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アーヴァンク

時間の都合により読み返さないよ

「あの、やめてくださいっ!め、迷惑です!」

上司の付き添いでザナルカンドやってきたザックスは、その上司が会議に出ている間に街に降りてブリッツの試合を観戦することにした。
新羅本部のあるミッドガルドに勝るとも劣らない大都市。物珍しく街を見回し、商店を冷やかしながらブリッツの会場へ向かっている時に聞こえてきたのが、冒頭の若い女性の声だった。

「離してください!」

路地からは嫌がる女の声とともに、数人の男の声も聞こえる。
痴話喧嘩…には聞こえない。
まいったな。
ザックスは小さく呟いた。
彼は上司に「街に出るのはいいが、騒ぎは絶対に起こすなよ」とキツく言われていたのだ。
誰か他に気づいている人間は…と周りを見るが、残念ながら人はいれども数人の女性が心配そうにそちらを見ているだけで男手がない。
警察でも呼ぶか?とザックスは考えたが…
「い、いやです!誰かッ!」
どうやら警察の到着を待っているような時間はないらしい。
ザックスは仕方がないと足をそちらに向けた。



「ありがとうございました!」
5分後、柄の悪い三人の男に絡まれていた女の子は、そういってガバリと頭を下げた。
肩のあたりまでの焦げ茶の髪が綺麗な子だ。民族衣装なのかミッドガルドではまず見れないような不思議な衣装をみにつけている。
「ほんとうに、なんとお礼を言ったらいいかっ!」
かしこまって頭を下げる彼女に、ザックスはやめてくれとばかりに手を振った。
「そんな、大げさだ。それより怪我とかしなかったか?」
「は、はい。大丈夫です。それより貴方の方が…」
「あぁ。俺はザックスな。怪我なんて一つもねぇよ。見てただろ?」
そういって拳を作って見せるザックスは、つい先ほど彼女の前で数分とかからずに男たちをのしてしまっている。その鮮やかな手並み。彼は傷ひとつ負ってはいない。
「そうでした」
くすりと笑った少女は、そこで姿勢を正すと
「改めてありがとうございましたザックスさん。私はユウナといいます」
と礼とともに自己紹介をした。
「ユウナ…ユウナちゃんか。まぁ、大事にならなくてよかったよ。でもどこにだって変なのはいるんだ。今度からは気を付けた方がいいぜ。特に…」
ユウナちゃんは可愛いから。
続けられた言葉に頬を赤くするユウナ。
それを見てザックスはにっこりと笑い、「じゃっ」と立ち去ろうとしたがユウナに呼び止められた。
「あの、ザックスさん。何かお礼をさせてください」
「お礼ぃ?いいっていいって、そんなつもりじゃないし」
「でも…」
「気持ちだけで十分」
「あ、じゃぁ、そこのお店でお茶でもっ…」
そんな事を言うユウナにザックスはぷっと吹き出した。
「それって」
「え?」
なぜ笑われたのかわからないユウナ。そんな彼女にザックスがからかうように「ナンパしてるのか?」というとユウナは顔を真っ赤にして照れた。



お礼をと譲らないユウナに折れる形で、二人はブリッツを見に行くことになった。
といっても今日は昼間はに試合はないらしく、練習を見学することになった。
練習なので見学は無料。
会場に行く道すがら、ザックスがミッドガルドからやって来たことをユウナが知ると「やっぱり今日、お礼が出来てよかった」と彼女は言い、ザックスを苦笑させた。
二人は話ながらやがて会場につき、飲み物を買って(これはユウナが金を出した)席へとついた。
練習だから、当たり前だが客はあまりいない。だが目の前の大きなスフィアプールは圧巻だ。
「さすがザナルカンド・エイブスの本拠地だな。すごい」
「えぇ、そうですね」
「ユウナちゃんは何度か来たことがあるのか?」
「えぇ、何度か」
「へぇ」
スフィアプールの中では選手たちがボールを手に自由自在に泳ぎ回っている。
「まるでイルカかペンギンだな」
「ザックスさんははじめてですか?」
「あぁ。テレビで何度か試合をみたくらいだ」
残念ながら彼の出身地にブリッツのチームはなく、特に興味もなかったのだと正直に話した。
今日だって時間があかなければ、わざわざ見にはこなかったと思う。もちろん、今は来てよかったと正直に思っているが。
「ユウナちゃんはザナルカンド・エイブスのファン?」
「えっと…一番応援しているのはビサイド・オーラカっていうチームなんですけど…。でもザナルカンド・エイブスにも知り合いがいるんです」
「え、どいつ?!」
選手と知り合いなんてすごいじゃないか。
驚いて身をのりだし選手たちを見るザックス。
ユウナはそんなザックスを小さく笑い「えっと…」と知り合いの姿を探す…が、
「わかった」
なぜかユウナが見つける前にザックが言った。
「え?」
驚くユウナをよそに「あれだろ」っとザックスは選手たちの方を指差した。
「アレだろ?あの金髪の若い…」
「ど、どうしてわかったんですか?!」
それはまさにユウナのいう“知り合い”で、彼女はびっくりして口元に手をあててザックスを見た。
ザックスは「いや、なんでっつーか…」と頭を掻く。
そして彼女に聞こえないくらいの小さい声で…「めちゃくちゃ睨まれているし…」とぼそりとつぶやく。
そう、彼はスフィアプールに目を向けた途端、その“知り合い”とやらにキツーーーク睨まれたのだ。
彼はおそらくユウナに気があるのだろう。
「すごいです!どうしてわかったんですか?」
「あー…いや、勘、勘!」
「勘、するどいんですね」
「ま、そうじゃなきゃソルジャーなんてやってられないからな」
「ソルジャー?え、もしかしてザックスさんってソルジャーなんですか?」
驚いたように目を見開いたユウナ。
「あ、そういえば、眼の色が…」
彼女はそう言って手を伸ばし、頬にふれるかふれないかのところで慌てて手を引いた。
そして、「ご、ごめんなさい」と顔を赤くした。
愛らしい仕草にザックスが笑おうとした時…
「おっとッ!」
突然、スフィアプールを飛び出してこちらに向かってきたボールから、彼は慌てて体を逸らした。
バインっと座席に跳ねて後の席へととんでいくボール。
ちらりとそっちを見て、ボールが飛んできた方をザックスが確認すると、その“知り合い”とやらがおざなりにこちらに頭を下げて謝っているのが見えた。
「あんのやろう…」
「だ、大丈夫ですか?!」
「ん?あぁ、大丈夫だ。けど…」
ザックスは言いながら、ユウナの傍を離れスフィアプールの方へ一歩踏み出した。
「え?何処へ行くんですか?」
ザックスの視線の先では、不機嫌そうな彼女の“お知り合い”が彼を睨んでいる。
「ちょいと、教育的指導をしてくるぜ」
ザックスはその彼をまっすぐに見つめながら、挑発的に口角を上げて言った。

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