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会いたいな。 03

FT系 こんなのが書きたい というだけの話。
ちょっとだけ続けてみた。 読み返してないけれど。 駄文すぎた><

ロヴィーナが故郷に戻って2週間が経った。
昼過ぎ、ロヴィーナがフェリシアーノと一緒に大陸の地図を見ながら遊んでいると、「いいものが届きましたよ!」と部屋に入ってきた侍女がいった。その彼女の後には50センチ四方ほどの箱を持った兵士がいて、侍女に確認をとってそれを絨毯の上に置いた。
フェリシアーノはすぐさま「わぁい」と喜んで兵士が下ろした箱に飛び付いたが、ロヴィーナは動かなかった。贈り物は珍しくないものだということもあるが、届いたものは朝からまとめて確認することになっているし、今朝の贈り物の確認は終わらせたはずだ。
なのに何故今ここに持ってくるのだろうか。
ロヴィーナが侍女を問うように見ると、彼女はロヴィーナの方を見て「ドイツ帝国からですよ」とにっこりと微笑んだ。
その言葉に「あっ」と思わず声を上げたロヴィーナは慌てて椅子から立ち上がると、今まさに箱を開けようとしているフェリシアーノを突き飛ばして絨毯に転がすと箱に飛び付いた。
そして彼女は、侍女が笑いを堪えるようにしていることにも、「わぁん、ひどいや、姉ちゃん」というフェリシアーノの泣き言もまるっと無視して箱を開けた。

箱の中には本が三冊と、小さな箱がひとつおさめられていた。
まず試しに…とロヴィーナが本を抜き出してみると、その本にはいずれにもドイツの英雄の絵と火をはくドラゴンやお姫様の絵が描かれている。
これはフェリシアーノ宛だ。
彼女はそう判断すると、本をフェリシアーノに向けて放り出し、またも悲鳴を上げる弟を無視して小振りな箱を取り出した。
緑色の包装がなされた箱には、赤いリボンがまかれている。
彼女はリボンを丁寧に解くと、それを膝の上におき包装をといて中を開けた。
中に入っていたのは、円形の台に乗った陶器のバレリーナの置物だ。
円形の台についている鈍い銀色のネジを回すと、コロコロという音と共にバレリーナがゆっくりと回りだす。
細い体をぐんと伸ばしたバレリーナは白鳥のよう。優雅に上げられた右腕に、ヒダの一つ一つがわかるスカート。
だけど、
「変な顔」
いつの間にか復活したフェリシアーノが肩越しに覗き込んで言う通り、スタイルに立ち姿、伸びやかな手や足…といったものは完璧であるのに、そのバレリーナはなんだか…とっても不満そうな顔をしていた。
まるでいやいや踊っているかのような、無理やり踊らされているかのような。
正面から見ても横から見ても斜めから見ても…顔立ちだけはなんだか微妙でかわいくない。
だけど…
「でも可愛いね」
弟の言葉にコクンとロヴィーナは頷いた。
可愛くない。けれど可愛い。
それが“矛盾”しているということはわかったが、しかし何故こんな矛盾が生まれるのかがロヴィーナにはよくわからなかった。
「きっと愛嬌があるから可愛いのね」
少し考えてロヴィーナが言うと、ぷっと空気を吹き出す音がした。
彼女が顔を上げると侍女がおかしそうに口許に手を当てて笑っている。侍女はロヴィーナの視線に気付くと、「ルートヴィヒ様に贈られたものだからかもしれませんよ」と言った。
「なぁに?それ」
ロヴィーナにはその言葉の意味はわからなかったが、なんだかバカにされたような気がしてバレリーナの人形を急いで箱にしまった。すると先ほどは気づかなかったが中に封筒が入っているのに彼女は気がついた。
これは…ルートヴィヒからの私信だ。
そう思うと、ロヴィーナはなぜだか胸がドキドキした。彼女は弟や侍女が気づいていないのを確かめると、急いで箱を閉めてしまった。
「姉ちゃん、このリボン、髪につけて上げる」
声に顔を上げると、フェリシアーノが赤いリボンを手にしていた。
箱につけられていた…ロヴィーナが膝に置いておいたはずのリボンだ。
いつの間に。
彼女は少しムッとしたが、フェリシアーノは髪を弄るのが上手い。彼女は「変にしたらひっぱたくからね!」と言って、作業がやり易いようにとフェリシアーノに背中を向けた。



家族揃っての夕飯が終わり、お風呂にも入ったロヴィーナはベッドに横になっていた。
大きなベッドに横たわる彼女の傍らには昼間の箱が放り出されており、バレリーナもベッドに横になっている。
うつぶせになったロヴィーナは上半身を持ち上げており、熱心にルートヴィヒからの手紙の文字に目を走らせていた。
黄みの強いごわごわとした紙に書かれているのはつたないイタリア語だ。
彼女は四歳の時、ルートヴィヒと婚約が決まってからずっとドイツ語を学んでおり完璧なバイリンガルだが、ルートヴィヒは違う。
彼のイタリア語はいつまでたっても下手くそだ。発音がまずいのもそうだが、時々言葉の順序がおかしかったり、二人称や三人称もおかしくなる。
だがそもそもを考えれば、彼は本来小国の…ドイツ帝国より格下の国の言葉など習う必要が無い。
それなのに彼は忙しい合間を縫ってイタリア語を勉強しているらしく、彼女に拙いイタリア語で話しかけてはドイツ語で返されるという玉砕を繰り返している。
ロヴィーナはその時の彼のなんとも言えない顔を見ると、いつも吹き出しそうになる。
ロヴィーナはドイツ語をしゃべれるのだし、意思疎通を計るだけならドイツ語で十分なはずだ。なのにルートヴィヒが何故そんなことをするのか、幼いロヴィーナにはよくわからない。でもルートヴィヒが一生懸命にイタリア語を覚えようとしてくれているのを見るのは好きだった。
そんな彼がわざわざイタリア語で寄越した手紙はやはり間違いが所々あって、彼女は思わず口許をほころばせる。
手紙の内容はこれといってない。
月並みな季節の挨拶から始まって、ドイツの様子、それからロヴィーナがいなくて寂しいという文章に(ロヴィーナが帰ってくる)秋が待ち遠しいと結ばれている。
一言で言うならば、実家に一時帰国した婚約者に送るための手紙の見本のようなそれ。
無味乾燥…ともいっていいようなものではあるが、拙い文章が冷たい印象になりがちな文章に温かみを与えている。ロヴィーナはあのイカツイ男が辞書を片手にウンウン唸りながら書いていたのかと思うと、文字の一つ一つ、インクが迷うように文字を揺らめかせている様などがとても興味深い。
面白みのない文章なのに、面白い。
あ、また矛盾。
ロヴィーナは気づいて、「これも愛嬌のせいかしら?」と首をかしげた。
そして、
「それともルートヴィヒが書いたから?」
侍女が言った言葉を自分でも繰り返してみる。
だけどやはり幼い彼女にはよくわからなかった。
彼女はしきりに首をひねりながら手紙に目を落とし、またひとつ綴りの間違いを見つけてクスクスと笑った。

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