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026 負けられない勝負

エジ→リディ エジと保護者
よみかえさない

「僕の目が黒い内は(リディアには)手を出させないよ」
セシルに首筋に剣先を突きつけられ、
「(リディアに手を出すなら)私を説得してみなさい」
銀で作られた弓をいっぱいに引き絞ったローザに言われ…

「はぁ」
エッジはぐったりとしていた。
確かに彼とリディアにはいくつか(?)年齢差があるが、彼女だってもう少女の域を出て女性と呼んでもいい年齢だ。
なにも二人が保護者面しなくてもいいはずだ。
それなのに二人ともリディアの両親のように過保護で、エッジのことを“悪い虫”、“どこの馬の骨ともしれぬ男”扱いして近頃では近づくことすらままならない始末。

「一応、俺、エブラーナの王子だっつのー」

将来有望っつか、安泰っつか。
ぶつぶつ呟いていると、ふと彼は視線を感じた。
「ん?」
顔をあげると、カインが影のように壁に持たれてたっていた。
エッジが、彼にも説教を食らうのかとうんざりした顔をした。
するとカインはそんなエッジの内心を読んだのか、小さく笑い「リディアのことじゃなくて」と口を開いた。そして、
「俺は竜騎士になってしばらくしてからエブラーナに言ったことがあるんだが」
話始めた言葉にエッジは首を傾いだ。
「あれは…なんの用事だったかは忘れたが、多分外相のお供とかそういうのだったと思う。竜騎士としてのはじめての遠出、しかも使者の一人だ。かなり胸が高鳴った」
「ふん。で?」
「エブラーナとはかなり文化に違いがあるというのは聞いていたが…実際に目の当たりにすると衝撃を受けたな」
ボタンではなく前を合わせて帯で縛るような服装だとか、黒い装束に身を包んだ細身だがやけに強そうな衛兵。黒いてかりのある瓦や、紙で出来たスライド式の扉、浅い大きな池で泳ぐ色鮮やかな鯉…などなど。
「まったく国が違うとあんなにも違うものなのかとたまげたものだ」
「まぁ…なぁ」
エッジは在りし日のエブラーナを思い、少し複雑な気持ちになりながらもにやけた。
今は半ば焼け野原となってしまった故郷の事。褒められて嬉しくもあるが寂しくもある。しかしエブラーナはそもそも天災の多い地方であり、何度も災害に教われては再興してきた。今回もまたより強く蘇るはず…いや、蘇らなければならないという思いが、エッジをかろうじて笑顔にさせている。
そんなエッジに口角を上げたカインだったが、「だが」と口調を固くし
「俺があの日にあった『エドワード・ジェラルダイン』なる王子はお前ではなかったはずだが」
エッジを睨むように見た。
「え?」
「俺が会ったエドワード・ジェラルダインなる人物はは背格好こそ今のお前に似ていたが、燃えるような赤い髪を持っていたし、お前より二割は男前に見えたぞ」
厳しい目にエッジは身をすくませた。
「お前、誰だ?」
「だ、誰って、俺がエドワード・ジェラルダインだぜ?」
「本当に?」
訝しむカイン。
その視線は相変わらず厳しく殺気すら感じさせる。思わず目をそらしたくなるが、此処で視線をそらすのは許されないとエッジはじっと彼の目を見つめ「俺こそ、真実エドワード・ジェラルダインだ」と言ったのだが…
「…そんなことはわかってる。ただの冗談だ」
カインの次の台詞にずっこけた。
「は、はぁ?!冗談かよ!っつか、どんな冗談だよ!」
全然笑えないし!マジあせったし!
がっくりと肩を落とすエッジに、カインはフンと鼻を鳴らした。
「で、あれは誰なんだ?」
不機嫌そうなカインはじろりとエッジを睨む。
どうやらエドワード・ジェラルダインが、カインの目の前にいる男であるということは疑っていないらしいが、昔見たエドワード・ジェラルダインが何者なのかが気になるらしい。
まいったな…とエッジは小さくつぶやき、頭をガシガシと掻いた。
「あいつは…俺の影武者だ」
「影武者?」
「そう、俺はこれでも“王子様”だからな。危ない目にも結構あうんだぜ」
ちゃかすエッジだがカインの厳しい顔は崩れない。
「な、何だよ」
「あの時は何故、お前ではなく赤毛の影武者が出迎えたんだ?」
「は?」
「バロンに他意ありと思われていたということか?」
「え?鯛?」
言葉の意味がわからず首をエッジが首を傾げると、カインはいらだたしげに舌打ちをした。
「つまり、俺達がお前を暗殺すると思っていたのかと聞いている」
は?
もう一度言おうとして、その瞬間にエッジはカインの言いたいことを理解し、慌てて首を横に振った。
「ば…っ、違う!違う違う。別にバロンがうちと事構えようなんて思ってなんかなかったって!あの時は確か…えー…あ、たぶんアレだ!女の子と遊んでて…って…え?」
女の子
その単語が出た途端、カインに噛み殺されるような視線で睨まれ、エッジは背中に冷たい汗が流れた。
え?なんでだ?別にエブラーナに他意があったわけじゃないってのに…え?
あ、もしかして俺がそんなくだらない理由で使者との面会をサボったのを怒ってる?
ぐるぐるとエッジがそんなことを考えていると、カインは軽蔑をたっぷり込めたような視線で「リディアとどうこうなろうというのならば、俺の屍を越えていくことだな」と吐き捨て、エッジに背を向けて何処かへ行ってしまった。
「は?」
一人残されたエッジはしばし唖然とし…やがてカインの言葉の意味がわかると…

「おまえもかよ!!! ってか、リディアの話じゃねぇっていったじゃねぇええかああああ!!!」

大きな声で叫び、「っつか、親御さん協力すぎ…」ぶつぶつ言いながら地面に転がった。

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