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ゼロの夜想曲 20

今朝、玲治に起こされて目を覚ますとなんだか彼の様子がおかしいような気がした。
深くかぶったローブのせいで表情は見えないのだが、何となく気が滅入っているというか・・・心此処にあらずというか・・・。
昨日は大活躍だったくせに・・・なんだか生意気だ。
驕(おご)れば叱り飛ばしてやれるのに、これじゃ、私が褒めていないのが悪いみたいだ。
時折、顎に手をあてて考え込んでいたかと思うと、思い出したように私の世話を焼く。
ストレスを感じるほどではないが、そのタイミングは少しだけずれていてちょっとだけイライラする。
そう、イライラするのだ。
だけど、彼は一向に私の様子には気付いていないし・・・。
腹が立つったら!

カチャカチャとわざとらしくナイフやフォークを皿に打ち付けるようにして食事をしていると、ようやく玲治は私の不機嫌に気付いたようだった。
しかし、私の不機嫌の理由まではわかっていないようで、小首を傾げた。
彼の前には何の食事も並んでいない・・・というのは、別に私の意地悪じゃなく、彼が要らないといったのだ。あっそう、なんて軽く返して食事を下げてもらったものの、周りの人たちには私が意地悪でそうしたように見えたらしく、昨日の英雄に何て仕打ちだとでも言いたそうな目で私を見る。
腹が立つ、腹が立つ、腹が立つ!!!
肉を切ろうとしていた手が滑って、ソースが服に跳ねた。
イライラとしたまま切り続けようとしたら腕を掴まれ、驚いてそちらを見るとローブの下、玲治がじっと私を見ていた。
「ソース、染みになる。服を変えてこよう」
「・・・食事途中よ!」
「うまそうになんて食ってなかったくせに、腹なんて減ってないんだろう?」
そう、それは確かだ。
腹が立って仕方なく食欲は減退気味。
だけど、
「作った人に悪いでしょう!」
このタイミングで席を立つのが悔しくて、欠片も思っていないことを口にした。
そして、それはきっと玲治にはお見通しだったのだろう。じっと私を見つめたかと思うと、ふいに私の皿の上に手を伸ばした。
何をするのかと見ていると・・・彼の手が皿の上にかかった途端・・・ふっとその上に乗っていた料理が消えてしまったのだ。
ソースで少し汚れているほかは、肉もサラダもパンも・・・全てが消えてしまっている。
まるで、玲治の手の平に吸い込まれてしまったかのように。
ぎょっとして動きを止めた私の隙をついて立ち上がった玲治は、座ったままの私の椅子を軽く引き私の手を取ったかと思うと、強引に食堂を後にした。

そして、部屋に帰ってからはそれこそ優秀な執事よろしく、私が服を脱いでいる間に新しい服を用意して羽織らせる。不機嫌のままにもたもたとボタンを閉めていると、途中から玲治の手が伸びてきてボタンをさっさと閉じてしまう。
ついで・・というように私を椅子に腰掛けさせ、髪にブラシまで入れてくれる。
そして、
「で、何があったんだ?」
私が少し落ち着いたのを見計らって声をかけてくる。
なんだかこいつって本当に変なヤツだ。
ものすごく口が悪くて乱暴で、好戦的なのかと思えば・・・こんなにも面倒見がいい。
「何かって?」
「お前のことだ。機嫌わるかったんだろう?」
「そんなこと・・・」
「無いわけが無いよな?」
そんな顔で・・・と示された先には丸い鏡があって、眉を鋭角に上げた私が映っている。
“不機嫌です”って書いてある顔。
鏡越しに玲治を睨んでやったけれど知らん顔をされて、私は小さく唸って、結局口を開いた。
「・・・あんたこそ、なんなのよ」
「俺?」
「そうよ!あんた朝からぼーっとしてるじゃない」
指摘すると、玲治は一瞬ブラシの手を止めた。
「ぼけっと突っ立って、顎に手なんか当てちゃってさ!言っとくけど、私は心此処にあらず・・で世話れたって嬉しくないっていうの!」
一気に言って、バシンっと鏡台を叩くと完全に玲治の手は止まっていた。
そして、
「やっぱ、ちょっと千晶ににてるような・・・」
と、わけの分からないことをブツブツ言っている。
「なんなのよ!」
っと振り返ると、曖昧に笑ってゴメンと謝った。
そして、ふと視線を逸らして、
「なぁ、ルイズ、お前、この世界がすきか?」
と、妙な事を聞いた。

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