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レヴィアタン

ff4・セシル+ff7・クラウド
クラウドはまだ成長過程ということで。
また読み返してないです

思っていたよりもずっと重い斬撃に、クラウドは思わず奥歯を噛み締めた。

彼が相対しているのは、バロン帝国一…いや世界一の暗黒剣の使い手であるセシル=ハーヴィ。
新羅が剣術師範としてバロンから招いた騎士は、時代錯誤とも思える重厚な鎧甲冑姿。
その姿を時代に合わないと嘲笑すらしていたソルジャーまたは一般兵士たちは、クラウドへの一撃でその見方を180度変えた。
クラウドはまだ駆け出し。…とはいえ、将来有望とされる実力者だ。すぐにソルジャーに上がるだろうと有望視されている。
その彼が持つ身の丈ほどもある片刃の剣は、持ち上げただ振りおろすだけでも普通の剣ならばやすやすと両断する。
それを受け止め、弾き返し、あまつさえ攻勢に移って押しているという姿は驚愕に値した。
『よくあの姿であれほど動けるな』
『なんだ、あの禍々しい剣は…』
『クラウドといいあの騎士といい…どうしてあの細い体であんなに力があるんだ?』
負けてはおらじとクラウドは踏み込むが、彼の攻撃は二年後ならばまだしも今はまだセシルに遠く及ばない。
終わりはあっけなかった。
彼は数合打ち合ったのち、剣を軽々と弾き飛ばされ、そして首元に切っ先を突きつけられた。

 ※

「惜しかったな」
「バロン一の猛将って話だ。仕方ないさ」
「あれに勝てるのはセフィロスくらいだよ」
「お前が一番いい線まで行ってたじゃないか」
「ソルジャーだって敵わなかったんだ、気にする必要はないさ」
練習を終えた後、彼は色々な人物に声をかけられたが、どれも慰めにはならなかった。
たしかに自分の腕がまだ未熟であるのは認めるが、それでも悔しいものは悔しい。
それに練習中、セシルは何度となく色んな人々と模擬戦をやったのだが、彼はついぞ膝をつくことはなく、新羅の惨敗であった事もまた悔しかった。
世界最強の部隊であるはずの新羅の精鋭が、いとも簡単に…たった一人の男に蹂躙されるなんて…。
クラウドがロッカーに拳を打ち付けると、部屋の中は一瞬しんと静まり返り、そして一人二人とその場を後にした。

一人になったクラウドがゆっくりとシャワーを浴びて外に出ると、向かいの廊下に見かけない男が立っていた。
クラウドの憧れの人でもあるセフィロスと同じ銀髪をもった彼よりも同い年か少し年下くらいの男。
背は高く痩せ型で、人形のように顔が整っている。
初めて見る顔だ。
クラウドは無視して歩き出そうとしたが、「あの」と声を掛けられ足を止めた。
「クラウド…だよね」
穏やかな声。コクリとうなづくとその男は「よかった」と微笑んだ。
そうすると人形ぽぃ無機質な感じが消えて、人間らしく見えた。
「少し話したいと思って待ってたんだ」
「あんたは?」
「僕は…あぁ、そうか、この恰好じゃわからないかな。僕はセシル=ハーヴィ。バロンから来た…」
セシル?
その名前に驚いてクラウドは彼の言葉を途中から聞いていなかった。
それほどに衝撃的だった。
あの真っ黒な…悪魔のような鎧を来た、暗黒剣の使い手が…この男…?
対戦した時の騎士と、今のセシルは姿が全く重ならない。
これが本当に対戦した相手か…?
あまりの驚愕に思わずクラウドが額に手を当てると、セシルだと名乗った青年は柔らかく微笑んだ。
「忙しいなら無理にとはいわないけど」
「いや…、大丈夫だ」
そう答えたケラウドは、先程まで腹のそこでグツグツと煮たっていた思いが、いつの間にか霧散している事に気づいて複雑な気持ちになった。

廊下で話すのもなんだとクラウドがセシルを案内したのは、新羅の兵士たちがよく利用する新羅本部の高層階にあるカフェテラスだ。
ミッドガルが一望できる窓際の席につくと、セシルは目を輝かせて景色にみいった。
「なにを頼む?」
「ん~、少しお腹が空いてるんだけど」
「だが…夜は夕食会か何かに招かれてるんじゃないか?」
「そうなんだよね。だから軽く…サンドイッチでも。クラウドは?」
「俺は…運動した後はあまり入らないんだ。アイスコーヒーを」
テーブルの端末でオーダーを通すと、それほど待つまでもなく商品が届いた。
「さすが新羅だね。すごくハイテクだ」
「そうか」
「バロンも…景観はあまり変えない形で急速に変化している。だれど、新羅は別格だね」
セシルの言葉を聞きながら、クラウドはそういえばバロンは巨大な地下帝国を築いているという噂をぼんやりとだが思い出した。
伝統を重んじるバロンには、バロン様式の歴史的な建物や町並み、通りなんかが山ほどある。
それは時代遅れではあるが、バロンの人々はそれらに手を入れることを嫌い、地下に新しい都市を築く事でガストラや新羅に劣らぬ技術を持つに至ったという話である。
実際、バロンの持つ飛空挺は、最新技術を惜しみ無く投入した新羅の新型機とさほど遜色はないと言われている。
「話っていうのは…まぁ…偉そうに言ってしまうと、君へのアドバイスなんだけど…」
「アドバイス?」
「あぁ、気を悪くしないで欲しいんだけど、模擬戦で気になった事があって」
探るような視線に、クラウドは一つ頷いた。
欠点を指摘されるのは、腹の立つことではあるが、だからといってそれに耳を塞ぐような人間には絶対に成長はない。
指摘する相手が、負けた相手ならばなおさらちゃんと聞いておかなければならないだろう。
セシルは真剣なクラウドの瞳にまた笑顔を見せた。
「今日、対戦した中では君が一番の有力株だったからね」
「あっさり伸しておいて…」
「そんな事はないよ。結果的にはそうだったとしても、君との戦いは期待以上だったよ」
「それで?」
「あぁ、君と戦ってわかったんだけど…」
そう言って、セシルが上げた気づいた点というのは、体重移動の際…特に攻撃に移る際に軸がぶれているというものだった。
「うーん。なんていうか、体重が残りすぎてるっていうか…体が少し引いている気がするな」
「体重が…?」
「そう、多分自分では前に出ているつもりなんだろうけれど、体重がまだ残っている。だから、少し…そう、前のめりになるくらいの勢いで出てみたほうがいいと思うな。君の剣は大きいから…」
セシルの気づいた点というものは、クラウド自身にも自覚があったものであったが、しかしそれを改善するのには苦労していたものだった。
それがセシルのアドバイスを聞くと、なんとなくできそうな気がしてきた。
「そうか…剣を運ぼうとするのではなく…体を投げ出すようにしたほうがいいんだな?」
「そう。もちろん、その分、体が無防備になる。だけどその点は僕は心配していない」
「何故?」
「何故って、それは君だからだよ」
セシルは楽しそうに笑った。
「踏み込みが早くなり、バランスが上手く取れるようになれば、もっと早く動けるようになる。そうすれば…」
「お前でも止められない…か?」
「うーん、それは…」
セシルは困ったように頬を掻いた。
「それじゃぁ困る」
「はは、そうだね。でも、僕だって、君を止められなきゃ困る。止められないなんて気軽には言えないし…それに…」
「それに?」
「クラウドも、そして今日対戦したほかの人も、奥の手はちゃんと別に持っているだろう?だから、簡単にそういうことは言えないよ」
「…そうか。そう…だな」
そういえば…とクラウドは思い出した。
今日の対戦では、切り札を使わないのは暗黙の了解だったとしても…彼は、一度として暗黒騎士の技を使っては居ない…。
あくまで普通の剣士の枠内での技量しか見せていないのだ。
ということは…もしかして、今日の彼は実力の半分も力を見せていないのではないだろうか?
そう考えると、また悔しさが滲んできてクラウドは歯噛みする。
そんなクラウドの背中をセシルは慰めるようにポンっと軽く叩いた。
「焦る必要はないよ。君にはまだまだ伸びしろがあるんだから。今はまだ僕が上っていうだけで、次にあったときはどうかわからないからね」
「…あぁ。当たり前…だ」
「そっか」
穏やかに微笑む彼に、クラウドは今日はじめて…いや、ここ一週間ばかり久しく見せていなかったささやかな微笑みを彼に返した。

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