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これからはじまる恋愛譚

R15くらい挑戦しようかと思ったけれど、途中で飽きた。
しかも読み返してないので…変かも。
いつものことですが。

俺とセシルは性別は違えど親友同士だ。
古今東西、男女の間に友情は成立するかという問題を提起されることがよくあるが、俺ははっきりとそれは成立すると言い切れる。
そしてそれはセシルも同じだろう。
俺には他に好きな女(ローザ)がいるし、そしてセシルも今は好いた相手はいないようだが、俺に対して恋愛感情を持っていない事はわかっている(でなければ、何度もローザのことで手助けしてはくれていないだろう)
俺たちは親友だ。
お互いに競い合い、そして励まし合い、時には喧嘩をしてきた。俺たちは誰よりも互いを信頼している新の意味での親友同士だ。

いや、親友同士…“だった”。

 *

その日は、士官学校の卒業式だった。
お互いに希望の場所への勤務が決まり、まさに人生の絶頂だった。
俺の部屋でローザも交えて(彼女はあと1年学校がある)お互いの将来の夢や、やりたいこと、そして昔の事なんかを酒を飲みながらしゃべっていた。
夜もふけ、ローザが帰ってしまうとますます酒のペースが上がったことは覚えている。
俺が竜騎士の団長になりたいというと、彼は暗黒騎士の団長になりたいのだといい…それから二人で英雄になるのだと約束をした。

酒瓶が…ゴロゴロ転がっていたのは覚えている。
お互いろれつが回らなくなって、視界がおかしいなんて笑って…で、このまま寝ちまうかと、お互いにお互いを支えあって寝室まで行ったあたりも覚えている。
だけど、その先は曖昧だ。
いや断片的には覚えている。

戯れにキスをしたとか…首筋に噛みついたとか…細い腰を抱き寄せたとか…ベッドに組み敷いたとか…くすくす笑ってたセシルとか…
あぁつまり、そう、言ってしまえば…致した記憶がある。
もっとハッキリ言えば、俺はセシルとセックスをしたのだ。
親友と!酒の勢いで!

そして…俺たちは今、互いに随分気まずい思いをしたままベッドに腰かけている。
心なしかしっとりしたシーツに、甘い疲れ、そして鈍く痛む頭がまたいたたまれない。
まんじりとしない沈黙。
だらだらと冷や汗をかきながら、昨夜の回想を終え、確かに“やってしまった”のだと自分に納得させると…
「悪かった」
俺は取り敢えずセシルに謝罪した。
「その、言い訳にしかならないが…酔っていて…」
「う、うん。僕も…だから、その、謝らないで」
「そんなわけには行かないだろう…俺はお前を」
「言わないでよっ、わ、わかってるから」
婚姻前の女性と契るなど言語道断だ。近頃は随分と慣用になったといっても、結婚までは女性は清らかなままでいるのが常識だし、騎士として恋人でもない未婚の若い女性に手を出すのは恥ずべきこと。これで相手が貴族ならば確実に首がとぶレベルだ。
「悪かった。本当に」
「あ、謝らなくっていいってばっ!僕だって…嫌がらなかったんだから同罪だし…」
「しかし…」
「そ、それに僕は騎士だし…それくらいどうってこと…」
「いや!あるだろう!嫁入り前なのに…うぅ本当に悪かった…」
「お、大袈裟だよっ!カインは!僕は貴族でも何でもないんだからっ!そんなに罪悪感感じないで!」
「しかし…俺は騎士として失格だ!陛下にどのつら下げて…」
「そんなっ!大丈夫だよ!それにこれは同意の上でしょう?」
「だが、酒に酔って女性に手を出すなんてっ!しかも親友に!」
「それを言うなら僕だって!酔って…そのカインをさ…誘って…」
顔を赤くするセシル。そのいじらしい姿に昨夜の媚態がフラッシュバックして、俺はあわてて目をそらした。
「と、とにかく責任は取る…」
「責任?!ば、バカな事言わないでよ…だ、大体、僕なんてそもそも貰い手なんて…」
「そんなわけないだろうっ!」
セシルはローザ程の華やかさはないが、しっとりとした控えめな美しさで人気はかなり高い。
セシル自身は人気がないと決めきっているのと、天然の鈍さで気付いていないだけで、彼女にはかなりの求愛者がいるのだ。
「…それなのに俺は…」
彼女に恋人が出来たなら、俺がいの一番にそいつを見定めてやるつもりだったのに…っ!
「僕だって…せ、責任なんて取られたら…あ、もちろん嫌なんじゃなくて、カインを好きな子達に…」
それがどうだよ…。
なにが“セシルの体だけが目的みたいな男は俺がボコボコにしてやる”だよ。
俺が一番の危険人物かよ…。
セシルは親友だっていうのに…、セシルは俺を信用していてくれただろうに…、それを俺は……

俺たちは互いに黙り込み、ずーーんと落ち込んでいた。
彼女の方が何を考えているかは知らないが、俺は自己嫌悪の極致だ。
セシルは優しいから気にするなと言ってくれるが、気にしないわけがない。
彼女は確かに良家の子女ではないが、王の庇護を受けているひとだ。そんな彼女だから、王だってゆくゆくは貴族なりなんなりとの婚姻を考えていたかもしれないのに…。
そんな彼女が婚前に男と交渉を持っていたなど、許される事ではない。
下手をすれば彼女は牢屋行きだし、俺は打ち首だ。
やはり俺が責任を持つべきだ。
この際、俺がローザに思いを寄せていたなんてのはキッパリ切り捨てよう。
そして彼女は嫌かもしれないが、俺は彼女と結婚を…いや、彼女に好きな男が出来た時には、そしてそれが真実立派な人物であれば、俺はその男に頭を下げ、どんな仕打ちでも甘んじて受け、そして彼女…

と、そこまで考えた時だった。

「おーい、カイン、暇なら…」
「おっまえ、いつまで寝て…」

ノックもせずに友人二人が部屋に飛び込んできたのは。
二人はシーツにくるまったセシルと、腰にタオルを巻いただけでベッドに腰かける俺たちを見てカチンと固まった。
確かにそれは驚くだろう。
だがこちらだって…特に俺は、心臓が止まりそうなほどに…驚いた。

そして…
「うわっ!ご、ごめんっ!!」
「邪魔して悪かった!!」
慌てて出ていった二人により、事態は一層混迷を深めていったのだ。

「ちょ、ちょっと待って…あっ!」
「だ、大丈夫か!セシル!!」

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