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飴色の夕焼け 02

FT系 こんなのが書きたい というだけの話。
ちょっとだけ続けてみた。 読み返してないけれど。

ドイツ帝国のドレスはどこか華やかさに欠けて地味であり、イタリア王国のものに比べて見劣りするが、男性用の貴族服や軍服は他の国に比べていささかも遜色なくむしろ他国よりも洗練されているといっていい。
特に男性物の上着は腰の辺りを絞る服が主流となっており、体格がよく上半身が発達しているドイツ人男性がそのような服を着ると、見事な逆三角形のシルエットが出来てとても見映えがする。

ドイツが着てきたのは、軍属の貴族男性が着用するような黒の上下に白いラインが入った服に、長い黒のブーツを合わせた姿だった。
特に洒落てはいない。いや、彼にしては洒落てきた方だが、“お洒落”ではない。
しかし体格がいいので、過剰に飾らない今の姿は彼によくにあっていた。

 ※

貴族の娘を意識して、ピンク色の少し質素なドレスに帽子を合わせた私は、彼の護衛官のような姿に満足していた。
ベストとは言わないがベター。なかなか連れていて華になる姿だ。
「それで何処につれていってくれるわけ?」
城の目立たない出入り口から外に出て私は聞いた。
彼は少し考えて
「そうだな。街の教会か図書館、美術館、もしくは今は大学院になっている昔の王宮は?」
「そうねぇ、どれも惹かれる。だけど私は買い物もしたいわ」
というか、それこそが目的だったりもするのだが。
私が言うと、彼は「では教会に行ってみよう」と言った。
「教会を回ってから街はすぐだからな。教会をみたあと街に出てみよう」
「わかったわ」
私が歩きたいと言ったので私たちは徒歩だ。
私は歩きながらドイツの街並みを仔細に観察した。
ドイツの街は石畳で、大通りの横幅はいざと言うときに軍馬が駆け抜けられるように広く作られている。
街の家々も石造りやレンガ造りになっていてかなり丈夫そうだ。
建物は三階建てや四階建てといったものが多くて背が高く、通りはとても清潔で酔っぱらいが座り込んでいる…なんてことはない。
時折警備兵らしい人が二人一組になって回っていて、中にはルートヴィヒの顔を知っているらしい男が黙礼していく。
「さっきの人、ルートヴィヒの顔を見て驚いていたみたい。貴方はあまり外に出ないの?」
「いや、そんなことはない。ただ…出るときというのは大抵が兄と一緒だからな」
「あぁ…それで」
「俺が女性をつれているので驚いたのだろう」
ルートヴィヒのさりげない言葉にドキリとする。
ようやくもうすぐ11になろうっていう私の事を女性…って言ったわよね。
なんだかその言葉はとても嬉しい。私は思わずクフフっと変な笑いを漏らした。

…まぁその浮かれた気分は、教会の人に“お嬢ちゃん”と言われたことですぐに霧散するのだけれど。

というわけで教会の感想は特になし。
大きくて素晴らしく美しい場所ではあったけれど、私の事を“お嬢ちゃん”と呼んだり、“まぁ、妹さんですか?”なんて私の事をルートヴィヒに聞くようなシスターがいる教会なんてこれ以上誉める気はない。
急に機嫌を悪くした私に戸惑っているルートヴィヒには悪いけれど。

だけどその拗ねた気持ちも賑やかな通りにやってくるとすぐに持ち直した。
今、私たちが歩いているのは食料品を扱う店が軒を連ねている通りで、色鮮やかな野菜や果物、それに肉や魚にチーズといったものがこれでもかと並んでいて大にぎわいだ。
もちろん私には食料品は必要ではないのだけれど、見るのはとても楽しい。
ニンジン、トマト、ピーマン、かぼちゃ、ズッキーニ、セロリ、玉ねぎ…
チーズ、胡椒、ハム、コーヒー豆、お茶、お肉、バター、ラード…
山と積まれた野菜や果物、大きな浅布に詰め込まれた穀類、吊り下げられた肉や魚は圧倒されるような量だ。
それに行きかう人の数といったら…本当に呆れるほど。
「ねぇ、ここには毎日市がたつの?」
「いや、さすがにそれは…週に一度だけ大きな市が開かれていて、今日はちょうどその日に当たる。近隣国からも作物が運ばれているから、探せばイタリア王国から運ばれたものもあるはずだ」
塩や香辛料、茶なんかは船で何ヵ月もかけて運ばれたものもあるらしい。
「それにしてもすごいわね」
「喜んでもらえて光栄だが、まだまだだぞ。この辺りは食料品を売る市場だが、向こうは洋服や貴金属、本や工芸品なんかを売っている」
「まぁ!そっちにいきたいわ!」
食料品を見て回るのは楽しい。だけど女の子だから、そちらの方が興味がある。
私は彼に案内されながら、食料品の通りを抜けた。
その道中に彼から聞いた話では、市は十字を書くように広がっているのだそうだ。
中央に広場があり、そこから北にいくと王城があり、そちらの通りには日用品や武器、武具、馬具なんかが売られている。
そして広場の東は私たちが通ってきた食料市場。
西側には洋服や雑貨と言ったもので、南には食事を提供する屋台が軒を連ねているらしい。
また広場でもちょっとした催しや大道芸なんかが行われていた。
イタリア王国の市場も賑やかだったが、こちらは規模が段違いだ。
さすがに巨大軍事国家。今や大陸の中心国家と言われるドイツならではだろう。
「さて、姫…いや、ロヴィーナ、どうする?先に何かを食べていこうか?」
聞かれて太陽を見ると、随分と高い位置にある。お昼には少し早いが、昼食をとるのに早すぎるという時間でもない。
だけど、今のうちに食べておいたほうがいいかもしれない。
「そうするわ」
私がうなずくと、彼は私の頭を撫でた。
それが心地よくて一瞬だけ目を細めたけれど…すぐにこんなに無礼な事はないと、私は彼の手をはたき落とした。

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