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ディバインマザー

夢で、ライドウのお母さんが出てきたのでその話を少し書きたいなっと思って。
つまり完全なる捏造(いままでもだけど)ですのでご注意を。

母に会いに行くというライドウに付き添い、延々電車に揺られている。
この時代に新幹線なんてないから、せいぜい100キロ程度しか出せない電車に朝から乗り込み、二回乗り換えてまだまだ。
かごに入れられたゴウトはぐったりとしていて可哀想だが、まさか出してやるわけにはいかない。(ライドウはいい気味だとばかりに冷たい視線を向けていたけど…)
それにしても一体どこまで走るんだろう。
昼食もずいぶん前にとった。
電車は先程からずっと田んぼの中を走っている。
ゴトンゴトンっという音は耳に心地良く、少しだけ眠気を誘われるけれど旅は初めてで眠ってしまうのはもったいない。

「疲れましたか?」

ふと声を掛けられ、俺は首を横に振った。
「ううん。此処に来てはじめての遠出ははじめてだから、なんだかずっとわくわくしてる」
「すみません。もっと他に連れていけたら良かったのですが」
「あ、そういうつもりじゃないよ」
ライドウが帝都から自由に動けない事は理解している。
それに文句をいう気なんてさらさらない。
俺は今此処にいるということだけで十分に贅沢なのだから。
「もうすぐ着きますから」
「うん」
ライドウがいった通り、それから3つ目の駅で俺たちは電車を降りた。
こじんまりとした小さな駅には、おじいさんの駅員さんが一人だけ。周りは見事な田舎の風景。まるでトトロの世界に迷い込んでしまったようだ。
ゴウトを早速出してあげようとしたのだが、ゴウトはふらふらとして自分では歩けない状態だったので、仕方なく抱き抱えて歩く事にした。
「遠いの?」
「少し」
それだけの会話を交わして、俺たちは歩き出した。
青々とした田んぼを左右に見ながら歩く。田んぼの上にはたくさんの赤とんぼが飛んでいて、田んぼの間にはいかにも田舎の家といったような建物がいくつか見える。
しばらくそのまま歩き、それから田んぼを突っ切って山道に入った。
季節は9月。
一番暑い時期は脱したとはいえ、今年は残暑が厳しい。
陽を遮るもののない田んぼを歩いていた時には、このまま干からびてしまうのかと思ったが、山道に入ると驚くほどに涼しかった。
いや、かいた汗が乾いて寒いくらいだ。
両側に木が繁ったうっそうとした森の小道。
草の間から秋の虫の音色が聞こえる。
もちろん舗装なんてされてなくて腐葉土が積み重なっていて歩きにくい。
ゴウトはここまで来ると少し元気になったようで、俺の腕から飛び降りて自分で歩き出した。
「もうすぐです。…ほら見えてきましたよ」
ライドウに言われて顔を上げると真っ赤に塗られた二本の円柱状の柱が目についた。
原風景の中にあって、それは目に痛いほどに鮮やかだ。
「あれは?」
ライドウに聞くと門のようなものだという答えが返ってきた。
「門?」
「あぁ」
それ以上は答えが返ってきそうにない。
もしかしたらこの地方独特のものなのかもしれない。
そのまましばらく登って行くと…やがて大きな屋敷がゆっくりと姿を表した。
「すご…」
屋敷…というよりも神社の本殿…もしくは公家が住んでいるような巨大な日本家屋だった。
「え…これって本当にライドウの家なの?」
玉砂利のしかれた大きな庭。飛び石が玄関まで続いていて、左右にもまた広く庭が作られている。あちこちに立てられた灯篭。左手には大きな池もあるようでその奥にまた建物が見える。他にもよく刈りこみをされた綺麗な木が沢山植わっていてなんとも見事だ。(残念ながら知識不足でそれが何の木であるかとか、何風の庭であるとか…とかいうことはわからないが、とにかくすごい庭だ)
「あぁ。使用人も住んでいるが」
「使用人!」
もしかしてライドウってイイところのお坊ちゃまなんだろうか。確かにライドウは貴族めいた上品さを持っているし、物腰だっていつもとても丁寧で礼儀正しい(内心は何を思っているかはよくわからないし…行動に突飛なところも数多くあるが)
じろじろと横顔を見ていると、ライドウは視線に気付いて不思議そうに首を傾いだ。
「なにか?」
「い、いや」
普通の民家に連れてこられると思って気を抜いていたのだが、ちょっと困った事になった。
「俺、こんな普段着でよかったのかな?」
自分を見下ろすと、いつものように洗いざらしの白い開襟シャツに黒いズボンという出で立ち。その姿は目の前の巨大な屋敷に対してどうにも不釣合いだ。
「小汚い男を連れてきた…なんてライドウが思われそうだな…」
はぁ…とため息をつくと、ニアっと足元でゴウトが鳴いた。だが、残念ながら人に近い状態にある俺には彼の言葉がわからない。
困惑してライドウを見ると、「そのままで構いません」と言って、引き戸に手をかけた。

旅館の入り口を思わせる大きな玄関をあけると、正面には大きな金の屏風があった。描かれているのは巨大な松の木。
そばにはいかにも高そうな陶器がおかれている。
おもわずごくりと息を飲むと、「蒼一郎さん(ライドウの本名だ)?おかえりになられたんですか?」と奥から女の声が聞こえ、やがて左手の廊下から和服姿の女性が現れた。一瞬、この人がライドウの母親なのかと思ったが、どうも二人の態度からそうではないと気づく。
「遠いところお疲れでしょう」
女性はタタキに膝まづいて言う。
「奥さまは今丁度お風呂に入っておられます。先にお部屋に入られてはいかがでしょう」
「部屋は?」
「はい。今回はご友人様もご一緒ということで、離れをご用意しております」
ご友人というところで視線を向けられ、おもわずドキリとしてしまう。ぎこちなく微笑んでみると、彼女はとても優しく微笑みを返してくれた。
なんだか妙にドキドキしてしまう。
「では、離れで少し休みましょう。一時間ほどしたら挨拶に行くと伝言をお願いします」
「はい確かに。ところで…お客様のお食事ですが、食べられないものなどはおありですか?」
本当に…なんだかものすごく高級な旅館にやって来てしまったみたいだ。そんなことを思いながら「何でも食べます」と俺は上ずった声を出した。
「よろしゅうございました。ところで蒼一郎さん、食事は奥さまととられますか?」
「…いえ、離れにお願いします。どうせ明日は一緒に取らねばならないでしょうから」
ライドウがそっけなく言うと、旅館の女将みたいな女性は深々と頭を下げた。

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