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ゼロの夜想曲 18

「いい剣だな」

俺は、ミスタ・コルベールの方へと借りていた剣を放って返した。
くるりと一回転したそれは、放心したかのように口をあけて立ちすくんだ男の胸にドンっと当たってガランとおちた。俺は小さく苦笑し、コルベールの横で息を飲んだような女、そして腰を抜かしたギーシュを順々に見、それからルイズを振り返った。
胸の前でぎゅっと両手を握り締めたルイズは、目玉が零れ落ちそうなほどに大きく目を見開いていた。
「少しは見直したか?」
思ったより派手にはいかなかったが・・・。
口元に笑みをたたえて言ってやると、彼女はキッと俺を睨んだ。
そして、彼女は俺に何かを言いかけたのだが・・・次の瞬間にギャラリーから湧き上がった大きな歓声のせいで、それは俺の耳に届くことは無かった。

「すげーーーー!あいつ一体なにものだよ!」
「ギーシュが手も足もでなかったぞ!!!!」
「あれが、ゼロのルイズの使い魔?」
「かっこいーーー!」

口々にはやし立てる生徒たち。
唖然としていると・・・魔法で作り出したものか、花びらが雪のように降り注ぎ・・・それを見たほかの生徒がそれに便乗したのか、本物の雪や、微細な氷の粒まで降ってきた。
・・・最初こそいけ好かないヤツラだと思っていたが・・・こういう態度を取られるとその印象もガラリと代わる。
そして、
「・・・完敗だな・・・」
ギーシュも。
悔しそうな顔・・・だが、彼はすぐに笑顔を作って俺を見、それから立ち上がる。
汚れた服を軽く手ではたき、そして気を取り直すように息をついた。
「・・・許して欲しい。結局・・・あれは、僕の撒いた種だったのだし・・・八つ当たり以外の何でもなかった」
「・・・あぁ。」
「・・・でもこの僕が、全く手も足も出ないなんて・・・君は一体何者なんだ?」
訝しげな目で俺を見る。
「俺は・・・」
世界の死と引き換えに生まれた悪魔。混沌王、人修羅。
その言葉に俺は小さく首を振った。
何故その時、俺は自分を名乗るのに躊躇したのかわからない。
しかし、気付けば、
「ルイズの使い魔だ」
肩越しにルイズを振り返って言っていた。
俺たちの会話が聞こえていないルイズは首を傾げ、それから俺たちのほうに寄ってきた。
「まさか・・ゼロのルイズにこんな強い使い魔が・・・ね」
納得いかないというように首を振るギーシュ。俺はそれに小さく笑った。
「何?何の話なの?」
「いや・・・。」
「何でもないよ。ルイズ。君の使い魔に謝罪をしていたところさ。」
「そ・・う?」
俺の纏ったローブに軽く指を掛けてルイズ。
「あぁ。」
「僕のワルキューレがあそこまで歯が立たないなんて・・・」
大きくため息をつくギーシュだが、それほど悔しそうでもない。
大きすぎる力の差に、そんな気持ちもどこかに吹き飛んでいるのかもしれない。
昔・・・俺がゴズテンノウと謁見したときに感じたあの威圧感・・・おそらくそれに近いものにあるのかもしれない。ゴズテンノウの一つ一つの言葉が腹に響き、沸いてきたのは畏怖の念のみ。彼に牙を剥こうなんてこれっぽっちも考えたことは無かった。
・・・・無論、従うことも無かったのだが・・・しかし、ゴズテンノウはその俺の行動を遥か高みからの目で許してくれていた。
「どうかした?」
不審そうに俺の顔を覗きこむ。
「いや・・・それにしてもすごいな」
「え?」
「あの、ミスタ・コルベールのよこしてくれた剣だ」
「あの剣がどうしたの?」
「スクカジャ×2+タルカジャ×1ってかんじだった」
「何・・・?それ」
そういえば、剣を受け取ったときもそんな風なことを言っていたわね?と首を傾げるルイズ。スクカジャとは己の速さを上げる魔法で、タルカジャは攻撃力を上げる魔法。本来なら体に直接かけるものだが・・・此処では、物体にその魔法を宿らせる事が出来るらしい・・・っと俺は了解したのだが、何しろ説明が面倒で俺は肩をすくめるだけにとどめた。それに、あれは、ミスタ・コルベールが好意で貸してくれたものだろうし・・・種を明かすまでもないだろう。
「まぁいいじゃないか。それより・・・この騒ぎはどうにかならないのか・・・?」

「見直したぞ!そこの使い魔!」
「俺とも一度手合わせしてくれよ!!!」
「フードをとって見せてよ。使い魔さーん」
「きゃー、こっちを見たわ!」

なんだか・・・興味がおかしな方にむき出した。
突風が吹いて俺のフードを後ろへ飛ばそうとしたり、女の子が駆け寄ろうとして他の子に邪魔されたり・・・。一変してアイドル扱い・・・?
参ったと思っていると、
「もてもてじゃないか。羨ましい限りだね」
ギーシュがからかい、ルイズを見ると不機嫌そうな顔をしている。
悪目立ちしすぎたか・・・?
それにしても・・・少し煩すぎる。
黙らせるか・・・?
そう、ルイズに聞こうとしたら、彼女は俺を制して一歩を前に出て言った。

「こ・れ・は!私の使い魔なんだから!勝手なこといってんじゃないわよ!散りなさい!」
第一章?魔法の国、終了です。
行き当たりばったりでかいているので、筋なんてあったもんじゃない・・・。

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