったんだもん」
す・・・好きになった?!
一瞬頭が空白になったものの、次の瞬間には瞬間湯沸かし器の如く一気に血が頭に上った。
「恋と炎は、フォン・ツェルプストーの宿命なのよ。身を焦がす宿命よ。恋の業火で焼かれるなら、あたしの家系は本望なのよ。あなたが一番ごぞんじでしょう?」
勝ち誇るように言うキュルケに、私は怒りのあまり何から言葉にしていいか、わからない。
口をぱくぱくと開閉し、体が怒りに震える。
その私を見かねたのか、
「ルイズ・・・」
と心配そうに玲治が声をかけてくるが、これは火に油を注ぐ結果でしかない。
「あんたも!何、勝手にキュルケの部屋になんていってたのよ!!!!」
っと、私は矛先を変えて彼に詰め寄った。
「一日ぼーーーーっとしてたかと思えば!フラっといなくなって!!!!
 探しに出てみれば、なんでよりによって何でキュルケと一緒なのよ!!!!
 そ・れ・に!なんでキスされてんのに抵抗しないのよ!!!!このバカ!!!!」
唾も飛ばさん勢いで言うと、玲治はびっくりしたように目を丸くさせ、
「お前だって、俺にいきなりキスしたじゃないか」
と、言った。
その一言にカッとした私は思いっきり右手を振り上げたのだが、玲治はそれをヒョイと頭を伏せて避ける。避けられた私の手は勢いをそのままに壁へと吸い込まれ・・・

ゴンッ!

にぶい音を立てた。

「「あ・・・」」

「いっったーーーい!!!」

悲鳴を上げてしゃがみこんだ。
「あぁ・・・もぉ、ルイズ、大丈夫か?」
右手を抱えて唸っていると、出来の悪い子供に話し掛けるように玲治が喋りかけてきて、あまりにも情けない自分のあり様に「何でよけるのよ!」と怒鳴るのも忘れて、涙が出てきそうになる。
彼に顔を見られないように手を抱えてうずくまっていると、「キュルケ・・・」と彼がキュルケの名を呼び、つづいて、キュルケのものらしいため息が聞こえた。
「しょうがないわね。まぁいいわ。今日はこの辺で勘弁してあげる。おやすみ、ルイズ、それに玲治」
「あぁ、おやすみ」
玲治の声のあとに、静かにドアが閉まる気配がして、廊下に玲治と私の二人が取り残されたのがわかった。
私が右手を抱えたままじっとしていると、玲治がそっと私の頭に手を置いた。
子供をあやすような態度にムッとしたけれど、今、口を開くと喧嘩別れになりそうで・・・それを避けたかった私は結局黙り込むしかない。
すると、玲治はぎこちなく私の頭を撫でた。
「あのさ・・・あれは、別に意味があってのことじゃないと思うよ」
「あったら大問題よ!」
玲治の言葉に間髪いれずに怒鳴り返す。
キュルケの家系は私の家系とは深~~~~い因縁がある。
それを考えるだけでまたムカムカとしたものが胸にこみ上げてきた。
不穏な空気を察したのか、彼の手が離れて「ええっと」なんて言葉を選びあぐねてる。

そして、しばらく。
ようやく言葉を見つけたらしい玲治が発した言葉は、
「でも、あれだよな。夜魔にしてはまだまだ修行不足っていうか・・・」
というわけの分からない言葉。
何言ってんのよ。コイツ。
キッと睨むと、彼はあいまいな笑みをフードの陰で浮かべた。私は大袈裟にため息をついた。そして、
「もういいわ!とりあえず、部屋に戻るわよ!」
言って立ち上がると、彼はあからさまにほっとして肩を落とした。

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。